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ヒューストンでの大学院留学の極意


はじめに

Rice Universityの大学院生として,4年間半ヒューストンで生活した.

ヒューストンこそが,白鳥が海外で最も長く滞在した都市で,深い思い入れがある.そんな我が愛しのヒューストンを紹介していきたい

ヒューストンは全米第4位の人口を有する経済都市で,毎年4月に20チーム以上が参加する日本人ソフトボール大会が行われるくらい日本人駐在員が多い.

一方で,白鳥のような日本人留学生は大変少ない.白鳥が2024年に転学したアメリカ中西部にあるUniversity of Illinois Urbana-Champiagnでは思った以上に日本人留学生が多くて驚いた.

また,白鳥が2022年に登壇した米国大学院学生会主催の海外大学院留学説明会・アメリカ地域別バトル!では,白鳥の情熱あるプレゼンにも関わらず,アメリカ南部への留学に興味をそそられた参加者は少数であった.

余談)プロフィールにSwitchフレンドコードを記載したが,フレンド申請もツッコミもなかったのは懐かしい.

参加者投票で最下位の南部.

このように世間一般におけるアメリカ南部留学の不人気さが伺える.そんな過小評価されがちなアメリカ南部テキサス州ヒューストンでの生活を再評価することも本記事の狙いである.

本記事は二部構成になっており,第一部では,留学生としての過ごしやすさをいくつかの観点から議論している.第二部では,具体的に白鳥がどのようにヒューストンを堪能したかを紹介している.観光で行ってみたい・行く予定がある方にも参考になるかもしれない.

ヒューストンでの暮らしぶり

【地理】北米主要都市へ3−5時間フライト

日本の約3倍の面積があるテキサス州はメキシコと国境を共有しており,ヒューストンはメキシコ湾近くに位置している.

テキサスはデカすぎるのでどこも圧倒的な車社会であり,他の北米主要都市に比べて,公共交通機関は発達していないのは無理もない.

車がなくても生活はできなくはないが,車を持っている友人やルームメイトに頼らざるを得ない.

白鳥はまさにそのケースで,そもそも一人でお出かけすることがほぼないため,必要性を感じず,テキサスで運転免許を取っていない.

ロードトリップのために,一度ドライビングテストを受けるも最初の縦列駐車で縁石に乗り上げ,1分も立たないうちにテスト終了.公道を走らせてもらうことすらできなかったのは切ない思い出だ.

また,ヒューストンは地理的に絶妙な位置にあり,東海岸にも西海岸にも同じぐらいの時間と距離のフライトで到達することができる.

United Airlineのハブ空港でもあるGeorge Bush Intercontinental Airportの国内便が充実しているため,週末・祝日を使ってアメリカ国内を十分に旅行することができる.

ヒューストンは南米諸国への玄関口でもあり,割安で南米旅行ができるようだ.今になって南米を旅行しておけばよかったと思っている.

【気候】夏か夏以外か

ヒューストンは南米に近いため高温多湿である.体感で気温の1.5倍くらい暑いと言っても過言ではない.そのため,四季は存在せず,ヒューストンの気候は夏か夏以外の二元論で説明できる.

2022年観測平均最高・最低気温

基本的に3月くらいから「涼しい」とは言えなくなり,11月ぐらいから普通に暑い日と肌寒い日が交互にやってくる変わった気候となる.

高温多湿のあまり,外は軽いサウナ状態であり,何もしていなくても汗をかきやすい.汗をかいても良いスポーツウェアが普段着となり,ワークアウトの敷居を大きく下げる.なんだったら汗かいたしシャワー浴びるために走ろうかみたいな思考回路になる.

さらに,普段着がスポーツウェアになることで,洗濯物の量が少なくなるため,電気代や洗剤の節約にもなる.

一般的に6月1日から11月30日の半年もの期間がハリケーンシーズンとされており,特に8,9月は高い確率で道路が冠水することがある.

さらに,雷雨を伴う突発的なゲリラ豪雨は天気予報を容易に裏切り,もはやヒューストンの風物詩だ.

2月にしばしば積雪することがあり,かなり高い確率で電気・ガス・水道が止まることを覚悟しなければいけない.

2021年2月に記録的な積雪があり,3日にも及ぶライフラインなしサバイバル生活を送った.氷点下を少し下回って,雪が少し積もったくらいで崩れる脆弱なインフラであった.

”One small step for a man, one giant leap for mankindごっこ”

【自然】無限に運動できる

ヒューストンは”Bayou City”としても知られており,Buffalo Bayouという河川が中心に通っている.

氾濫防止の観点からこの河川沿いは超長い人口河川敷あるいは公園となっており,信号機に止められることもなく,思いっきり運動することが可能だ.

ヒューストンはランナーに走らない理由を作らせない都市である.

白鳥がよく走った公園とRice Loop

ライス大学を囲うランニングルートはRice Loop(1周3マイル)と呼ばれ,多くの学生や地域の方々がワークアウトをしている.

3マイルでは足りない,同じところを走りたくない場合,Main Streetをまたいで,Hermann Parkへと繋がる大回りのランニングルート(1周6マイル)がオススメだ.

さらに,ダウンタウン方面には,Buffalo Bayou Park(大回りで1周6マイル)と,Memorial Park(1周3マイル)があり,Memorial Driveを通って,これらの公園を一回で走るとハーフマラソンくらいの距離(13.1マイル)となり,ロングランに最適である.

実は,Hermann ParkからBrays BayouとBuffalo Bayou ParkからWhite Oak Bayouへのルートはスポーツバイクでも走りきれないくらい長く,まさに無限である.

【食事】肉がうまい

カウボーイのイメージそのまま,今も昔もテキサスは牧畜が盛んである.

毎年3月に開催されるヒューストン恒例行事Houston Livestock Show and Redeoがそれを物語っている.

ロデオが始まる前の週に,何百頭にもおよぶ馬や馬車,そして仮装した人々がダウンタウンをパレードする光景は圧巻である.

ロデオパレードの様子.けっこう長い.路上はフンでいっぱいになる.

ロードトリップでヒューストン外に出てみると,地平線が見えるくらい広大な牧草地が広がっていて,家畜が放し飼いされていることに気づく.

このことから想像できるように,肉がうまい.いわゆるテキサスBBQだ.さらに,大体のアパートにはグリルする場所があり,H.E.B.(Grocery Store)で肉を買って,友達とBBQすることもある.人数にもよるが,一人約$10くらいでお腹いっぱい食べることができて,満足度が高い.

その他にも,テクス・メクス料理ケイジャン料理,ベトナム料理が有名である.

白鳥が実際に行ってみてオススメするヒューストンのレストランは巻末のGoogle My Mapでまとめている.

【治安】悪いが部分的で回避可能

アメリカ国内の主要な都市のどこでも共通しているが,ヒューストンにもダウンタウンを中心に怪しいエリアは存在している.

ゴミが散乱していたり,ホームレスのテントが乱立していたり,テキサスでは違法なマリファナの匂いがしたり,怪しいエリアは一瞬でわかることが多く,意識的に回避可能である.

経験上,大学やBuffalo Bayou Park周辺は夜でも問題ないと考えている.

それは白鳥が男性だからだろうと懐疑的な方々のために,女装して夜中歩いてみようと思ったが,そうしてしまった時点で治安が悪いことを露呈することに気づいたので控えたい.

【生活】家賃は$1000,最高のアメニティ.

ヒューストンにいる間,白鳥は3回引越しをした.上記マップ内のライス大学を除く星マークと住居マークは白鳥がかつて住んでいた場所だ.

これらのアパートはルームメイトと2人で光熱費等含め家賃は月せいぜい$1000くらいであった.

特に最後に住んだアパートは.Buffalo Bayou ParkとH.E.B.(Grocery Store)に近く,ジムやプールなどのアメニティが最高であった.

大学から遠いところ(片道7km)にあえて住んだ理由は,登下校の時間をサイクリングしたいというワークアウトプランの方針であった.

これらのワークアウト関連のテクニックに関する記事(在米サバイバルワークアウト術)は現在執筆中である.

ルームメイトを持つことで,ジムやプールなどのアメニティがより良いアパートの選択肢が増え,雑談やボードゲームの相手になってくれるだけでなく,相手が車を持っていた場合,買い物に一緒に行ったりと大変助かった.

お気に入りのスポット.焼きマシュマロができる.キャンプ行かなくてええやん.

ヒューストンの楽しみかた

ジョンソン宇宙センターを楽しめ

ヒューストンはNASAのジョンソン宇宙センター(以下,JSC)があるため,”Space City”として有名である.

JSCは有人宇宙飛行訓練,研究,および飛行管制の本拠地で,かつてはアポロ計画による人類初月面着陸をサポートし,現在も国際宇宙ステーションの通信管制,そして現代のアポロ計画とされているアルテミス計画を推し進めている.

余談1)白鳥が飼っている黒パグ「アルテミス」の由来は,宇宙兄弟のパグ「アポ」の由来がアポロ計画であるのと同様に,アルテミス計画である.

生後1ヶ月のアルテミス

余談2)JSCの土地はRice Universityが寄付したものであるらしい.さらに,Riceスタジアムでケネディ大統領のムーンショットスピーチが行われた.

JSCの観光業務を担っているのがスペースセンターヒューストン(以下,SCH)である.

白鳥は10回以上訪問しているが,2019年のアポロミッションコントロールセンターの改修や2020年のFalcon 9 ブースターなどの展示品の更新など,毎回楽しみと学びがあって,年間パスポートまで所持していたほどだ.

さらに,1人$200かかるNASA VIP TourもMission Control CenterとAstronaut Training Facilityの両方に参加した.NASA VIP Tourに関する記事は現在執筆中である.

もしSCHに行かれる場合,Mission Control Tour付きのチケットをオンラインで買い,事前にSCHアプリをダウンロードしておき,当日のイベントの確認やRocket Park TourやISS Mock Tourの整理券を取得しておくことをすすめたい.

人類が月面に着陸したことのインパクトの大きさを五感で感じることができる最高の場所だ.

ワークアウトを楽しめ

前述の通り,ヒューストンはワークアウトをする場所がいっぱいある.さらに,スポーツイベントもたくさん開催されている.

その筆頭がChevron Houston Marathonである.白鳥は2020年にハーフマラソンに参加してから,2022年,2023年,2024年(2021年はコロナで中止)とフルマラソンを走っている.2025年も走る予定だ.

道路の真ん中を思いっきり走るのは楽しいし,白鳥には一年に一度はこういった身体を極限まで追い込むような修行チックなことが必要であると感じる.

転学することが決まっていた2023年は,ガルベストンビーチで行われたBolivar Live Triathlon(オリンピックディスタンス)やHouston Marathon Warm-up Seriesの一部であるハーフマラソンや25km走にも挑戦した.

Bolivar Live Triathlon第一種目スイム.波高すぎて死ぬかと思った.

自分の足で実際にレースを走り切ってみると,「ヒューストン,走破したり〜」という感じで「自分は今,ヒューストンを堪能している」という気分に浸ることができるのでオススメだ

さらに,ボルダリングもオススメだ.Riceのボルダリングサークルに所属することで,割引を受けることもできる.

ボルダリングは頭も身体も使うためやり込み要素がある.

走ったり,ボルダリングしたり,なんてアクティブで素晴らしい生活だったろう.ヒューストンで培った在米サバイバルワークアウト術についての記事は現在執筆中である.

テキサスロードトリップを楽しめ

テキサス州はデカすぎるので大体7つの地域に区分される.

テキサスの大まかな地域区分.ヒューストンはGulf Coastにある.参考ウェブサイト

比較的アクセスが容易なサンアントニオとオースティンが属するHill Countryが主なロードトリップの目的地である.

テキサスは州立公園がとても多く,アメリカの63ある国立公園を運営するNational Park Serviceのように,テキサスの州立公園を運営する部署があるくらいである.

オースティン方面(Hill Country)にロードトリップに行った際にぜひとも行っておきたい州立公園を2つ紹介したい.

一つはEnchanted Rock State Natural Areaだ.文字通り,魔法がかかったように浮き出た超巨大な丘である.

Enchanted Rock Summit Trail

もう一つはPedelnales Falls State Parkだ.Pedelnales Riverが形作った階段状のデカすぎ石灰岩床.

River Outlooks

最後にテキサス州立公園に関して大変参考になる資料を紹介しておく.

白鳥家ヒューストン観光プラン

白鳥がイリノイ州に引っ越す直前の2023年12月末,せっかくだからと白鳥家全員がヒューストンに旅行でやってきた.

以下は白鳥が4年間半の集大成として白鳥家のために作成した3泊4日のプランだ.

白鳥家ヒューストン観光プラン

【特典Google My Map】ヒューストンのおすすめレストランと観光地

最後まで読んでくれた皆さんに,白鳥が4年間半で実際に行ってみたレストラン,カフェ,観光地の中で,行って損はない場所をリストアップしたGoogle My Mapを託す.

おわりに

1836年から1845年までテキサス共和国が存在した.テキサスに住む人々はそれを誇りに思っているし,独立精神が旺盛だ.最後にこの歌”Deep In The Heart of Texas”を送りたい.

正直,ヒューストンの夏は暑すぎて人間が住む場所ではない.よく4年半も住んでいたものだ.

だが,ヒューストンを離れて,これまで訪れた場所,食べたもの,ワークアウトをふりかってみて,白鳥がいかにヒューストンを堪能したのかを再確認できた.本当に幸せな時間だった.

本記事を通して,ヒューストンに行ってみたい・行く予定がある人の一助になれば幸いである.

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