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読書記録「サラバ!」下巻

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、西加奈子さんの「サラバ!」下巻 小学館 (2014) です!

西加奈子「サラバ! 下巻」小学館

・あらすじ
高校生になった今橋歩は、母と姉と3人で暮らしていた。父(憲太郎)と別れた後、母(奈緒子)は新しい恋人探しに夢中であり、姉(貴子)はいじめで不登校になり、もっぱら地元の宗教(?)に陶酔していた。

ただでさえ「まとも」とは言えない僕ら家族が大きく変わってしまったのが1995年だった。それは1月17日の阪神淡路大震災しかり、3月20日の地下鉄サリン事件しかり。僕は逃げるように東京へ向かった。

東京での大学生活は概ね順調だった。元々モテる方だったこともあり、女性には困らなかった。だけど別れる時は毎回同じだった。「いつまで、そうやっているつもりなの?」と。

当時は就職氷河期世代だったこともあり、本腰を入れて就職活動はせず、アルバイトを続けながらライターとして細々と記事を書いていた。その時は、「書きたい」という気持ちだけが強かった。

そんな矢先、母は再婚すると言いだし、父は出家する。あの姉は奇妙なアート(それは子供の頃に見たウズマキだった!)を作って都内に出没するなど、またしても僕の人生を掻き乱した。

気づけば、僕は33歳になっていた。定職に就かず、髪も薄くなった僕は人付き合いを避けるようになった。僕は、未だに軸のない日々を送っていた。

またしても転機となったのは家族だった。あの姉が結婚したと。

先週末に上巻を読み終え、そのままの勢いで下巻を紐解いた次第。

上巻を読み終えた際、家族や友達の存在は、自分の人生に大きな影響を与えると記した。特に幼少期の経験は、今後の人生に大きな影響を与えると。

そりゃ主人公のような家族や時代に生きていたら、私もなるべく波風立てない生き方をしていたかもしれない(まぁ今の私も、そう大差ないけれども)。

相手に嫌われないように、他人に振り回されないように。

だからといって、何でもかんでも他人を軸に生きていくのは、やはり間違っていると思う。家族であれ友達であれ、他人と比べたり、他人にすがって生きていると、自分自身を失いかねない。

以前動画で見たスナフキンの名言に「あんまり誰かを崇拝するのは、自分の自由を失うことだよ」という台詞がある。

世の中には、特定の人物や組織を信じている人もいる。もちろんそれは悪いことではないし、当の本人が幸せなり、豊かになるのならば、それはそれで良いことだと思う。

だけど、最終的に信じるべきは、他ならぬ自分自身である。

「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」

同著 250頁より抜粋

私は、自分はこういう風に生きていくんだと決めている人に憧れる。自分にはそれがないから。かといって、他人が言っていることを鵜呑みにする生き方もしたくない。

難しいよね。自分の中に軸を持つって。自分自身を信じることって。

少なくとも、自分にとって大切なものを、誰かに決めさせたり、他人に求めてはいけない。

そうやって自分の足で歩いていくんだって。それだけで充分なんだって。それではまた次回!

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