面接官はオイシイ仕事?
今日も朝から面接を。
私はこの面接という仕事が非常に好きなのです。
理由は色々あるのですが、簡潔にまとめると「おもしろい」の一言に尽きます。
色々な人のストーリーを知ることが出来て面白い。
様々な仕事に対する価値観を知ることが出来て面白い。
自分が知らない仕事や専門分野の話を聞くことが出来て面白い。
ヒューマンドラマよりもリアルなエピソードが面白い。
純粋に対話をすることが面白い。
もちろん、面接にやってくる候補者というのは、人生の大きな転機の真っただ中にいて真剣に面接に臨んでいる人がほとんどなので「おもしろい」なんて言葉で表現するのは乱暴に感じる人もいるだろうし、違和感を感じる人もいるかもしれない。
私自身も、面接に参加するときは面接官の立場であれ、候補者の立場であれ、真剣にその場に臨んでいる。特に面接官として参加する場合は、他の人の人生を左右してしまうようなきっかけになりうるので、多少のプレッシャーを感じることもある。
それでも、やっぱり「おもしろい」と感じてしまう私は、ひょっとしたら面接官失格なのかもしれない。
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面接について「どうやったら通過率を上げられるか」と相談を頂くことがある。
自己PRのまとめ方だったり、話し方のポイントやコツみたいなものなどのテクニカルな要素は幾つかある。
それ以上に私が一番大切な事ととしてアドバイスさせて頂くポイントは「相手との会話を楽しむこと」とお伝えしている。
面接で一番大事なことは「一緒に働きたい」と思われるかどうかである。もちろんこれは企業側も同じである。
一緒に働きたいと思われるためには、丁寧で真摯な対応はもちろん大事だし、どのようなスキルや知識、経験を持っているかを互いに確認することも重要である。
しかし、どれだけ丁寧でスキルマッチがあったとしても、一緒に仕事をしたくない人だと感じたら、そこにご縁は生まれにくい。
そのために、会話を楽しむ(相手にも楽しんでもらう)ことが重要なのである。
とはいっても、センスのあるジョークや、キレッキレのギャグなどは必要ない。
必要なことは相手が話していることにしっかりと耳を傾けること。相手が聞いていることに適切に答えること。ちょっとだけユーモアを持つこと。(意識すること)くらいである。
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緊張のあまり、或いは必死さのあまり、
面接が始まるやいなや、聞いてもいないのに自己PRを話はじめてしまう人がいる。
どうか落ち着いて。そして安心して欲しい。
面接官(企業側)は、採用をしたくてその場にいる。心配しなくても、得意な事や大きな成果を出したこと、困難を克服したことなどについては、面接の中でしっかりと聞くつもりでいる。
「自己PRしてください」
そんな直接的な表現で問いかける面接官は少ないかもしれない。質問の入り口は「頑張ったことについて話してください」かもしれないし、「大きな成果を出したこと」かもしれないし、「困難な課題に挑んだこと」かもしれない。これらは全て、候補者の努力や強み、取り組みの事例と成果を問うための質問である。
会話の流れ、文脈の中で自分の言葉で語ることがとても大切なことである。
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「そうは言っても緊張してしまって」という候補者の方がいるかもしれない。
意外と知られていない事実かもしれないけれど、
実のところ、面接官だってけっこう緊張している。
これまで通算で2,000名くらいの方の面接を行ってきた。
それでも面接が始まる直前というのは、緊張感に包まれていたりします。
どんな人が来るかわからない。対応を間違えるとSNSで叩かれてしまうかもしれない(会社名も名前もバレているのですぐに身バレしちゃう)。時間内に必要な情報を集められるだろうか。適切な採否判断が出来るだろうか。候補者に選んでもらえるだろうか(辞退されないだろうか)。
候補者とポイントは違うけれど、面接官側にも不安や心配のタネというのはいくつもある。
つまり、面接とはお互いに緊張した大人が頑張って相手との距離を縮めようと試行錯誤する場でもある。
人と言うのは不思議なもので、テンパっている人を見ると自分が冷静になれたりすることがある。
緊張しやすい候補者の方にとっては、緊張している面接官がいるという事実を認識しておくだけでも、緩和剤になるかもしれない。
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そんなわけで、面接というのは色んな意味でヒリヒリするようなライブ感満載の”イベント”だと感じるわけです。
通常、そういうヒリヒリ感を感じられるようなイベントに参加するには何かしらのチケットを購入しないといけない。
面接官はお金を貰って、ライブに身を投じることが出来る。
そんな風に考えると、やっぱりオイシイ仕事だなぁと感じてしまう。
こんな風に感じるあたりも、面接官失格なのかもしれない。
#図らずも今日は本音がポロリ。
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