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小さくても、前に進むこと

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

先日自宅から職場へ向かう電車の中、一匹のバッタがお出掛けしているのを見かけた。あまりに珍しいと思ったため、失礼ながら撮影してしまった。

ご旅行ですか?それともお仕事で?

埼玉高速鉄道線からはるばる満員電車に揺られてきたのかもしれない。武蔵小杉辺りで買い物か、はたまた都内で仕事があるのか、それにしても長旅ご苦労さまである。

ちょうど先日、前野ウルド浩太郎さんの「バッタを倒しにアフリカへ」光文社 (2017)を読み終えた。当時書店で平積みされていたが、今日まで読まずにいたのを紐解いた次第。

昆虫学者としてアフリカはモータリアに滞在し、「神の罰」といわれるサバクトビバッタの大量発生を追う日本人研究者の、笑いあり涙あり(?)の滞在録である。

ファーブル昆虫記に感銘を受けた幼き頃の前野さん。嘘か真か、アメリカはバッタ見学ツアーに参加した女性が、バッタの群集に緑色の服を食べられたという記事を科学雑誌で読んだ。

その時に前野さんは「自分もバッタに食べられたい」という夢を抱き、昆虫学者の道を進んだらしい。

とは言え、研究者としての実績も少なく、日本にとって研究対象としてそこまで重要とはいい難いアフリカのバッタの研究に、なかなか援助がでなかったそうだ。

その上、アフリカの広大な砂漠と自然の猛威が前野さんを襲う。2011年のモータリアでは建国史上もっともひどい大干ばつとなり、バッタが全く発生しなかった。また、実際に目の前に現れたバッタの大群に、本当に立ち向かえるのかと茫然とした。

前野さんにはその時2つ選択肢があったという。1つは日本に帰国してアフリカでのバッタの研究を諦めるか、無一文になるとしてもバッタに立ち向かっていくか…。

そして、夢を追うことを選んだ前野さんの奮闘を記す。

この本はただアフリカでのバッタの研究模様を記したものではない。著者自身の経験と挫折、そして沢山の人の力を借りて、夢を追い続けることの大切さを説いている(とても表紙からは想像できないが)。

周りを見渡せば、自分より成果の出ている人や、優れた人々が目に見えてしまう。自分の無力さに落ち込むときもある。

そんな時は、上を見るのではなく、下を見るのも大事なことだと、前野さんはアフリカで教わる。

「つらいときは自分よりも恵まれている人を見るな。みじめな思いをするだけだ。つらいときこそ自分よりも恵まれていない人を見て、自分がいかに恵まれているかに感謝するんだ」

同著 264頁より抜粋

注意すべきは恵まれていない人を見下すのではなく、今の自分の状況に感謝すること。ここで研究を続けられる、仕事ができることは、恵まれていることなのだと感謝する。

夢を追うことは必ずしも順風満帆とは行かない。私だって、夢の途中だし、かなり遠回りしてきた。

必ずしも応援してくれる人ばかりではないし、自分より秀でた人たちに会うと、自分の無力さに嫌気が差すこともある。

それでも、一歩一歩、小さくても前に進む。時には下を見て、過去の自分を見て、前へ前へと進んでいく。

そうすれば、いつの日か大きなことを成し遂げられるかもしれない。それを見せられるような人間に、私はなりたい。それではまた次回!

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