川口大樹(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)

脚本家・演出家 福岡の劇団「万能グローブ ガラパゴスダイナモス」で書いたり作ったり。 …

川口大樹(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)

脚本家・演出家 福岡の劇団「万能グローブ ガラパゴスダイナモス」で書いたり作ったり。 スピッツが大好き。コメディ、笑いが大好き。

最近の記事

難しいことだ

難しことばかりだ。 人類にSNSは早すぎた。 人類はまだSNSを使いこなせるほど成熟していないなと思う。当たり前のように誰かに怒りを向けて、正義を娯楽化する。快楽だよなあ、悪を裁くというのは。指先一つで、安全な部屋から、何の負荷も負わずに。 誰かを迷わず悪と決めつけられる人は愚かだ。愚かでハッピーだろうなきっと。 人を直接殴るのには、リスクも、傷つく相手がリアルにいることも感じられるけど、ピストルになるとそれが軽くなる。ミサイルはさらに軽くなる。SNSでは何もわからなく

    • スローカーブ

      ふと文章が書きたくなった。なるべく力をぬいて書く。よく見せようとか誰かに伝わるようには極力すみにおく。完全に無視したいけど、ネットの上にある以上、ほんのわずかでも客観性はあるけど。 学生にマンガを借りた。面白い。オフビートなテンションのものをつくりたい。ローテンション、だけど笑える。そういう文章や脚本を。 脚本や演出ではつい盛り上げたり引っかかりを作ってしまうが。それももちろんいいのだが。そうでないゆるやかな文脈、トーンも持ってたい。 ここではスローカーブやチェンジアッ

      • 助走のぶん

        例によって、文章を書くために文章を書いている。noteはすっかり読むばかりになっていたけど、久しぶりに書いてみる。 毎日色々と考えることはあるのだけど、Twitterは140字で上手にまとめなきゃ、という気持ちにおされて結局ずっと黙っちゃう。 あと「今、これをつぶやいたということは」という意味合いがなんだか強くなっちゃう気がしちゃう。誰も気にしちゃいないのに、自意識めんどくさいよね。ということは永遠のテーマだろうなあ。 伝えたいこととかは基本的にない。 ただ勝手に思ってい

        • 夜中息抜き。

          眠れない人々が街を泳ぐけれど、溺れているようだ 良い歌詞だなあとしみじみ、深夜にパソコンの前、本書きの隙間に思う。 とはいえ、色々と自粛せねばならぬこのご時世、コンビニへと少し外に出ると目の前に広がる無人の道、世界から人が消えたような、不思議な気持ちになる。だけどどこか、さまよいたくともさまよえぬ人々の気配だけが、うっすらゴーストのように街をうろついているようにも思う。 スピッツの「憧れるだけで、憧れになれなかった」という歌詞がずっと好きだ。多分今の生活は、演劇の入り口

          たえないが

          悩みというものは絶えないものだ。おおきなものから些細なものまで。 閉じて考えると気分は沈む一方で、誰かに話すとか、音楽を聴くとか本を読むとか、別の思考に触れないと自分が一番しんどいなあと思う。 わかっちゃいるが、悩み事というのはそういう外へ目を向けるちっちゃなワンアクションのやる気を奪う。 しずむ、とじる、の悪い螺旋に入るので本当によくない。そしてやっぱり、娯楽、芸術、エンタメは心の栄養であると、改めて思う。当たり前に頼っていたので、頼っていることすらわからなくなっていた

          どうにかこうにか。

          公演が終わった。 劇団旗揚げ15周年のメモリアルな年で、合計20ステージのロングラン。 これだけでも中々にプレッシャーのかかる状態なのに、コロナとかいう厄介者のせいで、いつ公演が中止になっても全く不思議でないというシビアすぎる状況。関東方面では、誰がどうみても感染拡大と言わざるを得ない報道ばかり。何をどう贔屓目にみたって、公演をするのに不利な条件しか揃ってない。さらに稽古期間も、色々な事情によりめちゃくちゃ短かった。実質いつもの3分の1以下くらいだったと思う。 小屋入り2

          あとでまとめるためのメモ・情報

          演劇における「シーン」とは言い換えると「情報」だ。 演劇に限らず、ドラマでも映画でも、ドキュメンタリーでもバラエティでも小説でも漫画でもyoutubeでも、とにかくすべて情報の連続で構成されている。 ひとまず演劇にしぼって。 「シーン1」があるとしたら、そこに含まれている情報はなんなのか?ここがどこなのか、そこにいる人は誰なのか、どういう性格?関係性は?好き?嫌い?今どういう状況、のんびり、くるしい、ピンチ、楽しい。 明日何がある、今こういう目的で動いている、こういう欲求が

          選曲

          11月の公演が始まった。短期集中二週間で作る。というわけで稽古は毎日。多い日は10時間ほど稽古時間が確保されている。 朝から9:20から12:30まで学校、13:00から21:00まで稽古。帰ってきて脚本とか演出のこととか、諸々。寝て、朝から学校。中々時間はないが、不思議なことに寝坊をほぼしないのは特技といってもいいかもしれない。 よほど大事な時以外は、目覚まし時計をかけることはない。でも大体、起きたい時間に目が覚める。自分の持つ、数少ない才能の一つかもしれない。だとしたら、

          キャスティング

          てんてこまいである。11月にある本番の舞台、劇中にガチンコで卓球の試合で4チームが戦い、優勝したチームのエンディングが上演されるというマルチエンディングシステム。つまり、4種類のラストシーンを書かねばならず、脳みそが乾いた音を立てている。4月にコロナの影響で中止になった舞台なので、毎日、中止か?本番はあるのか?の間で、日々溢れる感染者何人だ、マスクが1万円だの大騒ぎの日々に、筆が明らかにそわそわしている。あれから半年、久しぶりに読み返してみると、腰が入ってないな!と思えるセリ

          書きながら

          脚本を書いている。日付が変わった。〆切の曖昧な境をぼんやりとさせて明け方までになんとかというスリリングな夜を過ごしている。 執筆の息抜きにnoteを書く。脚本は、やっぱりセリフの運び一つ、きちんと意味を考えて、有効な言葉を選ばないといけないけど、ここは特に誰に読んでもらうというわけでもないので、つらつらと。 なるべくシンプルな言葉の組み合わせで、ハッとするようなセリフを書きたいなあと思いつつ、なかなかうまくいかない。理想は、なんでもない、軽い言葉を組み合わせて、思いも寄ら

          肩をならす

          ガラパ、12月公演のチラシづくりが進んでいる。例年と比べるとかなり遅い進行だが、それもこれもコロナのせい。 とはいえ、チラシ作りに関してはデザイナーのかんたろうくんにああだこうだとイメージを伝えて、素材を送り、あとは出来上がってくるのを待つだけ、といった感じなので、大変というよりは楽しみ、が気分としては正解。 後一つだけ、自分の作業として「チラシ用のコメント」というのがある。あらすじをのせることもあるが、ガラパの場合はチラシ作成の段階ではまだストーリーは薄ぼんやりとしか存在

          公演がはじまる。

          さあ、12月の公演が迫ってきて、脚本の背骨を固めていよいよ書き出し始めなければというところまできている。 脚本を書くために必要な要素はたくさんあるのだけど、重要なものの一つに「テンション」がある。あるいは「気分」とも言える。 書きたいなあ!という衝動がわきあがれば書ける。面白いものが書けるかどうかは別として。美味しそうな料理レシピやゲーム実況動画をみて、料理やゲームをしたくなるのと同じ。その衝動が長続きするかどうかという別の問題もあるけど、とにかくこれを、やりたい!という

          短編を書く、助走をする。

          ありがたいことに短編脚本を2本頼まれていて、それにとりかかっているのだが、久々の脚本執筆ということでやりたいことが色々あふれてい結果全然まとまっておらず、とはいえ〆切は迫り、理想と現実の間でオロオロしている。 いや、やりたいことはあるので苦しさとはまた違う種類のオロオロなのだけど、なんにせよ書かねばということでその助走として今このnoteを書き進めいる。 助走として本を読んだ本が面白くて非常に満足のいく読書体験だったが、ページ数は進んでおらずそれはいかんと気を引き締め直し、

          演劇ライブ配信を観た。

          本多劇場グループ PRESENTS ACALINO TOKYO 「演劇の街をつくった男」千秋楽をライブ配信で見た。 ACALINO(本拠は福岡)とはいくつかの企画で関わらせてもらっていたり、今回の公演を動かしている林雄大は昔からの芝居仲間だったり、企画の中心であろう中薗ことゾノとも、北九州のノゾエさんのプロデュース公演で一緒だったり、 あと、演劇のライブ配信というものにも興味があって(というか自分らもやがてやらなきゃいけないことだろうのでその予習も)初めてオンラインでチケ

          午前4時。

          ストレスが溜まると文章を書きたくなる。 誰かに見せるためというよりは、内側に積もるもにゃもにゃしたものを、心のデトックスとして外に出しているだけ。 現在6/20、午前4時、脚本を書き、煮詰まり、寝るか迷ってとりあえず書いている。 煮詰まった時、執筆体勢は崩さずにちょっと休憩したい時、こういう脳みそを使っていない文章を書く。気が向けば公開もするけど、基本的には下書きに放り込む。 ちなみに、今だいぶ眠気がきているのでここで粘ってもおそらく脚本は進まないことはわかっていて、素早

          コロナで学んだことのひとつ。

          自分は、そんなにアウトドアな人間ではない、と思っていた。 週末はキャンプにいかなきゃ気が済まないようなタイプではないし、 いつだって遠出の計画を練ってワクワクしているほど、外出に対してパワフルな人間ではない。 なので、コロナで外に出れなくなっても、生活や仕事に関することを除けば、家にこもること自体はそんなに苦ではないと思っていた。 だけど実際に長い自粛期間を過ごすうち、それは間違いだったと気づいた。 脚本を書こうとアイデアを練り始めた時、びっくりするほど何も思いつかなかっ