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実録!インハウスデザイン部門の作り方【後半】

前回に続き、私が地方ゼネコンにデザイナー最初の1人として入社してから退職する13年の間に、どうインハウスデザイナー部署ができて、1人→4人体制になったかを時系列で整理してみようと思います。

実録!地方建設会社のインハウスデザイン部門の作り方後編です。2人→1人→2人となり、いよいよあっという間にここから4人体制になります。


入社して5年が過ぎた頃、後輩デザイナーが入社し、しばらくは2人体制で活動していました。会社の売上も好調でブランディングを取り入れたのもこの辺り。北欧デザインのマンションリノベーションブランドを自社で立ち上げ、取材として海外出張にも行きました。海外にはよく一緒に行って、印刷物を作るための素材撮影をしました。スペイン、北欧、アメリカ。何をするにも教えながら一緒に、という感じで活動していました。

そして更に5年ほど経ち、もう1人増やそうと思う、と社長からの打診がありました。この頃はデザイン業務の傍、広告代理店、印刷会社との窓口もしており、会社全体の広告費は私が見ていました。会社の営業会議、経営会議にも出席するようになっていました。会社全体のPR、住宅、リフォーム、建築営業、不動産。各部門の販促情報を集中管理することでボリュームディスカウントの交渉をしたり、効果的なPR情報は外部から私に集まるようになっていました。

バディからチームへ

1人から2人体制となった時点でデザイン業務を分担できるようになり、私は外交役にまで手が回るようになっていました。3人体制になるメリットは、
・更に色んなことが出来る様になる
・人に教えることで後輩も成長のチャンス
と思い「いいですね!」と返事をしました。

2人時代はバディとしてなんでも2人で。しかし3人だとチームです。どう仕事や経験の場面を振り分けるか、を考えるように。この頃はもう私も入社10年だったのでそれなりの立場を、と「単独部署にするから室長やったら?」と社長から提案を頂きました。そして、会社創設以来初のデザイン・ブランディング・マーケティング専門部署「コーポレートプランニング室の室長」となりました。

3人目のメンバーは建築学部出身。CADは使えるので図面の加工はできましたし、建築系学生はプレゼンをすることが多いのでパワポも度胸も問題なし。イラストレーターは本格的に使ったことがなかったので、チラシの模写から習得。この頃はコーポレートブランディングに取り組んでいたので会社全体、住宅、リフォームのオリジナルブランド作りも私の部署が担当。チラシ、販促グッズ、SNS運用やウェブ広告作り、分析とやることはたくさんありました。OJTで社内で発生する制作物を作ってもらいながらソフトの使い方をマスターしてもらう日々。

社内報は最強のインハウスデザイナー育成ツール


今でも新人インハウスデザイナーをお預かりする時は社内報作りが教材

2023年の今でもインハウスデザイナー育成ツールとして推奨していますが「社内報」を月一で発行したのはこの頃。建設会社は本社・支店・現場と案外散り散りです。ブランド、拠点、そして採用活動も順調で人がどんどん増えたこともあり社内報はマストに。作りながら会社のことを知れるし、ネタ集めを口実に色々な部署、支店の人とコミュニケーションも取れます。もちろん経営者とも話をするので自然と会社の方針、未来についても理解が深まります。

社内報をインハウスデザイナーが作ることは
①毎月発行でタイムコントロール
②デザインスキルアップ
③語彙力アップ
④写真力アップ
⑤会社を深く知る
⑥発行物として形になり使われることで承認欲求も満たされモチベーションアップ

と、今書いただけでも一石六鳥。社内コミュニケーションのみならず、デザイン性があることで営業、採用と広いシーンで「社外報」としても活用でき、いいことしかありません。実際3人目の新人インハウスデザイナーは新人編集長として取材、デザイン、コピーライト、写真撮影とオールマイティで鍛えられ、デザイナーとしても広報としても活躍しました。


翌年には高校からグラフィックデザインを専攻し、大学では美術系出身の新入社員が配属。これで4人体制に。イラストレーターのスキルはむしろ我々3人より高く教えることはないので、教えるべきは会社のこと、社会のこと。社内報編集長をバトンタッチし同じようにOJTをしました。ブランディングは社内だけでは教えきれないので、全国のブランディング仲間と会ったり、イベントに参加したりと「交流と見比べ」から学んでもらいました。ブランディングは会社としては新しい取り組み。蓄積がまだないので、インプットは外に求めるのが当然です。企業でブランディングに取り組んでいる諸先輩達から教わるのが一番。今でもブランディング企業同士をお繋げしているのはこの経験からです。

ただし、ただたくさん見て経験すればいいか、というとそれも違います。「うちってこんな会社、こんなことを大事にしている」と自社のことを知らないと社風に合わないことや根付かないことに一生懸命になってしまいます。無理無駄を省くためにも、社内報でまずは会社のことを理解して、インプットも増やす。インハウスデザイナーなりたてはこれがおすすめです。

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