見出し画像

読書記録「君のクイズ」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、小川哲さんの「君のクイズ」朝日新聞出版 (2022)です!

小川哲「君のクイズ」朝日新聞出版

・あらすじ
第1回「Q-1グランプリ」もいよいよ大詰め。クイズ対決を生中継するという新しい試みを、六本木のスタジオで行われていた。

決勝戦はアマチュアクイズプレイヤーの三島玲央と、芸能人の本庄絆の一騎打ち。本庄は他番組で、ノーベル賞受賞者を全員暗記した程の記憶力を持つ強敵である。

7問先取の勝負、6対6に並んだ最終問題。これを取れば優勝が決まる。

「問題」

突然本庄がボタンを押す。

「ママ.クリーニング小野寺よ」

回答はなんと正解。見事本庄は第一回「Q-1グランプリ」の王者となり、賞金1千万円を勝ち取る…。

どう考えても納得がいかない。ヤラセだと疑われても当然と思われる。だが、三島自身、決勝戦で本庄がヤラセをしているようには思えなかった。

大会後、決勝戦を振り返りながら三島は以下の問題に立ち向かう。

「Q.なぜ本庄絆は第一回『Q-1グランプリ』の最終問題において、一文字も読まれていないクイズに正解できたのか?」

先日開催した読書会にて、読了したから捨てようと話していた参加者様から、厚かましくも頂戴して紐解いた次第。

クイズはただ単に知識の量を競うものではない。学校の試験では記憶力がいい人が点数を取ることができるが、クイズではクイズに正解できる能力が必要である。

よくクイズ番組を観ていると、「なんでわかったの?」と思うようなときがある。まだ文章を読み終えていないのに、どうして答えを導き出せたのか、解答よりもその事自体に驚くことがある。

どうやらクイズ大会などに出ている人にとって、クイズには正解できる確定ポイントがあるらしい。ここまで文章が読まれたら、解答を導き出せるところがあるそうだ。

以前池袋のボードゲームイベントに参加した時、最後のゲームとしてクイズが行われた。回答ボタンもセッティングされて本格的である。

私自身クイズは得意ではない。単純に知識不足というのもあるし、早押しクイズなどスピードで押し負ける。

だが正解できると嬉しいし、ピンポンという音は自分を肯定されている気分になる。

また、回答できる時は、何かしら自分の中で経験したこととか、学んだことが少なからず記憶の中にある。

クイズに正解できたときは、正解することができた理由がある。なにか経験があって、その経験のおかげで答えを口にすることができる。経験がなければ正解できない。当たり前だ。

同著 44頁より抜粋

本好きならば、タイトルを言われれば著者が思いつくことがあるように、読んだことがあるとか、書店で見たなどの経験が紐づく。

またクイズの面白いところは、全く意図していないことから答えを導くことができる。以前参加したクイズのときも、「逆境無頼カイジ」を観ていたからこそ「箴言」という答えを導いた。

逆に言えば、クイズに回答するためには、その根拠が必要となる。

徐々に明かされていく本庄絆の謎と、クイズとは何かという三島の問に、非常に引き込まれる作品でした。ぜひ味わってみてはいかがだろうか。それではまた次回!

この記事が参加している募集

今日もお読みいただきありがとうございました。いただいたサポートは、東京読書倶楽部の運営費に使わせていただきます。