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案件至上主義だった私が、主体的に「書く」感覚を取り戻すまで/占い師になる前の話

あるジャンルのなかに身を置き、他者と自らを比較しながら「今の自分」の立ち位置を客観的に分析することが求められがちですが、自分の活動の「核」の部分を残しておかないと、目的を見失ってしまうことがあります。

書きたいものを失うと同時に得た収入

わたしはライターのお仕事は、ほぼ「無署名」。私の代わりはいくらでもいますし、あらかじめ価格に対しても据え置きが当たり前の中で、変わりはたくさんいました。

署名でコラムを書かせていただく機会もあっても、どこか「これは自分ではない」という感覚が、いつも強くあって。名前自体をたくさん持って、案件ごとにキャラクターを変えて書くスタイルになっていったり、人格分離的、憑依的な書き方がしみこんでいってしまいました。

献身的かつ犠牲的な『プロ意識』が裏目にでる

プロになりたいからお金になる文章を書くことを、何よりも優先せた結果、金額はもとより「とにかくお金をもらう」、書きたいことではなく「書かせていただけるものなら何でも書く」で、1字レイコンマいくらのものを、指が動かなくなりながら書いて、疲れ切って体調を崩して、マネタイズできないループに。

わたしが始めた頃には、今ほどウェブライターが当たり前のように、認知されていなかったので、何回もやり直して、吐いたり泣いたり気持ち悪くなったり、案件が奇抜すぎて人格が壊れそうになったり……、どこかで「これはわたしではない」と思いながら、切り離していた部分もあったんだと顧みます。

擦れて削れて砕いて欠けて残った「塊」

ウェブライティングに疲れ切って、金額も昔ほど安くなくなったので、量を減らして、休み休みショートストーリーを書いき始めたときに、「本当にやりたかったことは物語を書くことだ」と思いだしてきて。

けれどこのとき、わたしのなかにはそれすらも形骸化している気配があり、「いまさらやっても、なあ」という気持ちと、「いやいや、これをやるために続けてきた、プロになったんだ」という謎の意地として残っていました。

そうして出来上がった、短いお話というのはどれも、自分が好きな文体とも、書きたい世界観とも、知的でエスプリのきいた雰囲気とも、まったくいえず。ほんとうに平易で単調に変わってしまっていました。けれど、なんとも泥臭い、かつて情熱だった痕跡が感じられる分、よけいにとってもみにくさの塊に感じられました。

じっさい「お金にならないものを書くな」「そんなクソみたいなストーリーはずかしくないの」「書き直してやるからそれを提出しろ」と、実際に言われたり、言われなくても心の中で責められている気がして、いまだになかなか、自分が書きたいだけで長いものを仕上げる・書ききるのができないでいます。

みんなから愛憎渦巻いて慕われる創作の世界の難しいところは、こうした書き手ならではの気持ちがすべて、結果にかかわらず、すでに行動している相手にとっては、ほんとうにすべてが言い訳じみていて、「行動を促さないための動機付け」にされやすいところです。

けれど、「ただ書けばいい」では、ふりだしに戻ってしまう。

わたしにとっては、お仕事というより「主体的に書く」感覚を取り戻す、リハビリのような試みで、プライベートも含めて下がりきったセルフイメージをこれ以上落とさないように、守るような意味合いを持つ、独特の感覚でした。

「主体的に書く」感覚をだんだん取り戻す

私事としてでも、ショートストーリーを書くようになって、わたしの案件の種類がだんだん変わってきました。恋愛ストーリーを書くような案件や、二人の関係の今後を書くようなもの、小説ではないものの、オリジナリティとそう工夫を取り入れられる、ちょっと創作っぽい案件が舞い込んでくるようになりました。

だんだん指先からコロコロ音楽が出てくるように、誰かと何かの物語がポコポコ出てくるような楽しさが、パソコンのキータッチから軽やかに感じられるようになったのです。これは今までにない、新しい心地です。

占い師になってみて/「物語」に関わる仕事

占いのライティングも案件としてやる中で、自分で占い師として看板を持つようになったのは、梨屋アリエさんの読書会に参加した時のアドバイスがきっかけに。

自分の名前を前に出して占い師さんとして、占いの結果文を書いたり、これからのことをストーリー仕立てに綴っていると、とっても良い意味で自分に重しが乗る感覚になりました。

自分の言葉として扱う、誰かの現実と「まだ」現実ではないものの境目の部分を、無理なく丁寧に縫う想像力が求められて、なるほど面白いなと感じる最近です。

前のアカウントでは、エッセイ仕立てに占い結果をもとに小説を書いた試み(Lie essay)などもやってみたのですが、占いの持つ繊細な物語性が、今のわたしにはとても自然に付き合える物語のカタチにおさまっています。

「物語性」には現実と創造を縫う「糸」の力が宿る

もしかすると、もうちょっとしたら本当に純然な物語が作品として誕生できる日が来るのでしょうが、その日まで、人の生活や性格、心の機微に、占術を通して丁寧に向き合っていきたいとおもいます。

説明的な文体ではありますが、メール鑑定もそんなつもりで書いています。

タロットや占星術でひもとく、あなたの物語もぜひぜひ私に綴らせてくださいね。おまちしております。

また、今は占い師さんというよりも、占い師さんのサポートにも、力を入れていきたいと思っています。

こちらもお問い合わせ・お声かけ、お待ちしております。


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