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読書記録「マリア様のいない町」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、笠井スイさんの「マリア様のいない町」KADOKAWA (2018) です!
![](https://assets.st-note.com/img/1718198183380-G9NCmJeokR.jpg?width=1200)
・あらすじ
そこは、見捨てられた者が辿りつく町
架空の町“カロチーラ”を舞台に描かれる、悲しみと罪と希望の連作集。
Story of Carocheila「Solitude」
カロチーラの中央広場でヴァイオリンを弾く少女・サリの物語。両親に捨てられ孤独を抱えるサリを、一匹の猫との出会いが変えていく。
『ジゼル・アラン』の笠井スイが、個人誌として発表していた幻の作品群を単行本化。
仕事終わりに寄ったブックオフにて、タイトルと表紙に惹かれて紐解いた作品。後編の「名もなき羊たちの町」と共に。
この作品の主人公達は、みな深い悲しみを抱えている。
両親に捨てられたサリ、恋人に先立たれたエニ、自分のせいで母が死んだのだと囚われているミルラ、拭い難い過去を持つルー。
ちょうど、乾ルカさんの「水底のスピカ」中央公論新社を読んでいるときにもあったのだが、誰一人として、他人の悲しみを理解することはできない。
たとえ同じような悲しみを抱えているにしても、心の底では、自分の経験のほうが辛いのだと。そんな程度で悲しんでいるなんて甘えではないかと、比べてしまうのが人間である。
だけど、、人間には何もできることがない、というわけではない。
……人が誰かにしてやれることなんて、そんなに沢山ないよ……。ただ側にいたり、ただ話を聞いたり、そんなことしかさ。――でも、多分……それでいいんだ。それでもいいんだよ。
この世を去れば、何も感じず、辛い思いを抱えることなく、眠ることだって、できるかもしれない。
良くも悪くも、人間は忘れられる生き物だ。故人の悲しみも、時とともに薄れてしまうものであろう。
だけど、生きていれば、きっと寄り添ってくれる人が現れてくれる。生きてさえいれば、きっと手を差し伸べてくれる。
……いや、本当は近くにいるのだ。
家族や同僚、昔からの友人。あなたが思っている以上に、みんなあなたのことを心配しているのだと。
それに、無理に何かしてやろうとする必要も何のかもしれない。
変わる気がない人を、他人が変えることはできないように。
僕らは所詮、人のそばに寄り添うことしかできない。
でも、それでいいじゃないか。
幾度間違っても、幾度失っても、幾度逃げ出しても。生きていることが正しいと思えなくても。償えない罪をいくつ背負っても。私は、生きて ゆけるだろうか。
たとえ辛いことがあろうとも、生きることに、意味があるんだから。
タイトルで思っていた以上に、心温まるストーリーで、絵が素敵すぎて、とにかく良かった作品でした。それではまた次回!
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