6月27日 慣れってすごい
癌がわかってストーマ(人工肛門)を造設して、早1ヶ月半。人の適応力って本当にすごくて、あんなに嫌だなぁと思っていたストーマも、今では眺めて楽しめるまでには神経が図太くなりました。
ご存知ですか。ストーマって、めちゃくちゃ動くんですよ。たぶん皆さまの想像の7倍は動く。「動き回る」という表現のほうが合ってるんじゃないかってくらい。わたしの動作……たとえば体勢を変えたりお腹に力を入れたりとかはあんまり関係なくて、ただただ勝手に動いてる。伸びたり、大きくなったりもする。たぶんそろそろお出かけとかしだすと思う。
ストーマをポジティブに捉えられるようになったのは、腸閉塞(一言でいえば腸詰まり)による再入院を経てからのこと。それまでは、やっぱりネガティブな感情のほうが強かった気がする。でも、入院中にぐったりと動かなくなったストーマを見て、いつも頑張ってわたしを支えてくれてたんだ……という思いがぶわっと溢れた。それからは大切にしている。ごめんね、金玉(わたしのストーマの名前です)。
今では、家でダラっと過ごしているときに、パウチの上からツンと触ったり、軽く撫でたりもするようになった。ひょいひょい動く姿はとてもファニーで、見ていて飽きない。何もしたくないときは、ストーマのダンスを眺めて過ごしている。わたしのストーマは、お腹から腸が2つ出ているスペシャル金玉エディション(双孔式ストーマというらしい)なので、わたしから見て左のほうが元気で調子に乗りがち、右のほうが控えめでおしとやかと、性格の違いまで楽しめてお得。最近ではポジティブが過ぎて「お腹から腸が2つも出てるのちょっとイケてるな〜」と思うときすらある。わたしくらいドヤ顔でヘルプマークをつけている人もなかなかいない。今のところ半年後には元の体に戻る予定ではあるけれど、もし何らかの事情でストーマを閉鎖できないことになっても、わたしの感情、へー、で終わるかもしれない。いや、さすがにそれはないか?でも、ひょっとすると。
昨日は軽く腸閉塞気味で、じわりとした腹痛と共に一日を過ごした。お腹は普通に空いていたけれど、ここで食べると本格的に腸が詰まってまた病院送りになってしまうので、ヨーグルトとゼリー飲料、スープ、お茶で一日を持ち堪えた。あとは、仕事をしてはストーマの様子を見ての繰り返し。ストーマは、なんか見たこともない形で固まっていて、なにそれ?と何度か笑ってしまった。家にいるときにパウチを出しっぱなしで過ごせるのは、一人暮らしの特権だと思っている。万が一Webミーティング中に映り込んだら大事故だけど。下半身を見られてはいけないという点においては、上スーツ・下パンツ一丁でミーティングに参加している人と大差ないかもしれない。
強制ダイエットの甲斐あって、今日は朝から元気。ストーマもまた動き出すようになった。ストーマがだらっとしているときも、ふよふよダンスが見たくて、ついつついて起こしてしまう。趣味はストーマと戯れることです。本当に、慣れってすごいね。
トップ画像は、先日寄った渋谷の東急フードショー帰り、金子半之助の上天丼弁当嬉しいな、の図。たまには油ものが食べたくて……。1300円?400円?くらいしたけど、昼、夜に分けてゆっくり味わったのでよしとする。食が細くなったので食費はかなり抑えられているし、昨日のような軽い腸詰まりによるダイエットを何度か繰り返しているせいか、癌になってから減った体重は一向に戻る気配がない。いいんだか悪いんだか。
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