読書記録「草子ブックガイド」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、玉川重機さんの「草子ブックガイド」講談社 (既刊3巻)です!
・あらすじ
内海草子は内気な女子中学生。芸術大出身の両親の元に生まれたのだが、芸術に対する向き合い方の違いにより、草子が幼い頃に離婚。今は酒飲みでロクに絵を描こうとしない父と二人で暮らしている。
学校にも馴染めず、家に帰っても一人ぼっちでいることが多い草子にとって、本の世界は自分に居場所を与えてくれたもの。特に西荻窪の青永遠屋という古本屋さんによく通った。
草子は読み終えた物語に必ず「ブックガイド」を挟んでいた。その本を読んで自分は何を考えたのか、自分の人生と重なったところはどこか、そしてどう行動していくべきなのか、物語から体得していく。
その感想文が実に見事で、青永遠屋の老店主 青斗はいつも草子のガイドブックを楽しみにしていた。長年出版に携わってきた身として、本から何か大切なことを吹き込んでくれるような。
最初こそ人と話すのも苦手な草子だったが、本がつないでくれた繋がりを通じて、強く、強く生きていくことを決める。
先日の下鴨神社は納涼古本まつりにて、絶対3巻持って帰るには重いだろうと思いながらも、どうしても欲しくなったため紐解いた次第。
この漫画では、草子が学校や家庭で起きた出来事や友達との会話などを描く日常パートと、草子が書いたブックガイドを読む2つのパートに分かれる。
草子が読む本は、ヘミングウェイの「老人と海」や中島敦の「山月記」、ハインラインの「夏への扉」など実際に存在する作品であり、イラストとともにあらすじを説明してくれる。
この漫画を読んで、自分は草子のように、ここまで物語に真摯に向き合っているだろうかと思った。
まだまだ読んでない本ばかりではあるけれども、人並み以上には名作に触れてきた。でも、どこか読むために読んでいたことも否めない。読んだと言うために読んでいると言うべきか。
勿論、読了後は様々な感情や考えが思い浮かばれる。だが、草子のように主人公に感情移入するかのような、著者の気持ちを汲み取るような、そんな感想を得た機会は少ない。
草子は「ロビンソン・クルーソー」から自分が居場所を欲していたことに気づき、「夏への扉」から未来に向かって歩く勇気を覚え、「山月記」や「月と六ペンス」から父を知る。
まるで、本達に自分の人生という本を読まれていたかのように。
草子のブックガイドは、必ずしも著者が意図している答えを提示しているわけではないだろう。
だが、著者の意図を汲まずとも、たとえ勘違いだとしても、そこから何か得られる事自体が大切である。
本を読むって何だったけと、改めて考えるいい作品でした。そして、草子のような素敵なブックガイドを書けるようになりたいと、素直な気持ちで本を読みたいと思いました。それではまた次回!
この記事が参加している募集
今日もお読みいただきありがとうございました。いただいたサポートは、東京読書倶楽部の運営費に使わせていただきます。