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言葉にする、を焦らない

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

毎日Noteを更新し続けるには、流石にネタ探しにも一苦労である。ちょっとズルいかもしれないが、最近はGoogleの関連キーワードから記事を書くときもある。

映画を観たり、本を読んだ後は話題があるからすぐ書けると思いがちだが、実際にはすぐ執筆に取り掛かれない。読了後は「良かった」としか思い浮かばないことが多い。

でもそれが普通なんだと思う。今すぐに言葉にできないのは、食べたものを腸で吸収するように、ゆっくり自分の中で消化しているだけのことなのだ。

以前読書会で勧められた木下龍也さんの「天才による凡人のための短歌教室」ナナロク社 (2020)を読み終えた。物好きな誰かが、会社の図書館にリクエストしてくれたそうだ。

短歌を書くにあたって木下さんが大切にしていることを記している。困ったら雨を降らせろ、月を出せなど、言われてみれば確かに(笑)と思うこともあるが。

短歌とは五七五七七の合計31音で構成される短い詩。今まであまり気にしたことがなかったが、リズムや音、言葉の意味などを一つひとつ気にしてみると、なるほど短歌もまた趣深いと感じる。

中でも、「目を閉じて、よく見ろ。」という章がある。

いまこの瞬間を書く必要はない。あなたが書くべきはあなたが見ているその月ではなく、あなたがいつか見た見たあの月だ。

同著 50頁より抜粋

美しい風景を観た時、素晴らしい本を読み終えた時、無理に言葉にする必要はない。むしろその時は言葉にせず、その瞬間に酔いしれる方が大切である。

そしていつの日か、ふとした時にその光景が思い起こされる。それまで沢山のことをストックするべきだと。

頭のなかの倉庫から取り出した風景を、実際に見た風景に近づけるために言葉で再構築する。そのとき詩は生まれる。…あなたの記憶のなかにも短歌の材料は眠っている。

同著 50-51頁より部分抜粋

書くことによって、記憶が呼び起こされる。嫌な思い出もあれば、楽しい思い出もある。今日まで書かなければ、すっかり忘れてしまっていた記憶もある。

記憶と読んだ本の感想が混ざり合う。自分の過去を追体験しながら、読了した本の内容を噛みしめる。

言葉にすることを焦ってはいけない。ただ言葉に出来ないことを、いくつも体験することは非常に大切なことだと思う。

別に私は歌人ではなけれども、書く習慣を身に付けたいならば、是非読んでみてはいかがだろうか。それではまた次回!

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