読書記録「わたしに会いたい」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、西加奈子さんの「わたしに会いたい」集英社 (2023) です!
・あらすじ
四姉妹の末っ子(みんなパパが違う)として生まれた私は、お姉ちゃんと比べて身体が小さく、そして足に不自由を抱えていた。
そのせいで、学校ではいじめられるし、「友達なんて出来なかった」し、「彼氏も出来なかった」し、「子供を産むことだって出来なかった」。
そんな私が、はじめて「わたし」の存在を認識したのは5歳の時だ。
出会ったら死ぬと言われている、ドッペルゲンガーの「わたし」。オカルトではなく、しっかりと実体を持ち、他の人にも観測される、「わたし」という存在を。
でも、「わたし」が現れるのは、一定の条件があって、それは私が「死にたい」と思ったときだと気づく(あらすじは「わたしに会いたい」より)。
東京読書倶楽部の読書会にて、リピーター様がこの本について熱く語っていたのをきっかけに、この度紐解いた次第。
表題となっている「わたしに会いたい」も面白かったが、個人的には2作目の「あなたの中から」が、私の頭と心を酷く打ちのめした。
あらすじとしては、とある女性が生まれてから、大病を患うまでの物語なのだが、特筆すべき点は要所要所で世間の常識・固定観念とされている言葉が太字になっている。
例えば、
ところで、私事になるが、ここで数少ない小学時代の記憶を1つ。
社会科か何か授業のこと。男女で平均寿命が異なる(女性の方が平均寿命が長い)理由は何かと、座席位置順に尋ねられた。
小学生かつ無知ゆえの過ちと思って頂きたいのだが、その時私は「女性の方が身体的に負担が少ないから」的なことを答えた(おそらく、その頃から男女に仕事の差がある的なこと思っていたのかもしれない)。
そうしたら、その先生が「男は出産の辛さを知らずして、何が身体的に負担が少ないだ」と叱られたのを、今でも覚えている。
そして今でも、その辛さを知らないでいる。出産に限らず、男女に関する固定観念や、LGBTQがなんたるか、自分は知らないままでいる。
自分はそれらを「気にしない」というスタンスだった。だけど、最近フェミニズム関係の本を読んだ時に、「気にしないで生きてこれた」のだと知る。
警視庁によると、令和4年の痴漢検挙人数は1,906人、盗撮検挙人数は3,982人、強制わいせつの認知件数は3,067件と報告している。
内閣府の男女共同参画局によると、女性の約14人に1人は無理やりに性交等された経験があると報告している。もちろん、数字には出ていないものだってある。
読書会でこの本を紹介した方が語っていたこと。この作品は、主人公(彼女)たちのラップ(rap)なのだ。
彼女たちの物語は、性差別や男女の有り様という固定観念に対する、心の叫びなのだって。
何というか、色々と考えさせられる作品でした。それではまた次回!
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