林和弘

岡山県を40代で退職。在職中は、終始、財政や総務業務に携わっていました。以降、ローカル…

林和弘

岡山県を40代で退職。在職中は、終始、財政や総務業務に携わっていました。以降、ローカルシンクタンクで、市町村の地方創生や行革のサポートを続けています。今回、一念発起し、株式会社メトロポオルズを立ち上げ、2枚目の名刺を手に、2つ目の人生を歩き始めています。katsumachi.jp

最近の記事

自治体向け「先進事例集」は、誰の役に立っているのか。

溢れる先進事例集国の各省庁のサイトや、地方のまちづくりを紹介しているサイトをみると、自治体の様々な取組が、先進事例を紹介するという形を取って、アップされている。 政策の分野別であったり、地域別であったり、まとめ方は様々だ。 対象は、自治体職員、もしくは、まちづくり関係者であることは明らかだが、私の感覚では、そもそもそんな事例集を、自治体職員は見ていない。 自分の仕事の関係で、ここ数年、自治体の職員さん、特に、事業を企てたり、事業を事前に評価・査定する立場の、企画や財政担当

    • 自治体職員の仕事に関する特殊事情考。上司との関係編。

      上司の命令について 地方自治体における、上司と部下の関係を考える上で、まず、押さえておきたいのが、「地方公務員法」という法律で、自治体職員は、それを守らなければならない。 以下は、関連する部分の、抜粋だ。 地方公務員法、第三十二条では。 「職員は、その職務を遂行するに当って、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」 と、されている。 民間企業の場合は、就業規則などで、上司の業務命令に

      • 民間企業のことを「業者」と呼ぶ、役所の文化を変えよう。

        「ぎょうしゃ」という響き 数年前のこと。 ある自治体の、学校教育関連の事業を、一緒に受託していた、民間で学習塾や、エンターテインメントサービスを展開している大手企業の管理職の方が、何気なく、ポロッと言われたことがある。 「行政の人は、よく私たちを『業者』と呼ぶんだけど、この、『業者』って言葉を聞くと、すごく、いやーな気分になるんです。」 言われる側の気持ちは、県にいたときには、全く想像できなかったし、その時には、複雑な感情も湧き起こり、返す言葉が見つからなかった。 今

        • 「県庁倒産」アナウンスまで、残り17日。

          財政破綻までのチキンレース 2008年初夏。 都道府県が財政破綻し、実質的に国の管理下に置かれるという、前代未聞の出来事が、岡山県で起ころうとしていた。 当時の岡山県は、1998年から2008年までの10年間、貯金に当たる「財政調整基金」が、ずっとゼロの状態だった。 その間、他の貯金(使途が決まっている特定目的基金)から、一時的に借り入れをしたり、法律等で決められている借金(起債)を、限度額まで借りたりして一時しのぎをして、同時に、3度にわたって厳しい歳出見直しや、行革

        自治体向け「先進事例集」は、誰の役に立っているのか。

          シニアの企業戦士と田舎の高校生の哲学対話、一部始終。

          きっかけは昨冬の訪問から 遡ること7ヶ月。 2020年の年末も押し迫る、岩手県の雫石町に、シニアの企業戦士はいた。 東北の冬の空は、どんよりと曇り、岩手山には、低い雲がかかっていた。 と言っても一人ではなく、周りには、内閣官房の参事官。民間大手派遣会社社員2名。町役場の職員さん2名。そして、うちの法人からは私を含め3名。 総勢7名で、2日間に亘って、ホテルや旅館などの宿泊施設、様々な観光施設、廃校になった小学校の空き校舎を見て回り、またそこで活動している地元の方やお店の

          シニアの企業戦士と田舎の高校生の哲学対話、一部始終。

          「ポンチ絵」の魔力に魅せられ、50の手習い。

          感光紙と図形定規の思い出 未成年の県庁職員として、農業試験場に勤めていた頃は、資料の作成を頼まれると、上司が書いた下書きの紙を見ながら、B4版のトレーシングペーパーに、文字や数字、罫線の表、図形を書いていた。 使用するのは、2Bの芯を入れたシャープペンシル、消しゴム、直線定規、図形定規、そして、字消し板だ。 今でこそ、どこにでもあるようなコピー機が、当時の職場にはあるはずもなく、鉛筆書きのトレーシングペーパーを原稿にして、それに感光紙を重ねて、一枚一枚、卓上の機械に通して

          「ポンチ絵」の魔力に魅せられ、50の手習い。

          「ものさし」を武器にして。心折れずに進むために。

          「ものさし」をつくるおおよその話。 自治体が、何か新しい事業を始める時に、行政組織の内部で必要なエネルギーを1とした時、逆に、何か事業をやめる時に必要なエネルギーは、100倍以上と思っている。 なぜかと言うと、どんな事業でも、事業費の大小に関わらず、必ず、受益者や対象者がいるからだ。 例えば、高齢者かもしれないし、子育て世代かもしれない、乳幼児とか、障害者とか、農業者とか、商店主とか、あるいは、ある一定の地域の人だったり、地域で活動している人たちだったり、大なり小なり、誰

          「ものさし」を武器にして。心折れずに進むために。

          2つ目の人生が始まった日。火葬場で親父の骨を拾っていた。

          真夏の芝の匂い火葬の炉の扉が開いて、中から台車が引っ張り出されてきた。 のせられていた白い棺は、跡形もなく消えてなくなり、台の上には白い灰と、ばらばらになった骨が、横たわるように残っていた。 台車から上がってくる熱気と匂いは、「真夏の芝の上みたいだ」。 そんなことを考えながら、親父の骨をひとかけらずつ箸でつまみ、桜色の骨壺に納めていった。 今日は、4月1日。 世の中では、新しい年度が始まり、自分の新しい会社も、今日から社員を雇い、本格的に事業が始まった。 もし、あの時

          2つ目の人生が始まった日。火葬場で親父の骨を拾っていた。