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読書記録「medium」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、相沢沙呼さんの「medium 霊媒探偵城塚翡翠」講談社 (2019)です!

相沢沙呼「medium」講談社

・あらすじ
推理小説家の香月史郎は被害者の遺族からある相談を持ち掛けられる。巷を騒がす正体不明の連続殺人鬼を暴き、報いを受けさせてくれと。

香月は推理小説家として類い希なる推理力がある。警察の相談役として、事件解明に協力することもしばしば。

だが、香月には相棒と呼ぶべき存在がいる。それが、城塚翡翠である。

翡翠は俗に言う「霊媒師」である。都内のマンションを職場に、遺族や怨霊に苦しむ人々の話を聞き、悩みや辛さを解決していく。

ある事件をきっかけに出会った二人。しかし「霊がそう語っているから」という理由では警察は動くことができず、生まれ持った能力を活かすどころか疎んじられる始末。

香月の推理力と翡翠の霊媒、二人の力が合わさることにより、様々な事件を解決していく…。

まだあどけなさが残る翡翠と、クールな香月の組み合わせが面白く、二人の進展も気になるところ。

だが、最後の最後で明らかになる二人の過去。呆れられるくらいに、完全に「騙された」作品でした。

かつてシャーロック・ホームズの台詞にこんな言葉がある。

「ぼくには一目でわかったんだが、どうしてわかったのかを説明するほうが、かえってむずかしい。二足す二が四になることはよく知ってても、そうなる理屈を説明しろと言われたら、ちょっと困るのとおなじでね」

本の名言サイト
シャーロック・ホームズの名言・台詞まとめより

「霊媒」という能力が世の中に本当にあるかないかは別として、「霊の言葉が聞ける」とは犯人泣かせもいいところ。

だが、天国の存在を証明するのが困難であるように、人知を越えた能力というものは、簡単には受け入れられないものである。

そもそも霊媒やらオカルト的なもので全てが解決するならば、探偵やミステリーの前提崩しも甚だしい。

ゆえに、この作品は我々読者への挑戦でもあるのだ。「霊がそう語っている」のならば、その裏には何かしらのロジックが存在するのである。

人知を越えた力を、是非体感してみてはいかがだろうか。それではまた次回!

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