#5 サバヒーで朝食を。
台南初日は、日付が変わる前に就寝し、翌朝は自然と7:00頃に目が覚める。
とてもよく、眠れた。
慣れない寝具や環境を理由に、旅先ではあまり眠れないという話はよく聞くけれど、私の場合はその逆である。
普段はかなり寝つきが悪く、少しの物音で目が覚めてしまうほど眠りが浅いのに、旅先ではびっくりするほどぐっすり寝られることが多い。
そして目覚めもいい。
目覚めた時から、フワフワと心地よい高揚感につつまれているような、とにかく朝から元気である。
起きてすぐ、顔を洗い、日焼け止めだけを塗ったら、すぐ外に出た。
早朝まで雨が降っていたようで、道路はまだ濡れていて、水分をたくさん含んだ空気が景色をぼんやりとさせていた。
旅先の朝が好きだ。
観光客はまだ出てこないけれど、そこに暮らす人たちは仕事に向かうあたりの時間帯は、ある意味その国のリアルを見ることができる。
特に外食文化が根付き、3食外食も珍しくない台湾では、朝が苦手な人もぜひ朝食を食べに出かけてみてほしい。
特に平日の朝は、仕事に向かう人たちが、馴染みの店でいつものように慌ただしくものんびりでもないペースで朝ごはんをしている。
そこに混ざって食事をすると、台湾の暮らしに、ちょっとだけお邪魔させてもらえるような体験ができる。気がしている。
例によって、朝の散歩がてら、私の嗅覚が反応するお店を探すと、決して賑やかではないのに、活気を感じる食堂を見つける。
外にある看板を見てみると、台南グルメでよく挙がるサバヒーという魚があるっぽい。
お店に入ると、こっちに気付き、近づいてくるおっちゃんが。
とりあえず定員さんには挨拶しといて悪いことは無いので「你好!」とあいさつすると、(えっ?)て顔をされる。
どうやらたまたま私がいた位置が、注文を終えたお客さんが並ぶ位置だったらしく、私に近づいてきたわけではなく、彼は並ぼうとしていただけだった。
私はお客さんに向かって、いきなり元気に挨拶していた。
まあ、それもまた楽しいじゃないのと、そのおっちゃんに不審げに見られながらも気を取り直し、注文を。
サバヒーと魚のすり身の入ったスープ、肉燥飯(台南的ルーロー飯)、茹で青菜を注文。
やはり朝ごはんを提供する店は、出てくるまでが早い。
席について待っていてもいいんだけど、どこにしようか眺めているうちに出来上がっていた。
なんか学食みたいで楽しい。
ここ、日本語はおろか英語もほぼ通じなかったんだけど、店員さんたちがとてもニコやかで親切で、必要な食器やタレとかも、ジェスチャーで教えたりよそったりしてくれてありがたかったな。
台湾って全体的に1品1品のボリュームが日本に比べると少なめなんだけど、ここは普通に盛りがよくて、朝からだいぶやんちゃな感じに。
でも、ビジュがいい。
ざっと盛り付けてあるのに美しい。色味のバランスもいい。計算され尽くした無造作ヘアならぬ無造作メシ。
肉燥飯と青菜は、もはや私の台湾飯の基本セットみたいになっていて、これを頼まないと台湾が始まらないような気さえする。
好みやレベルの差はあれど、どこで食べても滅多に大ハズレは引かないメニューともいえる。
そして初サバヒー。
片栗粉をまぶしているのかいないのか、とにかくつるつるプリプリの口当たりがとても好き。
その白さからミルクフィッシュとも呼ばれる身は、白身魚らしく、フワフワで淡泊。
ただ、スープというシンプル調理ゆえか、どことなく沼っぽい臭み的なものをほのかに感じた。だからといって食べられないわけじゃないけど、気になる人は苦手かもなあ。
でもこれは、下処理や鮮度、調理法によるかもしれないけど、比べようがないからわからない!
臭みがなく食べやすい魚という評価もあるみたいだし、だから食って面白いんだよな。
ただ、このスープはとても美味しい。
あまりフューチャーされることが少ないかもしれないんだけど、個人的に台湾の肉や魚のすりみで作るお団子が入ったスープには、絶大な信頼を寄せている!
肉団子やすりみ団子のバリエーションもとても多くて楽しいし、シンプルだしあまり映えないかもしれないけど、確実に台湾の”地味うまい料理”にはノミネートするね!
というわけで、朝食は味もボリュームも大満足。
私がのんびりと食べている間にも、食堂にはローカルが入れ代わり立ち代わり。
隣では、私より少し年下であろう綺麗なお姉さんが、スマホを見ながら、茹でたモツのようなものに油條(台湾の揚げパン)、温野菜、サバヒーのお粥という気合の入った朝食を食べていた。
席を立つと、店員のおばちゃんたちが2人くらい寄ってきて、「全部食べたね!」「美味しかった?よかった!」みたいなジェスチャーをして見送ってくれた。
時刻はまだ8:00過ぎ。台南の1日は、まだ明けたばかりである。
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