加糖 紅茶

加糖紅茶(かとう こうちゃ)と申します。 頭の中を整理するためにここに書き出してます。…

加糖 紅茶

加糖紅茶(かとう こうちゃ)と申します。 頭の中を整理するためにここに書き出してます。 いずれ他の形にも出来れば良いなと思いつつ。 誰かの暇つぶしになれば幸いです。

最近の記事

【詩】Toy01

暗い夜道の赤信号 一体誰を待っているの? あなたの元へ戻ってくるのを 私みたいに待っているの? 忘れものをした なくしものにした? 私にはもう用はないから? 釣り合ったブランコ 過ぎ去った時間と 同じだけ儚く消え去っていく あなたの声も匂いも輪郭も 私をおいて変わっていく なくしものをした 隠しごとにした? 「そこにはもうあなたはいないから」 暗い夜道の青信号 一体どこに行くのだろう? 私のことなど見向きもせずに 前へ進んでいくのだろう お題:「友達」

    • 【短編小説】悴んだ恋文

      君の足音は聞こえない。 天使の翼から離れた羽毛のように、フワリフワリと優しく地面に降りたつ君は悲しげな雨のようにパチリパチリと大地や水面を叩いたりしないし、木々や小道をフオウフオウと走る風のように喜びの声をあげたりもしない。 だから、私はいつも君の来訪にすぐに気づくことが出来なくて、朝目覚めた時のブルルと震えるような凍える寒さと辺り一面に散らばった白い足跡で少し前に君が通り過ぎていったことを知るのだ。 君の足跡を追いながら、誰もいない雪原をたった一人で歩き続ける。ブウツが泥

      • 【短編小説】多幸性の夜、他光星の夢。

        「現を抜かすか、鬱と暮らすか。そのどちらかしかないのでしょうか」  そんなことを嘆きながら『彼女』は、太陽に照らされているだけのこの冷たい暗闇の中をくるりくるりと生きていたのでした。 「太陽は私たちを照らしています。でも、私は太陽を照らしていない。私はずっと返しているだけなんです。それも全部ではなく、抱えきれなかったほんの一部だけを」  『彼女』はとても悲しそうにしていました。自らが光ることが出来ないことを。しかし、それは太陽以外の何者にも出来ることではないのです。ヴィーナ

        • 【短編小説】氷は溶ける、されど季節は廻る。

           氷は泣いていた。その冷たい体で型どった憂鬱がタラリタラリと崩れていく。もう誰も私の融解を悲しんではくれないのだろう。燃え盛るようなあの夏には私を削り、砕き、舐めて味わったくせに。  私の心は無色透明の液体だった。それは確かに傷ついていたのに誰もみることが出来なかったし触れることも出来なかった。  だから、私は氷になった。苦しさと寂しさと私の全部を体の中に閉じ込めて。  はじめは、誰も見向きはしなかった。それでよかった。でもあの忌々しい気だるい夏のせいで、私はみんなに見

        マガジン

        • 詩・歌
          16本
        • 短編小説・ショートショート
          7本
        • エッセイ・私小説
          2本

        記事

          【短編小説】悪魔のたまご

          一匹の雛鳥がとても温かい巣の中で産まれました。親鳥たちは雛鳥が卵の中から出てきたことに気づくと大層喜び雛鳥を可愛がりました。 「おはよう、私達のかわいい雛鳥。無事に産まれてきてくれて嬉しいよ。卵の中は暑くなかったかい?寒くなかったかい?狭くなかったかい?広すぎやしなかったかい?ああ、なんてかわいい我が子だ。本当に産まれてきてくれてありがとう。」 「はじめまして、私達のかわいい雛鳥。お前が兄弟で一番乗りだ。外が楽しみだったのかい?私達に会いたかったのかい?お腹が空いたのかい?歌

          【短編小説】悪魔のたまご

          【私小説】七一四号室

          怖い夢でも楽しい夢でもない『変な夢』は私に何を教えてくれているのだろうか? _________________________ それはよく見た光景だった。  小学校に入学してから初めての友達が出来るまでの二年間、私は確かに孤独だった。その頃の私は人付き合いがとても苦手で学校が終わっても誰かと遊ぶわけではなく、まっすぐ家に帰っていた。なくさないようにと念を押されて渡された小さな鍵をランドセルのポケットから取り出し、マンションのある一室を開ける。踵の潰れた運動靴を脱ぎ散らか

          【私小説】七一四号室

          Potlatch

          UFOが私を捕まえたなら あなたは私を忘れてしまうのでしょう 私をもらったお返しに 彼らは何をあげるのかしら? 公園をもらったお返しは みんながはしゃげる電脳空間 子供をもらったお返しは 歌って踊れるキャラクター! もらったものより価値あるものを! 新たにあなたに温かいままに! もらった私より価値あるものを! 絵画?宝石?はたまた国家? UFOがあなたに渡したものは軽いおつまみと瓶ビールでした。あなたはとても喜んでカーッと笑って平らげました。そのあとあなたは幸せそうにい

          【詩】After fiction

          12時のチャイムがカラカラと鳴って 門限がきたシンデレラは帰ってしまった。 されど、パーティーは続く。 チックタッタッタ 祭囃子で チーク真っ赤っか 踊る踊り子 チックタッタッタ それを横目に 遅刻真っ只中 焦るラビット もし、少女が夢から醒めても彼の寝坊は変わらない 「ピーターパンはいいヤツだった。 私のもとを去るまでは」 酒を呷った年寄り紳士が、懐かしの友を思い出す 16コールをすぎているのに懐かしの声は聞こえない 「「「なんてしあわせな後の祭りだ‼︎」」」 口を揃

          【詩】After fiction

          【詩】Nobody Rose

          気高き気高き女王が ペンキの兵隊引き連れ歩く 今宵、消えゆくのは乙女の純白 全部全部消えてしまえ 私の矜持ははらりはらりと 摘まれてく様は日めくりカレンダー 純白な事が己の価値で 「愛してくれ」も言えずに嘆いた 芽を摘むることが出来たのならば どれだけ どれだけ良かっただろう 「全部塗っておしまい!」 ラフなままの綺麗な私を 声は上擦り赤っ恥 恥の上塗り片っ端 無垢な白薔薇が咲いていた事など 誰も知らない それでおしまい 気高き気高き女王が ペンキの兵隊引き連れ歩く

          【詩】Nobody Rose

          【詩】聖母のお腹で人魚姫は踊る

          夜の静かな漣が冷たい揺籠を攫おうとして 慌てて波を踏んづけたから 私を撫でてくるこの波が 優しくて暖かいのだと知りました 聖母のお腹で人魚姫は踊る 子守唄の問いには答えたのだろうか 期待にすらも応えなかった 私は誰だと子守唄に問うた 人を嫌い痛み沈む歌に 揺らぎ荒み一人浮かぶ暮らし 未来光り期待浮かぶ歌に 揺らぎ荒み一人沈む暮らし 私はいったい誰なのか おしえて 少年の確かな名声も 少女の綺麗な歌声も 全て海へと還っていった 水の泡へと変わっていった 聖母のお腹で人

          【詩】聖母のお腹で人魚姫は踊る

          【詩】響ク

          声 オトボケ 凍エ 心デ 声 オトボケ 凍エ 心デ ココデ ザーット ナル音ハ 森ノ泣キ声? 雲ノ泣キ声? 私モ泣ヒタ 誰ノ泣キ声? 声 衰エ 仏 ノモトへ 声 衰エ 仏 ノモトヘ 流レテシマエト願ッタケレド 袖ニ染ミ込ンデ重クナッテク 鼻歌ウタヒガ通リスギテク 私ノコトナドオ構ヒナシニ 声 ヨ届ケ ソコヘ 轟ケ 声 ヨ届ケ ソコヘ 轟ケ 願ヒガ叶ウマデ 拭イ 泣ヒテ 拭イ 泣ヒテ 声 オトボケ 凍エ 心デ 声 オトボケ 凍エ 心デ

          【詩】響ク

          【詩】泣きっ面に。

          本当はもっと子供でいたかった。 だけどそれはもう叶わない。 ゆっくりと、それでいて確実に。 死の音が私に近づいている。 誰かが私に語りかけてくる。 「早く大人になりなさい」と。 ずっとこのまま、この部屋で眠っていたいのに。 ああもう駄目だ。出ないといけない。 何かに脅されているかのように慌てふためいて 私を愛してくれたこの部屋からでないといけない。 大人にならないといけない。 そうしないといけないらしい。 上の空の私は宙ぶらりんで 私の心も体も硬くなって。 何にも考えられなく

          【詩】泣きっ面に。

          【詩】Deep

          温い深海が僕を包んだ 相容れぬ抱擁で眠らせてくれ 心の中の孤独でさえも 逃げられぬよう潰しておくれ 僕の中に潜り込んだあなたは 水鞠と共に逃げていった 酩酊のように溺れた僕を 振り返ってはくれないままに 暗い水圧が僕を殺した 相容れぬ抱擁で終わらせてくれ 私の中から漏れ出る孤独も 見えないように濁しておくれ 僕の心から消えたあなたを あなたを求めて逃げてしまうの 浅瀬で浅ましく笑った僕を 望んでくれはしないのにね 溺れることすら許されないのか 求めることすら許されない

          【詩】白い花弁に口紅を

          お化粧をしてあげようと思っただけなんです。 あまり綺麗な色ではなかったから。 私の持ち合わせの色で、可愛くしてあげようと思っただけなんです。 悪気は、悪気はないんです。 あぁ、本当に申し訳ないと思っています。 私がその花弁を破いてさえいなければ あなたは薔薇の花のままでいられたのに。 本当に、本当にごめんなさい。 謝って、どうにかなるものではないのだけれど。 あなたのかわりになってあげることも出来ないのだけれど。 破れた花弁を治すことは出来ないのだけれど。 本当にごめんなさい

          【詩】白い花弁に口紅を

          びっくりするほど、ユートピア。

          思考と懺悔のゴミ捨て場。 それが、私の玩具箱。 私の中の幼い「私」を 慰めるための憩いの場。 この玩具箱には3つのルールが存在します。 ・「名前」を出してはいけない。 ・「私」を忘れてはいけない。 ・「蛇」を入れてはいけない。 このルールが私の記憶のガラクタ達を 「玩具箱の中身」へと変えてくれているのです。 しかし、困ったことが起こりました。 私の掌の上に無色透明の小さな蛇が生まれてしまったのです。 私はこの蛇をどうすれば良いのでしょうか? もし、私がこの蛇を玩具箱に入れ

          びっくりするほど、ユートピア。

          【詩】烏

          愛を知らぬ雛鳥は飛び方を知らず 暗闇に飛び込んでいく 振り返らず 小石を投げられても逃げられぬ僕は この躰を恨んで 黒く染まる あゝ 生きるだけなのにどうしてこんなに 恨まれて嫌われて涙がでるの? 透き通った体も黒く染まって 消えることも出来ずに 落ちていく 愛を知らぬ雛鳥は救われ方を知らず 助けを求めてみるものの 振り返らず 夕焼けに慰められ一人嘆く僕は この心を憎んで 黒く染まる あゝ 生きるだけなのにどうしてこんなに 痛みに苦しみに苛まれるの? 透き通った心も黒く染まっ