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【詩】PUPPET

分かりきった御伽噺
今は昔と幕が上がる
皆に釣られた人形の
哀れな劇の始まり始まり

騙されてるんだよ最初から
全て僕だけの空騒ぎ
観客席の悪魔達の奇異の目だけが僕の価値だろう
スポットライトが僕を照らした
彼らに意図はわかりやしない
退屈しのぎには丁度いいか?
その程度の夢も見れるのなら

あゝ 既に分かってるんだ
僕を操るのは 紫色の蜘蛛だってこと
悪魔が僕に教えてくれた
「誰も貴方には祈っちゃないよ」
それも全部知ってるよ...

変わりたくて変われなくて喚き散らして
手繰り寄せた絡まった
銀の蜘蛛の糸
あゝ 僕にはお釈迦さまはもう見えないから
見届けよう
この悲劇の一つの終幕を

ヒーローなんてのはここにはいない
意味もないのに幕は上がる
糸で吊られた人形の
哀れな劇の始まり始まり

笑われてるんだよ最初から
全て僕だけじゃ敵わない
淡白な笑みの奴らたちの
贔屓目が僕の価値なのだろう
掌の上で踊らなくちゃ
全て還されてしまわぬように
壊れてしまえば丁度いいか?
その両手さえ合わせぬのだから

あゝ 僕にはここが地獄だ
僕を吊るしている
アクリルのワイヤー 悪意とは否
観客の野次が教えてくれた
「誰もお前に謝っちゃいないよ」
それも全部知ってるよ...

変わりたくて変われなくて喚き散らして
手繰り寄せた絡まった
銀の蜘蛛の糸
この背中の烙印はもう消えないから
見届けよう
この喜劇の一つの終幕を


千切れた糸が
鮮やかに舞った
散らしていく蜘蛛の子
踵を返す悪魔
動けない僕は空に手を伸ばした
「今ならば僕も変われるんじゃないか?」

変わりたくて変わりたくて喚き散らして
手繰り寄せた切れてしまった
銀の蜘蛛の糸
あゝ 僕にはお釈迦さまはもう見えないけど
叶うのなら一つだけ教えておくれ
人形を吊るしていた
あの銀の糸を
切られたのは
お釈迦さま
貴方なのですか?

騙されてるんだよ、最初から。

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