読書記録「傲慢と善良」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、辻村深月さんの「傲慢と善良」朝日新聞出版 (2022) です!
・あらすじ
婚活で出会い、結婚の日取りまで決めていた彼女が突然姿を消した。
坂庭真実はこれまで付き合ってきた人と違い、真面目で、素直で、善良であった。きっとこの人と結婚するのだと、朧気ながら考えていた矢先のことだった。
彼女は前々から誰かに見られている気がすると言っていた。恐らく地元にいた頃の人だろうと話していたが、誰がとは聞いていなかった。
ストーカーに監禁されているのか、はたまた自らの意思で姿を消したのかは分からない。それでも、彼女を探さねばならない。彼女のためにも、自分のためにも。
読書会で何度も紹介を受け、前々から気にはなっていたが、どうも紐解く勇気がなかったけれども、この度ようやく紐解いた次第。
ご存じの方も多いと思うが、この作品は婚活をテーマにした作品である。
彼女の足取りを追うために、かつてお見合いした人や職場の友人関係を当たるのだが、彼女がどんな相手を選んだのか、そもそもなぜ婚活を始めたのかなどを深掘りしていく。
お恥ずかしい話、これまでロクに恋人のいない人生を送ってきたため、一つひとつの言葉がグサグサと私の胸を刺す。
例えば、真実の足取りを追おうと、かつて利用していたという結婚相談所を訪ねた際、西澤はふと「結婚できる人とそうでない人の違いは何か」と聞くシーンがある。
私も知り合いから、結局川口はどんな人と付き合いたいのかと、聞かれることがある。いい加減恋人の一人くらい連れてこいとも。
でも、これまで人と付き合ったことのない私が、どんな人と付き合いたいのかと考えること自体、何か申し訳ないと考えてしまう。むしろ、こんな自分と付き合ってくれるの?って思ってしまう。
かと言って、誰でも良いと言ったら嘘になる。自分から誰か良い人を探そうと思うと、自分の外見や性格と比較して、相手を評価してしまう。自分と付き合える人は、この人しかいないのかと。
いい子でありたいと思っているくせに、自己評価は高い。
善良であり、傲慢なのである。
一見すると相反するような考え方が、同じ人間に備わっている。
自分も真実と同じように生きてきたから、すごく共感してしまう。
自分で決めるという生き方をしてこなかったから、いい子でいることを選択してしまったから、いわゆる、普通の恋愛というものをしてこなかったから、どうやって人を好きになるのかも、よく分からない。
相手を傷つけたくないという善良さと、でもこの人とは付き合えないという傲慢さ。
みんなはどう思っているかは分からないが、どうしてもこんな風に考えてしまう自分がいる。共感してしまう自分がいる。
でも、少なからず同じように考えている人がいるってだけでも、救われる。自分だけじゃないんだって。恋愛が難しいと考える人はいるんだって。
そう考えるのもまた、傲慢かも知れないが。それではまた次回。
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