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ジャニーズ問題に見る、どこまでもおじさん達に甘い国。


ジャニーズ性被害問題で、ひしひしと感じたのは、ここまでやりたい放題が許される、反吐が出るほど「おじさん天国日本」という気持ちだ。
あの記者会見など、さすがジェンダー平等意識も人権尊重意識も低すぎて、ど底辺に位置する情けない国だけのことはあると思わされました。

折しも今年6月には、政治分野でのジェンダーギャップ指数が「世界最低レベル」だと報道されています。


第二次岸田再改造内閣の顔ぶれを見れば、否定のしようもありません。

第2次岸田再改造内閣が発表され、19の閣僚ポストのうち女性は5人にとどまった。9月15日の閣議では副大臣と政務官の人事が決定したが、計54人は全て男性議員が占め、女性議員はゼロ。2001年に副大臣・政務官が導入されてから女性がゼロとなるのは初めてと報じられている。
ジェンダーギャップのいくつかの分野の中でも、日本の政治における格差は特に深刻だ。世界経済フォーラム(WEF)が6月に発表した「ジェンダーギャップ指数2023」で、日本は調査対象となった146カ国中125位だった。政治分野はさらに格差が大きく、146カ国中138位で「世界最低レベル」の結果となっている。

男性だらけの日本の新内閣。ジェンダーギャップ指数の上位国の写真と比べると、差は歴然【画像集】
ハフポスト日本版2023年09月16日



メディア対策のつもりか、閣僚ポストには女性を入れて取り繕って見せたものの、実態はこれですからね。
自分たちが好き勝手できる権力と決定権は、女子供に渡してなるものかと、おじさんだけでガッチリ握る。
だからいつまで経ってもこの国ではジェンダー不平等や人権侵害が当たり前のようにおこなわれています。
セクハラやパワハラも横行して、被害者が声をあげて訴えても、メディアが取り上げるようなケースにならないかぎり、「女子供が大げさに騒いでいるだけ」で片づけられかねません。

ジャニーズの性被害問題は、まさにそうした扱いの見本でしょう。
知りませんでした、気づきませんでした、言い訳、言い逃れ、ごまかし。あ〜んど、被害者心理に配慮してなるべく穏便に解決? 被害者の思い込みや勘違いもあるだろうし? 時間をかけて(ほとぼりが冷めるまで)丁寧な対応を…etc…なんてシロモノがまかり通るわけです。

これって、あり得ないほど長引いた伊藤詩織さんの裁判のあれこれを思いだしませんか?


今頃になってようやくですか?
これ、今日のハフポストの記事なんですけど…何年越しやねん!
ジャニーズの性被害がここまで放置されてきたのも、事務所による被害者救済が進まない理由も推して知れる対応だというほかありません。
仮に少年たちがこの件を裁判に持ち込んだところで、長期に渡って興味本位の視線にさらされ、伊藤詩織さんと同じような目に遭うことはわかりきってます。事務所はそれがわかっていたからここまで放置してきたのではないでしょうか。

これぜんぶ、この国がいかにおじさん達に甘く、女性や子供が蔑ろにされているかの証明だと思いますね。
そして、そのおじさんにベタ甘な体制を懸命に維持しようとしているのが、この国のおじさん政治家です。
しかもそのトップからして無自覚というか、取り繕ってるつもりで本音がダダ漏れというのか……。


岸田氏のみならず、こういうおじさんが、良くも悪くもこの国には山ほどいるわけですよ。
ろくなもんじゃないですね。
無自覚なら、直接的に手を下してなければ、無罪だとでも?
わたしはそうは思いません。
偏見や悪しき慣習をそのままに、「この国ではよくあること」として放置してきた結果、「絶対的強者は何をやっても許される」と勘違いしてしまう土壌ができたわけですからね。
それを助長してきたおばさん達も同罪です。

裁判で負けてさえ、「同意なく性行為に及んだ事実はなく、虚偽主張に対し一貫して争ってきたが認められずに残念である」とコメントした山口敬之には呆れ果てました。
これって、一般人なら逮捕され、職を失い、社会的制裁を避けられないような不正が露見しても、「記憶にございません」を連発する政治家の言い草とそっくりじゃないですか?

子供が性被害に遭っても、周囲に知られたら恥になると、本人の意思に反して泣き寝入りを勧める大人の考えや、捕まらないならばと、また次の被害者を狙う性犯罪者心理ともどこかしら似ていませんか?
被害者感情を無視した加害者心理や、保身優先の考えばかりが前面に出ているところが!

この国では、だから性犯罪の加害者でさえ、ここまで厚顔無恥な言動がまかり通るのでしょう。
下劣なコメント等で同様の主張を繰り返した同調者も然り。
今ここに挙げた加害者の例のほとんどが男性で、女性は一部にとどまるというだけでも、いかにおじさん達がやりたい放題かわかりますよね。
この国の人口は、おじさんが過半数を占めるというならともかく、そんな事実はないのですから。


じゃあ何故おじさんはここまでやりたい放題が許されてきたのか?


岸田氏のこの「女性ならでは」発言からは、相手の生殺与奪の権利を握る立場にある者による優越感を感じます。
女性だけでなく、「若い男性」がセクハラ被害に遭う場合も、加害者はほぼ直属の上司や先輩です。
ホストクラブにでも行った気分で部下に対して言いたい放題、やりたい放題というのも、セクハラの加害者が男性の場合とそっくりです。

ジャニーズの少年たちが多数被害に遭ったのも、故ジャニー氏が、彼らの芸能活動に対しての生殺与奪の権利を握っていたからです。
相手は逆らい難い大人で、デビューやテレビ出演のチャンスの決定権を持っていて、あまつさえそのカードをチラつかせるのです。
これは一般企業などで、セクハラやパワハラが起こる上司と部下の関係に酷似しています。

また、メディアはジャニーズで少年時代に性被害に遭いながらも、成功している成人タレントについては、今のところ触れるつもりがなさそうです。
普通に考えれば、無事にデビューして今現在も売れているタレントの中にも被害者はいるはずなんですが、そこに触れるのはタブーということなのでしょうか。

もちろんそれは、現在は結婚して家庭を持っていたり、父親になっている彼らに対して、忘れたい過去の悪夢だという見方もできるでしょう。
でも、本当のところはちょっと違うんじゃないかと思うんですよね。

たとえば、もしも現役のタレントが過去の性被害を訴えたら、糾弾されるのはジャニーズ事務所だけにとどまらないと思いませんか?
ジャニーズ事務所所属以外の子役やタレント、アイドルや女優のたまご達だって、多かれ少なかれ似たような被害に遭っている可能性はかなり高そうです。彼らだっていつまでも黙ってはいないでしょう。
もしそうなったら、プロダクションや関係各局のおじさん達を筆頭に、大物や大御所と呼ばれる業界関係者もおそらく無事では済みません。

性被害を知られたくなくて泣き寝入りするしかなかった少年たちは、ジャニーズ事務所だけでもとんでもない人数にのぼっています。
もしも同じような被害がジャニーズ事務所以外からも次々に露見すれば、日本の芸能界やテレビ局を根本から揺るがしかねない、エンタメ業界とメディアを巻き込んだ途轍もないスキャンダルに発展するのは目に見えています。

おそらく、だから話題になってないと思うのです…今のところはまだ。

このジャニーズの問題発覚で、今ごろ大手から弱小まで様々な事務所の社長や幹部社員たちが、お抱えタレントによる被害の暴露を避けようと、対処と保身に懸命になってる姿を想像するのですが、実際のところはどうなんでしょうね。
わたしの勝手な妄想だといいのですが…。

ジャニー氏は既に亡くなり、これを機に、子役や若いタレントや女優のたまごなんかが、今後は被害に遭わなくなればいいとは思うけれど、まだまだ根本的な解決には程遠いだろうと考えています。
というよりも、これほどの問題を簡単に解決してもらっては困ります。

この問題は、セクハラや性被害が、あたかも強者の特権のごとく許されてきたこの国の構造そのものにあるからです。
この国には弱い立場の者に対する差別や人権侵害を許容する土壌が、大昔から存在しているのです。

DV、いじめの構造、多すぎる痴漢や盗撮被害、教員による児童や生徒への性加害、外国人差別……挙げればキリがありません。

なのに、いまだにこの国では、加害者の側に属する圧倒的多数の中高年男性が、制度や意思決定の中心の場にふんぞり返り、女性や若者を徹底的に排斥しているのです。
だから無神経な言動や強者の論理がいつまでも通用し、それをそのまま維持すべく、女性や若者を締め出すことをやめないのでしょう。
ジャニーズの問題は、日本の社会の縮図と言えるでしょう。

不埒なおじさん達が強権を振りかざして性犯罪におよんでも、これまでは勇気を出して訴え出た被害者に対して、警察や司法でさえ、まともに取りあわないような扱いが多かったことからも、この国の人権に対する低すぎる意識がわかります。
文字どおり「女子供を食いものにしてきた」輩が存在することが、ようやく周知される時代が来たのです。

無論「変態の故ジャニー氏と一緒にするな!」と反論する中高年男性も多数いるでしょう。
でも、じゃあ貴方は妻や子供や部下や同僚の女性に対して、自分が「男だから」あるいは「家長や父親や上司だから」という理由で、暴力にうったえたり、「女のくせに生意気いうな」と威圧的に言論を封じたりしたことは一度もないんですね?
そうわたしは問いたい。
ノーと答えられる男性はどの程度いるでしょうか?

ちなみにわたしの父や親戚、上司や同僚、学生時代の異性のクラスメイトまで、ほぼ全員が当てはまります。
まぁ「男の子は男らしく」という洗脳教育が、今なお蔓延るこの国では、彼らにだって被害者的側面もなきにしもあらずなんですけどね。

昨今は「男らしさ」の押しつけに苦悩する男性もいるわけだし、もちろんここに該当しないひともいるだろうけど、でもそんなひとがいじめやパワハラをするでしょうか?
自身に対する人権侵害に苦悩しながら、他人の人権に無頓着だったりするとは思えません。だからこれはあくまで他人の人権に無頓着なおじさんに対する告発です。

あなた方は決して特権階級ではないし、男性だから女性よりも能力に優れているわけでもなければ、性別で優遇される理由も、支配的地位を独占していい権利もありません。
それは単に「これまではそうだった」だけで、「これからもそのままでいい」わけではありません。
というよりも、世界の潮流は「そうであってはならない」という方向へ流れています。

時代はもはや戦時中でも昭和でもありません。悪しき慣習の維持や、家業を継ぐ男子を女子よりも優遇する理由もないのですけどね。
若い世代に、良妻賢母の教えだの男子優先だのといった古臭い考えや無意味な慣習を押しつけるべきではありません。
それを続けるかぎり、これからもDVや性被害、いじめも差別も決してなくならないでしょう。

事ここに至っても、被害者の人権よりも加害者の社会的地位や権威の失墜のほうに配慮する日本のメディアも、表向きは時流に乗ったふりをしているけれど、こちらもまたおじさん天国という実態は変わりません。
おじさんによるセクハラやパワハラも横行してそうですしね。
が、上層部がどうであれ若手や女性比率が高い分だけ、それでも政治家よりはまだマシと言えるでしょう。

どうにも意識や感覚が古臭く、時代に逆行するばかりの岸田政権の面々には、その辺りをきっちり自覚していただきたく思う所存です。


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