読書記録「終末のフール」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、伊坂幸太郎さんの「終末のフール」集英社 (2009)です!
・あらすじ
小惑星接近のニュースは、世界中の人々を震撼させた。8年後に地球に衝突する小惑星は、人類は滅亡することになると。
ニュースから5年 世界は混乱状態から小康状態になる。街中で暴動や略奪、食糧の奪い合いが起こっていたのが嘘だったかのように、平和な日々が続いていた。
小惑星の衝突を残り3年を迎えた世界。仙台のとあるマンションの生き延びた住民たちは時に悩み、時にこの世を去ろうとしていた。
ある者は、今から子供を産もうか悩み
ある者は、どうやったら彼氏が作れるか悩み
またある者は、妻なき世界から去ろうとしていた
世界の終焉を間近に迎えた人々の日々を描く短編8作。
知り合いの読書会に行った時に、参加した方から紹介されたのをきっかけに紐解いた次第。
まるで世界は終わらないのではないかと思わせせるようなユーモアもありつつ、世界が終わるとしても生きていく人々に心打たれる作品でした。
なかでも、苗場というキックボクサーを描く「鋼鉄のウール」が印象的。
世界中で小惑星の接近で湧いていようとも、苗場とジムの会長は変わること無くミットを打ち続けていた。まるでここだけ5年前から何も変わっていないかのように。
まだ小惑星の衝突など考えられなかった時、苗場はインタビューで「もし明日世界が終わるとしたらどうするか」と聞かれた。
苗場は何も変わらない、ぼくにはローキックと右フックしかないと答えた。
明日死ぬとしたら、今日をどう過ごすだろうか。こういう名言は古来より言われている。
だがこの言葉を体現する人は少ない。なぜなら私達は、明日がいつまでも続くと考えてしまうからだ。
明日世界が終わるとしたら、私だったらディズニーランドに行く。終わりを迎えるまで、シンデレラ城を眺める。
何故かって?何故だろう。昔からそう考えていた。中学時代から。
それはともかく、もし今日が最後の日だとしたら、十分満足できると胸を張って言えるだろうか。
正直、そう思えるような日は少ない。だが、遊んで過ごすことが人生最後の日に望むことだとしたら、それはそれでまた違う気がする。
先日読んだ三浦綾子さんの「泥流地帯」のように、たとえ泥流に飲まれて終える人生だとしても、やはり真面目に生きることを選ぶと思う。
じゃあ最後の日もいつも通り仕事をするかと問われたら、おそらくやらない。なんだ、言っていることとやっていることが違うではないか。
それだけ使命感を持って、仕事ややるべきことがある人は、心から尊敬する。それがたとえ終末を迎えるとしてもだ。
そんな使命感を一匙ぐらい持って、私も生きていこうと思う。それではまた次回!
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