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読書日記: マチネの終わりに

どうしてもどうしても読んでみたくて、去年日本から友達に送ってもらった小説が、この本。

本当に、至福の読書時間だった。言語化にすらしたことなかった無数の感情を、ここまで言葉に表現できる人がいるなんて、と驚きながらページをめくった。日本語を読めることの幸せの一つは、この本を楽しめることなのかもしれない、と本気で思ったほど、世界中の翻訳家泣かせの文の美しさが、至るところに散りばめられているような本だった。

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか。」

一つのセリフが、様々な場面で少しずつ違ったニュアンスを持って使われる映画や本が好きだ。だから、洋子がそのセリフを思い出した時も涙が止まらなかったし、自分の生活でそのセリフが頭をよぎることが何度もあった。そして、未来でもきっとあるはず。

1月に日本に一時帰国した時、KLM航空の機内でも映画を見ることができて嬉しかった。映画やドラマは基本的に原作の本を先に読むのが好きだけど、ギターの演奏の場面だけは確かに自分の想像力に限界があることを読書中に感じていたから。もちろん、2週間の隔離生活のお供の一つはこの本。リルケの詩集も近いうちに買わなきゃ。

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