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データ組織の立ち上げ経験者3名が語るカウシェのデータ活用

シェア買いアプリ「カウシェ」 Advent Calendarのクリスマス終了後延長線、29 日目の記事として、データ組織立ち上げ経験者の3人(goro、杉山、tatsuya)にて、スペシャル対談を行いました。

tatsuya(左上)、杉山(右上)、goro(中央下)

まずは3人の自己紹介からお願いします

goro:カウシェでデータ分析を担当している日野です。社内では五郎丸に似ていることから、 名前は拓海なのですが、goro と呼ばれています。2021年7月にカウシェへ新卒入社し、そこからデータ分析チームを立ち上げ、分析基盤の構築や実際に分析などを担当しています。学生時代のインターンでカウシェ COO の前本さん、CEO 門奈さんと出会い、前本さんとはかれこれ 5 年くらい一緒に働いています。もはや口を開く前に何を言うのかわかるくらい、脳内がシンクされた状態になっています。笑

杉山:杉山です。2021年9月くらいに goro さんに誘われてカウシェに複業メンバーとしてジョインしました。週 5 のフルタイムとしては、アトラエで Data Scientist をしています。実は goro さんは 2 年ほど前にアトラエでインターンをしていたこともあり、そのご縁で技術相談やお悩み相談など何でもやっていました。もともと数学者になりたいと思って数学の博士号も取得したのですが、博士になって 1年目に社会に出てみるのも面白いかと思ってアトラエに入社しました。最初はマーケをやっていたのですがその後データ分析チームを立ち上げ、今は統計を中心としたデータサイエンスをやっています。データサイエンス系 VTuber のアイシア=ソリッドを運営しています。チャンネル登録よろしくお願いします。

tatsuya:2022年11月にカウシェにジョインした ML Engineer の白川(tatsuya)です。僕の場合は入社時点ではカウシェには知り合いが一人もいませんでした。学生時代は杉山さんと同じく数学をやっており、研究者を目指していましたが、徐々に違和感を覚え、社会に出ることにしました。当時、某新卒向け求人サイトにて「数学」と入れたらトップに出てきていた数理システム(現: NTT Data 数理システム)に 2009年入社し、最初は数理最適化をしていました。その後、次第にDeep Learningなどが出てきて機械学習への興味が強くなったことから、 ABEJA にリサーチャーとしてジョインしました。そのあとは、プロダクトづくりへの思いが高じて、2020年に一人目のML EngineerとしてBeatrustに転職、一定の成果を残し、先月カウシェに参画しました。

最初、カウシェは数あるECの一つだとしか思わず、そんなに興味は沸かなかったのですが、選考課題を通じてアプリを触っていくうちに、これはやれることだらけだなと思い、強い興味を持ちました。複業メンバーのジョブローテや昇給制度など、2 年目スタートアップとしては異様なほどの組織づくりへの力の入れように興味を持ったという側面もあります。

(Tatsuyaさんの入社note)

杉山:実はここにいる 3 人は全員データ組織立ち上げ経験者なんですよね。

カウシェのデータ組織をどう作っていったか

tatsuya:カウシェに入社してびっくりしたんですが、goro さんってデータ基盤づくりやデータ分析を、正社員としては一人でやっていたんですよね?新卒入社にもかかわらずデータ基盤を作りつつ大量のデータ資産を作るのは、単純にすごいなと驚きました。

goro:その難しさをよく分かってなかったから飛び込めた気がします。笑
助けてもらいながらなんとか作ってきた感じですね。

杉山:こういうことを工夫して作ったって事はある?

goro:色々やりすぎて何をやってきたかあまり覚えてないんですが…笑

杉山:確かに複業として関わる私と、週1で MTG をしてても、毎週ガラッと変わるし、もはや 2 週間前のこととかは覚えてなかったよね笑

goro:とにかく「動くものを早く作る」「インサイトを早く出す」を至上命題としつつ、あらゆる意思決定にデータインサイトをいかに織り込んでいくかを意識していました。基盤もデータの量や種類に耐えられるものを選択してきました。

tatsuya:入社する前に調べてびっくりしてたんですが、このフェーズのスタートアップで Looker を導入しているのって珍しいですよね。

goro:裏事情を話すと、Google のスタートアッププログラムで初年度無料にしてもらえたことがきっかけでした。当時正社員約20名のサービスに対してはBIとしての規模が大きく、管理コストもかかるツールであることも認識していました。なので、少し攻めた意思決定だなとも思ったのも事実です。
しかし、カウシェが目指すグロースの速度を考えると2 年後にはLookerを使うべき状況になっていることは自明で、データが10倍、100倍になっても使えるものを今から取り入れようと思い切って投資しました。
あとは、小規模なスタートアップだからこそ、先人の知恵を借りまくるというのは意識しました。メルペイの立ち上げ時の基盤ノウハウだとか、有名サービスの情報を片っ端から仕入れてました。カウシェに入社した時点の自分の知識だけでは出来なかったことを、インプットを通して強化していきました。

tatsuya:作っていく上で恐れとか不安はなかったんですか?

goro:不安はありました。失敗は前提の中で、どう早く始めて失敗から学べるか、どう不可逆的な失敗にしないかは、よく考えていました。だからなるべく小さく始めたり、失敗したとしても行き詰まらない程よい踏み込み方で、学びながらやっていこうと。

例えばData Warehouseはバラバラではなく、なるべく一箇所に作るようにしました。立ち上げと当面の管理工数を節約するためにという意図です。あとバラすのは簡単だけど、後でくっつけるのは大変だと思って。まずミニマムな形で出すことを重視していました。

杉山:ひとつすごいなと印象に残っているストーリーがあるんですが、goro さんがいない場で「次にどういう施策を打とうか」と話しているときに、あるメンバーが「このデータをみて判断します」って話したんですよね。データが日常の意思決定にまで浸透していて、これはすごいなと思いました。

(「1人目のデータアナリストとして分析基盤を立ち上げた話」noteより)

goro:データを、特別な日のお祭りみたいな感じで使わないようにしていました。日常のものとして、日々そこにあるものとしてやっていたのが良かったのではないかと思っています。たとえばアプリ機能リリースがあったら即日レポートするとか。仮に改善につながるインサイトがなかったとしても、施策が出ればデータも出るというサイクルを浸透させるようにしてきました。

分散化する組織における自律分散的なデータ活用

白川:データ活用をするにあたっての今の課題ってなんですか?

goro:組織が拡大し、各ドメインの専門性や深さが増すことでドメイン知識と分析スキルの距離が広がってきたと感じています。例えばプロダクトチームもカスタマー(アプリユーザー)向けのチームとパートナー(出店事業者)向けのチームに分離し、それぞれの領域理解やチーム状況のキャッチアップに相当な時間が必要になってきました。一方で筋のよい分析をするためにはデータ構造の理解や分析スキルを持っていることは必要です。そんな状況で中央集権的な分析チームが適切な速さと深さの分析を続けるのが難しくなってきます。
そのため、最近はどうすれば分析組織がこの変化に対応できるかを考えています。より分散的な組織を目指し、価値提供ラインに分析リソースを埋め込んでいくことで、施策実行のPDCAをスムーズに回せるようにしたいと考えています。

杉山:そういうのができる人、興味がある人にカウシェに来てほしいですよね。

goro:そうですね。データ活用組織の進化を推進したい方、特にガバナンスやナレッジ管理などのデータマネジメント周辺に明るい方がいると頼もしいなと思います。

tatsuya:機械学習する上でもデータは横断的に使いたいのですが、分散する組織においてどのようにデータを横断的に理解し活用するかというのはチャレンジングな課題ですね。僕も以前の会社で、入社した直後などは機械学習をする前にデータをどのように管理するかが課題になった経験があります。データサイエンスも機械学習も、活用可能な状況になっているデータがないと始まらないんですよね。データがどこにあって、そのデータが何を表すものなのかを精緻に理解することが何をするにおいても大事だと感じています。
goro さんとも最近よく議論していますが、Data Meshみたいな分散化する組織においてデータを自律分散的に管理していく考え方も面白いですよね。こういう組織に合わせたプラクティスを作っていくことには個人的にも興味があります。
僕、入社したてのときはまずはデータを統合管理した方がいいんじゃないかと思ってたんですが、goro さんと話しているうちに組織が分散していっているのだからそれでは管理も活用も難しくなって速度がだせなくなってしまうなと思い直し、ハッとしました。


機械学習を通じたカウシェらしい体験改善

goro:tatsuya さんが最初の自己紹介のときに、カウシェにはまだまだやれることばかり、とおっしゃってましたが、もう少し詳しく教えてもらえますか?

tatsuya:入る前も入ってからも感覚は変わってないのですが、カウシェはまだまだ体験がユーザーに最適化されていないと感じます。ユーザーが自分が興味を持つ商品を最適に提示もされていないですし、なにか欲しいものがあるときにそれを最適に探せるかというとそうではない。機械学習はおいておくにしても、まずは体験の改善を行いたいと思っています。
たとえば最近、ベビー・キッズのカテゴリーがリリースされましたが、それもあってカウシェを開くとベビー用品がおすすめ画面に並ぶことが多いのですが、こういうのも興味には個人差があるのでパーソナライズしていくべきですよね。
カウシェはこの規模のスタートアップにしては非常に商品数が多いので、上手くやらないとユーザーは出会えるはずの商品と出会えないでしょう。時にはユーザーが興味を持つかわからない商品をも試しに提示してみたりしながら、実験を通してユーザーの興味を探れる仕組みなども作っていきたいですね。

杉山:この短期間でカテゴリ開拓もすごい勢いで進んでますもんね。今年だけで、家電、コスメ、ベビー・キッズ…

白川:カウシェって普通のECじゃなくて人が人に勧めていくソーシャル体験があることが面白いところだと思いますが、実際はまだそのインターフェイスがあるくらいで、これからどんどん創造したり最適化したりできる部分だと思っています。

杉山:仲良くなりそうな人たちを繋いでいくことで、セレンディピティを創出したりもできそうですよね。結果的に購買率が上がったりして。

白川:商品がポッと出てくるんじゃなくて信頼できる人に紹介されることでつい買ってみたくなっちゃうっていう体験もあると思うんですよね。たとえば僕自身はプロテインを買ったことはないんですが、goroさんにおすすめのプロテインを紹介されたらgoroさんがおすすめするんだったら試してみるかとなる…みたいな。
欲しいものを買うなら普通の EC でいいと思うんですよね。人からおすすめされる、が本質的に新しい。楽しいショッピング体験を作る上でも、徹底的にやっていきたい。

杉山:YouTubeも配信者をレコメンドされたときにその人の動画を全部見ちゃうとかありますよね。TikTokみたいにユーザーの即時的な反応をもとにした最適化だったりもできそうですね。

白川:ユーザーに対して正直であろうとするなら、ユーザーのリアルタイムの行動をサービスにリアルタイムに反映することはそもそも必要条件だと思うんですよね。秒単位の時間でユーザーの意図を理解してレスポンスを返す必要がある。

杉山:それが必要になるアプリがあるっていうこと自体が楽しいですよね。コンテキストに合わせたレコメンド。同じ人にいつも同じ商品を出すのではなく。

白川:ですね。カウシェはやっぱり人が起点になっていることもあり、ユーザーが作ったコンテンツ(UGC)もキーだと思います。普通の ECだとユーザーはEC側が設計したレコメンドを体験せねばならないところが、カウシェだと他のユーザーによるレコメンドを体験できるかもしれない。そしてそれが体験のど真ん中になりえる。

こんな人と働きたい!

杉山:まだないものを作ることに熱狂できる人と働きたいですね。
あとは、短期的な経済価値と対立しうる価値の間のバランスを追求できる方。目先の売上も大事だけど、その先にある顧客体験価値も大事で、そこのバランスをとることが重要なサービスだと感じます。
この先、どんどんユーザーや組織の規模が大きくなっていくはずなので、世界最大規模のインフラを作っていったりすることに興味がある方も向いていそうな気がします。

goro:未来に向かって移りゆく状況の中で、変わり続けることを楽しめる方、ですかね。tatsuya さんはどうですか?

tatsuya:goro さんの表現に関心しちゃってました。笑 僕もそこにはとても共感しますね。カウシェのバリューってすごく良いと思うんですよね。自律・自燃型組織とかTry Firstとか。やはりそういったものに共感する方とご一緒したいです。

カウシェでの仕事に興味がある方はこちらからどうぞ。

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goroのTwitter @56hino やYoutrust、
tatsutaのTwitter @s_tat1204 もしくは Youtrust までお気軽にご連絡ください。


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