読書記録「汝、星のごとく」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」講談社 (2022)です!
・あらすじ
愛媛県は瀬戸内海にあるとある島 高校生の井上暁海は両親の身勝手に振り回されていた。父は今治の愛人の家に泊まり、止めもせず精神を病んでいる母。
母と共に島に越してきた高校生の青埜櫂は、親の不甲斐なさに呆れ果てていた。男を追ってはフラれ、人を頼らずには行きていけない母親の姿にひどく呆れる。
そんな2人の家族は、小さな島では数少ない格好の話のネタであった。だからこそ、徐々に2人は惹かれ合った。
漫画家を目指す櫂と刺繍を本職にしたい暁海。形は違えど、親から自立した生き方を望む2人。
だが、そう簡単には親から離れることはできず、2人の人生は別々の道を進む…。
親ガチャという言葉がある。生まれた時に親を選ぶことはできず、親の教育や経済力によって人生がある程度決まってしまうという。
その点で言えば、私は良いほうだったかもしれない。両親も兄弟も仲良しだし、奨学金で大学に通い、一人暮らしも許してくれた。
もっとも、比較したことないから良くわからない。他の親だったらどんな人生だったかなんて考えたことがない。
親のことなんか気にせず自由に生きれば良いじゃないか、自分の人生は自分で決めるなんて言葉もあるけれども、本当に大変な人にはひどく辛辣な言葉になりかねない。
だから我々は検索する。もっともらしい言葉を見つけて、どんどん借り物の言葉で溢れていく。その方が相手を傷つけなくて済む。
それゆえに、借り物の言葉よりも、耳が痛くなる正論や、厳しい言葉が人生を左右するのかもしれない。
勿論、親や家族を支えなければいけない人もたくさんいる。
親のことなんか気にせず好きに生きたら良いと私が言っても、人の人生を背負ったことのないお前に何がわかるんだと言われてしまう。
だからこそ、同じような心境や境遇の人は惹かれ合う。親の介護や子育てなどの経験をした人たちは、その大変さを実感しているからこそわかり会えるものがある。
そして私達は、人のことを理解することはできなくても、理解に努めることは出来る。わからないことを、知ろうと努めることは出来る。
当たり前っていうのは、私達にとって、私にとって当たり前ということであり、他の人から見たら全然違うものもある。
例えば、高校を卒業してすぐ勤めに出ることを当たり前と考える人もいれば、性別によって賃金や仕事内容に差があるのが当たり前と考える人もいる。
先日読んだ年森瑛さんの「N/A」にも通じるものがある。女の子なんだから、男だからかくあるべき。仲の良い男女のことを恋人と呼ぶ。だってそれが当たり前でしょう?
近くにいても理解し難いことはあるだろうし、他人事のように斜に構えることもできる。私の言葉だって、人を傷つけてしまうこともある。
月並みかもしれないが、その人にとってどんな言葉をかけるのか、相手に寄り添うことについて考えた作品でした。それではまた次回!
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