マガジンのカバー画像

note小説 三十路のオレ、がん患者

30
毎週月曜更新の小説。30代の会社解雇された「オレ」がガンになり、患者視点から描いていく
運営しているクリエイター

2016年10月の記事一覧

note小説 三十路のオレ、がん患者   第30回 ポートを埋め込む

note小説 三十路のオレ、がん患者   第30回 ポートを埋め込む

転院先の病院へ持って行く資料と紹介状を待つ。

もうすぐGWが来る。

それまでには落ち着けたいものだ。

資格試験の勉強も再開している。
まさか抗がん剤の効果があまりなかったとは想像してなかった。

転院先の病院の話では、治療方法はそんなに変わるわけではない。
ただ、リンパ節の除去手術になった時に何症例こなしているかで判断した。

近い遠いで言えば、転院しない方が楽だ。

こんな大切な事を家から

もっとみる
note小説 三十路のオレ、がん患者   第29回 転院の決意

note小説 三十路のオレ、がん患者   第29回 転院の決意

オレは、「転院」を考えていた。

それは仮にリンパ節の除去をする時に主治医に何症例扱った事あるかを聞いた時にゼロと言われたからだ。

木を見て森を見ずはダメだ。

日本中に医師は、たくさんいる。
家から近いと言うだけで経験ゼロの医師に頭下げてお願いする事もない。

もっとみる
note小説 三十路のオレ、がん患者   第28回 凍る背筋

note小説 三十路のオレ、がん患者   第28回 凍る背筋

午後の病院。

不思議なものだ。

外来の朝は、再診の順番待ちで人が並んでいる。
それでも午前中に診察は終わらず、午後に食い込む。

人、年寄りが多く、ラッシュだ。

24時間で考えてみれば、1日のうち込み合っているのが4〜5時間だけだ。

残りの時間はガランとしてる。

毎日が祭りのあとだ。

幼い頃、医者と銀行は午後3時頃に仕事を終えて美味しいものを食べに行ってる。
人間は目の前の状況で判断し

もっとみる
note小説 三十路のオレ、がん患者   第27回 社会に触れる事

note小説 三十路のオレ、がん患者   第27回 社会に触れる事

資格試験は不合格に終わった。

悔しかった。

会社をクビ、ガンが発覚・手術と抗がん剤。

せめて資格試験くらいは合格しないかなと思っていたが、とにかく八方ふさがり。

四面楚歌ってこんな気持ちなのだろうか。

別に試験に落ちたくらいで命を取られるわけではないが、ガンのオレにとっては社会復帰する布石にしようと思っていたので当てが外れた。

当面の予定は何もないので資格試験については再チャレンジする

もっとみる