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受講報告 エンパワーキッズ1dayセミナー

私が認定コーチをさせていただている能力開発会社の株式会社AWARENESSが、立ち上げた子育て支援プログラム「AWARENESSエンパワーキッズ」の1DAYセミナーに参加してきた。表向きは子育てに関するものであるが、人材育成に直結する部分も多くあり、そこを中心に紹介したい。

子育て(部下育成)になぜ悩むのか

子育てや部下育成で悩んでいる親や上司は多く、「悩みはなにか?」と聞かれれば、あれもこれもとたくさん出てくるが、「なぜ、悩むのか?」と問われ、思わず答えに窮した。悩みは、親や上司がもつあるべき姿や、周囲の目を気にすることからくる。つまり、悩みの原因は、子供ではなく、親や上司にあるとのこと。特に親の立場であれば、明確な理由はないのに、親の価値感や、親が思い描く理想、親自身が周囲からどう見られるかを親が勝手に意識しているだけなのだ。上司の視点で考えると、上司として求めらえるものがあり、その達成ができなければ、悩みになるかもしれないが、上司の思い込みやプライド、周囲からの見られ方からくるものも多いのではないだろうか。子育て(部下育成)の悩みが、自分が作っているととらえらえるということは、自分がコントロールできる課題ともとらえるられる。これするだけでも、悩みへの向き合い方が変わるのではないだろうか。

子育て(部下育成)の極意タイムマネジメント

子育ての現場でも、仕事の現場でも、やるべきことは多く、かつ突発対応が求めれれる場面がある。これがなぜ、起きるのか。それは、タイムマネジメントがうまくいっていないからだ。タイムマネジメントは、すなわち優先順位であり、重要なことを優先し、緊急対応が必要にならない状態にすることだ。多くのトラブルは、事前に対応すべきことを対応すべき時に、対応していなかったから生じる。例えば、親や上司の思いを伝える前に、子供や部下のの思いを受け止め理解することが、子供が親の言葉に耳を傾けてくれるようになる。家庭や職場のルールなど、大事にすべきことをまず先に納得して理解してもらうことも大切だ。

子供(部下)にとっての幸せとは何か

子育てする親は皆、子供の幸せを願っているし、上司だって部下が成長し活躍してほしいと思っているはずである(仕事さえしてくれれば、部下はどうでもいいという上司は、そもそも育成するというしてはないかもしれない)。しかし、親が上司が思い描く未来が、本当に子供や部下の幸せだろうか。いつの間にか、親や上司の価値観を押し付けていないだろうか。親や上司が幸せだと思っているものが、必ずしも子供や部下の幸せや求めているものではにないかもしれない。ここがずれていると、どんなに思いを込めてやっても、うまくいくはずがないし、親子や上司部下の信頼関係を築いていくことは、難しくなる。しかし、それでも親として、上司としての自分の価値観を優先しがちになる。だからこそ、子供(部下)の理解を理解し、繰り返し、子供(部下)にとっての幸せとは何かを、自らに問い続けることが重要なのだ。

家庭は、子供にとって最初の社会

人は社会の中で生きていく。社会には理不尽なことがたくさんある。家庭は子供が最初に触れる社会であり、最初の社会でうまくやっていくことができれば、その先の社会で失敗しても立ち直れる。だから家庭は、子供にとって安心できる場所で、いつでも帰ってこれる場所にすることが大切だ。そのうえで、社会でいきていくために、子供の失敗を奪わず、多く失敗を経験し、失敗から学ぶ楽しみを学び、失敗から自らを作っていくのだ。このことは、職場でも当てはまる部分があると思う。当該職場ですべて完結することはあまりなく、顧客や関係部署、関係者や同僚などと関係して仕事は進んでいくが、直属の上司と部下の関係が安心できる場所だったらどうだろうか。よりチャレンジもできるし、うまくいかないことがあって立ち直りやすくなるのではないだろうか。
また、本セミナーでは、家庭の中でルールを決めて、守ることも強調していた。ルールがあるからこそ、自由があり、挑戦できる。だからこそ、子供と共にお互いが納得できるルールをつくり、それを家庭でも実践していくのだ。これは、職場に当てはめれば、心理的安全性を確保することにもつながる。明確なルールがあり、よいことは、ダメなことはダメという基準があることが、安全だと思えるのだ。

ネガティブ感情を一緒に味わう

感情は大きくポジティブ感情(幸せ感情)、ネガティブ感情(生存感情)、中立感情(強化感情)の3つに分けられる。ネガティブ感情を味わうのは、危険を回避するための感情であり、生存のためには必要な感情である。ネガティブ感情を味わうのは、脳が正常に発達している証拠ともいえる。だから、ネガティブ感情を味わうことを避けることなく、むしろ、それをしっかり味わうことで、ポジティブ感情をより強く感じることでき、心の底から感謝の気持ちが湧いてくるようになる。
だから、親や上司、子供や部下のネガティブな感情もしっかり受け止めて、一緒に味わることが重要だ。

親が子供から感じる以上に、子供は親から感じている

量子力学的な視点から幸せを考えたとき、人の気持ちや感情は、言葉や態度だけでなく波動として他人に伝わっていると考えてられている。幸せを感じている人と一緒にいると幸せを感じ、苦しい気持ちの人からは苦しい波動が発せられている。親子でも、同じようにそれぞれの感情や気持ちを受け取りあっている。親は子供の様子から、様々な感情を受け取っているが、波動を受け取る感度は、子供のほうが高い。つまり、親が子供から感じている以上に、子供は親から波動を感じ取っている。だから、親が穏やかで幸せな状態でいれば、子供もその感情を受け取ることができるのだ。

セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福を先に満たす

脳科学的な観点で、幸せ感情に影響する脳内物質に注目すると、心の身体の健康から来る「セロトニン的幸福」、人とのつながりや愛情からくる「オキシトシン的幸福」、達成感や成功からくる「ドーパミン的幸福」に分類される。ドーパミン的幸福は、人を動かす力が強く、多く人や子供が、ドーパミン的幸福を求めてやすい。しかし、ドーパミン的幸福は中毒性があり、ドーパミン的幸福だけを求め続けると心身がバランスが崩れてしまう。だからこそ、ドーパミン的幸福だけでなく、セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福を合わせて求めていくことが重要である。セロトニン的幸福やオキシトシン的幸福が土台にあることで、長期的に安定して幸福感が得られるため、食習慣や適度な運動、良好な睡眠を確保し、セロトニン的幸福をえることと、親や家族、職場の仲間とのつながりを感じオキシトシン的幸福を得ていける環境を整えることが、親として、上司として大切だ。

やり方より、マインドが重要

子育ても、部下育成も、無数の方法が提唱されているが、子供も部下も職場も、それぞれ異なり、必要なものは異なるはずである。だからこそ、どのやり方がよいかを求めるのではなく、親として、上司としてのマインド(考え方、在り方)を習慣化していくことが重要だ。今回のセミナーでは、30の子育てマインドを紹介していたが、そのマインドを通じて、下記の6つの実感を得られることを勧めていた。
1.愛されている実感
2.承認されている実感
3.信じてもらっている実感
4.感謝されている実感
5.応援されている実感
6.理解されている実感

エンパワーキッズ1dayセミナーの内容をご紹介した。子育てが部下育成に通じる部分がたくさんあった。上司が本当に部下の理解に徹し、部下のことを大切にすることが、部下の本来の力を最大限に発揮できることなんだと考えた。


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<著者について>
野﨑卓朗(Nozaki Takuro)
日本産業衛生学会 専門医・指導医
 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教
 日本産業ストレス学会理事
 日本産業精神保健学会編集委員
 厚生労働省委託事業「働く人のメンタルヘルスポータルサイト『こころの 
 耳』」作業部会委員長

「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」



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