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#4 台南初日。口コミの低い食堂で私の旅はちゃんと始まる

慌ただしかった初日も、翌朝には平穏を取り戻し、のんびり9時頃起きる。

昨日は遅くにご飯を食べたからか、お腹は空いていなかったので、とりあえず散歩に出ることに。

台北中心地は、だいたい土地勘が身についたので、街並みを眺めながら、気になる方向にただブラブラ。
それにしても、もう暑い。めちゃくちゃ暑い。

歩いているうちに、小腹が空いてきたので、位置的に近くにあった雙連朝市へ。

平日だからか人が少なく、かなり歩きやすい!

ここに来るのは2回目。
以前はコロナ前だったこともあり、観光客で溢れてなかなかゆっくり見られなかったけれど、この日は平日で、しかも朝のピークタイムを過ぎたくらいだったからか超ガラガラ。

人がいなさ過ぎたことで逆に店の人に声かけられまくり、それはそれでゆっくり見られないという。見たけど。

この朝市は、食べ歩きというよりは、食材やお惣菜を買いに来るような印象なので、夜市と比較するとサッと買ってパッと食べられる選択肢は限られる。

何かわからないものたちが次々入れられていく

以前気になっていたお店で、潤餅(ルンビン)なるものを食べてみる。
野菜やお肉やナッツなんかを、クレープのような生地に包んだ、例えるなら台湾的生春巻きのような食べ物かなあ。

たぶん中身も選べるのかもしれないけど、よくわからなかったからスタンダード的なものを。

茹でキャベツやもやしなど。ヘルシー。

ちなみに砂糖の量が選べたんだけど、私は甘いものがあまり得意じゃないから無糖に。
”野菜に砂糖…?”とちょっと想像できなかったんだけれど、食べてみるとたぶんこれは砂糖が入ることを前提に作られたような薄めでぼんやりとした味付けだったので、もし次があるなら砂糖を入れて食べてみたいね。

いや、でもこれかなりパンパンに具が詰まっているので、お腹はいっぱいになりました。

さて、朝食と散歩を終えたので、いよいよ台南へ。

台北から台南までは、大きくバス、電車(台鉄)、新幹線(高鐵)の3通りの行き方が出来るんだけど、今回は新幹線的存在の高鐵を利用することに。

ちなみに、バスだと4-5時間、電車は有料特急を使って約3時間、高鐵は約1時間半。
ただし、高鐵は台南市街地へのアクセスがちょっと面倒というデメリットも。

だから時間に余裕があれば有料特急がコスパ的にいいかもしれないけど、今回は高鐵に乗ってみたかったのでね。

全席指定席。空いていれば窓側か通路側か選べる。

ちなみに台湾は公共交通機関の料金が、円安の今ですらめちゃくちゃ安い。

台北と台南は、だいたい東京と名古屋くらいの距離感だけど、新幹線に乗っても6000円くらい。
外国人対象の割引なんかも使えばもっと安く行けちゃう!
日本の新幹線の感覚からすると破格だよね。

それから、今回は時間に追われたくなかったから予約しなかったけど、高速鉄道は事前予約したほうが確実だし割引が使えるので、計画的に動けるなら事前予約がおすすめ。

私は、駅窓口にて購入。英語が話せたらベターだけど、たぶん、行き先と人数を伝えられれば購入できるはず。

そのまんま新幹線。

中は、本当そっくりそのまま新幹線。めちゃくちゃ綺麗。
どうやら日本の企業が開発?車両?に携わってるらしく、それも納得のめちゃくちゃジャパニーズ新幹線。

超快適だけど、冷房は気合い入っているから、体温調節できるものがあるとさらに快適。

そうしてあっという間に台南へ。駅も新しくて綺麗だ。

ちなみに、多くのガイドブックやハウツーなんかでは、「高鐵台南駅から市街地に近い台鉄台南駅へ、さらに電車で乗り換える」と案内されているんだけど、実は高鐵台南駅からは市街地にダイレクトに行けるシャトルバスが出ているという噂を耳にして。

しかも、そのバスのルート、私が泊まる宿に近くを通る!
それなら電車で台鉄台南駅に行って、駅から宿に移動するよりもはるかにシンプルだしラクだ!
さらには、高鐵のチケットがあれば無料で乗れるのだとか。

ならば!と、高鐵台南駅を出て、バス乗り場を探すと、ちょうどバスがあるじゃないの!

念のため、目的のバス停に停まるかを確認し、乗車。
ちなみに、チケットなどは確認されなかったけど、特に何も言われず無料で乗れました。
明らかな観光客が駅から乗るんだから高鐵利用者だろってことなのかな?

一番前に案内板があるので、不安な人は見えるところに座るべし。

無事に宿近くのバス停で降りて、歩いて宿へ。近かった!ラッキー!

部屋で少し休んでから、近所の散策がてら夕食をとりに。

1人旅の時は、どうしても食べたいものや行きたいお店があるという時以外は、あまり調べず店の雰囲気で選ぶのが好き。
極端な話、いわゆるハズレでも構わない。

誰かと行くとなると、お店や料理が微妙という理由で気まずい思いはしたくないので、あまり攻めないようにしているけれど、1人の時は、ここぞとばかりに挑戦したくなる。
お店にではない、自分のカンに、だ。

何でも調べれば事前に情報が手にはいるようになって久しい。
ごはんを食べに行く時も、たとえ始めていくお店でさえメニューや店の内装、おすすめなどをある程度把握していることは珍しくない。

それは、確実に便利なことだし、嫌な思いをしたり、あまり好みじゃないものを食べたりせずに済むし、非常にありがたい。
でも、それと同時に「ピンときた!」とか「カンが働く!」とか、「こりゃアヤしいぞ」という、”うまく言えないけどなんか惹かれる”的な感覚が鈍っていくような気がしている。

そんなもの、もはや現代では必要ないのかもしれないけれど、私は、そういう“なんとなく”や”直感”も、どんなに頼りなかろうが大事にしていたいなあと思ってしまう。
それから、自分の感覚や体験も。

酸辣湯(40元)と豚肉チャーハン(75元)。

夕食は、近所にあった、台湾人がひっきりなしに出入りしている食堂に入った。
とりあえず現地の人が出入りする店は、なにかいいところがあるという印だ。

店員のおばさまたちは揃いも揃って不愛想で、それでいてこちらを気にかけ、私がちょっとキョロキョロすると、紙ナプキンや調味料などを察して持ってきてくれる。

そうだよね。ニコニコすることが接客というわけじゃないよな。なんて、接客の本質みたいなものを考えさせられる。

あっという間に運ばれてきた、とにかく具だくさんの酸辣湯と、明らかに炒めてない炒飯は、どちらもボリューム満点で美味しかった。
これで、500円くらいならコスパはいい。

お腹いっぱいでレジに向かう。
レジのおじさんだけは不自然なほどとてもニコニコしていて、そのコントラストがまた面白かった。

その夜、なんとなしにその店の口コミを見てみたら、3.3と決して高くはなかった。
その中身は”不愛想”とか”普通の味”とかで、それらを見て、ようやく1人旅の醍醐味みたいなものを実感した。

私は、不愛想の中に彼女たちなりのホスピタリティを感じたし、普通の味と呼ばれる安定感ある美味しさにホッとした。
それが、私にとってはすべての経験であり、この店の評価である。

もちろん、誰かにとっては不満で、不快で、納得いかない部分もあるのだと思う。それは、彼らそれぞれの経験だ。

この線引きは大事だ。
どんなに駄作と言われる映画も、古いといわれる音楽も、つまらないと言われる小説も、それは誰かにとっての感想であって、私の感想がそれと違ってもまったく問題はない。

理解や共感ができないから不安になるのではない。
自分の出す答えに自信が持てないから、人と違うものを選ぶのが不安になる。
安心したいから、みんなが選ぶ方を選ぶ。
だから、口コミやレビューが気になる。
でも、自分にとって素晴らしい体験は、必ずしも星の数が多い場所にあるわけではない。

そういうことを、私は、口コミの低い大衆食堂から学ぶのだ。

まったく壮大すぎるような的外れなような話である。

でも、そんなことを1人で、わざわざ台湾で、時間をかけてだらだらと考える。
この贅沢さがたまらないじゃないか。

ああ、はじまった。はじまってきた。
そうだ、こうやって、次から次にむくむく湧いてくる感じ。

私の旅が、始まったんだな。

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