見出し画像

全国の仲間とつくる “高校生の探究的な学び” のムーブメント

高校生が身の回りの興味関心をテーマにプロジェクトを立ち上げて学ぶ「マイプロジェクト(以下、マイプロ)」。私はそのプロジェクトの事務局担当として、カタリバで働いています。

カタリバのミッションは、各地域でマイプロを軸にして主体的に学ぶ高校生を増やすとともに、高校生たちを支える人を増やすことで、各地で学び合えるコミュニティを広げていくこと。地域で高校生のマイプロを支える大人たちを「地域パートナー」と呼んでおり、私は地域パートナーと一緒に各地域でマイプロのムーブメントを作ることを目指しています。

地域パートナーと打ち合わせをする様子

日々、地域パートナーと打ち合わせを重ねる中で、あるとき “関係性づくりの難しさ” を感じ始めました。

*********

地域パートナーは、契約上は「委託関係」という形ですが、目指していきたい関係性は「パートナー」。

最低限、場をつくるうえでの質の担保や安全面等において守るべきことは伝えますが、その他はできる限り地域パートナーの「やりたい」という想いを大切に連携していきたいなと思っています。しかし、これがとても難しいのです。

私たちの関わり方次第で地域パートナーの新たなチャレンジや、私たちからすると思いもよらないアイディアが生まれるかもしれないのに、気づくと「これをやってください/守ってください」というようなコミュニケーションが各所で生まれていました。
これではお互いにつまらないし、可能性も広がらない……。

それと同時に、なんとなく「コミュニティ感」が薄れてきてるなということも感じていました。地域パートナー同士、横でつながることで刺激を受けたり、創発が促進されていたコロナ前に比べると、対面で一緒に場をつくったり語り合う機会がなくなっていたのです。

このままでは、せっかく「自分の地域の高校生たちにマイプロジェクトを届けたい!」という想いのもと、一緒に活動していくことになったにもかかわらず、「これじゃつまらない」「カタリバの言うことをやっていればよい」と思われてしまうかもしれない……。

そう感じ、昨年度から地域パートナーの声を聴いたり、カタリバと地域パートナーの役割の定義を行ったりしながら、地域パートナーとカタリバはそれぞれ何をしていくべきなのか、どんな関係性であるべきなのかを模索し、2つのことに新たに挑戦しました。

1つは、 “しくみ(契約内容)の変更” です。年間を通して「これをやりましょう」ではなく、「これはあくまでベースです。あとは地域によって状況が違うので、一緒に考えていきましょう」というしくみに変えました。すると実施事項を一律で定めていた頃と比べ、各地域から、その地域に合った動きが生まれるようになりました。

もう1つは、 “コアメンバー制度の開始” です。地域パートナーのコミュニティを盛り上げていくためのメンバーを「コアメンバー」と呼び、年に一度開催している全体合宿や、月に一度行っている全体ミーティングの企画・運営をコアメンバーたちと一緒にやり始めることに。

合宿では、日々の悩みを共有したり、これから10年マイプロジェクトがどうあるべきかについて語り合ったりしました。

すると合宿後、「議論の機会をもらえて嬉しかった」という言葉や、「いつも自分の地域で孤軍奮闘していることが多いけれど、全国に同じ想いを持った仲間がいると感じて、帰ってからまた頑張ろうと思えた!」という感想をもらい、少しずつ、理想の関係性やコミュニティの形が見えてきたような気がしました。

地域パートナーとマイプロジェクト全国事務局(カタリバ)の集合写真

そんな挑戦を通して、私自身にも心の変化が。今までは「地域パートナーとどういう関係であるべきか」という、目の前のことにひたすら悩んでいましたが、合宿やミーティングで地域パートナーと話をする中で、「答えは出ていないけれど、地域パートナーと一つひとつを一緒に考えていけばよいのかも」と思うようになりました。また、「各地でこんなに頑張っているみんながいるのならば、このコミュニティで何か変えていけるのでは」という次の挑戦が見つかりました。

*********

私の今後の目標は、地域パートナーと一緒に地域の、まだ見ぬ高校生たちにマイプロジェクトを届けること。また、それを私たちだけでなく、各地域の大人たちを巻き込んで「マイプロのムーブメントを拡げていくこと」です。

今のカタリバは、カタリバスタッフだけで作り上げているのではなく、パートナーとして一緒に活動している方の存在があるから成り立っている。そう思うからこそ、地域パートナーのみなさんと1つのコミュニティとして、高校生の学びに何かしらの変革を起こしていきたいと思うのです。

▼地域パートナー合宿のレポートはこちら
https://myprojects.jp/news/17726/

▼【視聴申込受付中】マイプロジェクトアワード2023全国Summitオンライン配信
https://myprojects-join.jp/cheer/viewing2023

  • 開催日:
    ・2024年3月23日(土)
      - 全国Summit Day1:10:15-16:30(全48組が発表)
      - 観覧者限定懇親会:16:30-18:00 
    ・2024年3月24日(日)
      - 全国Summit Day2:10:10-16:30(Day1から選ばれた6組が発表、
      全国の高校生のロールモデルが決定)
      - 観覧者限定懇親会:16:30-18:00
    ※いずれもオンライン、途中参加・途中退出OK

今回のコラム担当:鈴木 胡美(すずき・くるみ)/全国高校生マイプロジェクト
1991年生まれ。福島県出身。大学進学時に上京し、新卒で英会話スクールに入社。営業・顧客サポートに携わる。
大学時代に起きた東日本大震災とフィリピンでのインターンの経験から、東北や教育に興味を持ちカタリバに転職。東北のマイプロジェクトの土壌づくりに奔走し、現在はマイプロジェクト全国事務局にて「地域パートナー」のしくみづくりなどを担当。

この記事が参加している募集

最後まで読んでいただきありがとうございます!Webマガジンはこちら▼