読書記録「西の魔女が死んだ」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」新潮社 (2001) です!
・あらすじ
中学校に入ったばかりの私(加納まい)は、もう学校に行きたくなかった。学校に行くことを考えただけでも、息が詰まりそうだった。
そんな私のことを、ママは「生きにくいタイプの子」とパパに話していた。認めざるをえないけれども、その言葉は私の心の底に重く沈んだ。
ママは私に、「西の魔女」であるおばあちゃんの家で過ごしたらどうかと提案した。空気の良いところで暮らせば、気力も回復するだろうって。
おばあちゃんは外国の人である。昔日本にやってきて、私立中学の理科の教師だったおじいちゃんと結婚して、今はこの家で一人暮らしをしている。
幼い頃から私はおばあちゃんが大好きだった。私が「おばあちゃん、大好き」と言うと、いつも微笑んで「アイ・ノウ」と答えてくれた。
学校に行きたくないという私を、おばあちゃんはいつもと変わらず接してくれた。
一緒に暮らす中で、まいはおばあちゃんから魔女の手ほどきを受ける。といっても、肝心なことは意志の力。自分で決める力であると。
まいは1ヶ月ほどおばあちゃんの家で暮らすなかで、嬉しいことも、悲しいことも、自ら決められることに気づいていく。
先日に引き続き、一度読んだ本をまた読み返したい欲から、小川洋子さんの「博士の愛した数式」に続いて紐解いた次第。
健康診断が思いの外長引き、待合室にてずっと読んでいたら読了してしまったのは内緒の話。目頭が熱くなったのを、無理やり抑えた。
西の魔女であるおばあちゃんの教えは、非常にシンプルである。
まいにとって、学校は「苦痛を与える場所」でしかなかった。
そういう気持ちは分からなくもない。
私の場合は、小学生の頃に一時期保健室登校だったけれども、あの「みんな仲良くしなければならない」という空気感が嫌だった。
今でも集団行動よりも単独行動のほうが好きなのは、そういう前提がある。周りが盛り上がっている時に、急に心の中で凪が訪れる。
とは言え、私の場合は半年程度で授業に戻った。もともとふわっとした理由で嫌になったから、そこまで深刻にならずに済んだのだと思う。
授業に戻れたのは、当時の校長先生の言葉の影響もあるけれども、ある意味、集団から離れたことで色々なことが吹っ切れた気がする。
当時の自分が、そこまで考えたわけではない。今の振り返ってみて、そうだったらいいなという脚色が混じっているだろう。
でも、まいと同じように学校が嫌だった時期はあったのは事実だし、今こうして生きていられるのは、少なからず私にも「意志の力」があったはずだ。
まぁでも、そんな意志の力も、おばあちゃんには敵わないな。
自分との約束を守り、人との約束も守ったおばあちゃんは、最後まで上等な魔女だったと。
やっぱり自分は、こういうハートフルな作品が好きなんだなと、しみじみと思う。それではまた次回!
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