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子どもの居場所で働く僕が、迷ったときに選ぶ方法。

こんにちは!カタリバ広報部の本田です。

カタリバで働くあの人は、どんな価値感を持っているのだろう?日々どんな想いで働いているんだろう?そんな想いからスタートした、職員一人ひとりにスポットを当てた連載企画「9BOX 〜わたしが大切にしている9つの価値観〜」。

▼前回の記事

今回は、カタリバが東京都足立区からの委託を受けて運営する「アダチベース」で学習支援の施策を担当している田渕 稜さん(以下、ぶっちーさん*)にインタビューしました。

「子どもたちが自分のことを認められるように」という思いから、映像制作会社という異業種からカタリバに転職してきたぶっちーさん。でもご自身のなかでは、前職とカタリバの仕事はつながっているといいます。そんなぶっちーさんの価値観や原体験に迫ります。

*カタリバはメンバー同士をニックネームで呼び合う文化があり、田渕さんは “ぶっちー” と呼ばれています!

ぶっちーさんの9BOX~わたしが大切にしている9つの価値観~

Q. 最初に、ぶっちーさんのお仕事内容を教えていただけますか?

僕が働いている「子どもの居場所」は、家庭の経済的事情など自身ではどうすることもできない課題を抱える子どもたちも利用しており、僕は学習支援に関する施策を担当しています。子どもの居場所には「クラス」と「自習室」という学習環境を用意していて、「クラス」はスタッフがクラス担任として付きながら、同じ学年の生徒たちが数学や英語など教科の学習に取り組む時間です。

利用する子どもたちのなかには、家庭に学習環境が十分に整っておらず学習での成功体験が少ないなどの背景から、学習に前向きになれずにいる子どもたちもいます。僕は「クラス」や「自習室」で学習に取り組んだ子どもたちが、自分自身の“小さな変化”に気づき、小さな自信を積み重ねていけるよう、子どもたちに関わるスタッフのコミュニケーション方針の目線を合わせることなど、大小さまざまな施策を企画、実装、検証するということを担当しています。

「ユースワーカー」と呼ばれる、子どもたちの思いを引き出し、挑戦を後押しする役割を持った子どもの居場所のスタッフを育成するプロジェクトの一員でもあります。

Q. ぶっちーさんが、カタリバに入職したきっかけは何だったのでしょうか?

前職は映像制作会社でした。映像を作るという仕事は大好きで、今も副業で映像を作っているほどなのですが、仕事を続ける中で、この映像を観る人はどんな気持ちでいるのだろうと、受け手のことを考えるようになりました。僕が色々な映像に刺激を受け、ワクワクしてたまらなかった10代の頃を思い出し、子供と関わる仕事を一度してみたいとふと思ったんです。

というのも、中高生時代に「自分のアイデンティティって何なんだろう?」と悩んでいた時に助けてくれたのが学校の先生で、その先生から教えてもらった映像作品に救われたことをきっかけに「コンプレックスに寄り添える芸術を作りたい」と思うようになり映像制作の道に進みました。全く別の畑に飛び込んできたように見えるかもしれないんですけれど、僕にとっては映像制作の仕事と、子どもたちに寄り添うカタリバの仕事はつながっているんです。

Q. 自分を表すひと言として、「変」という漢字をあげたのはなぜですか?

中高生の頃から、唯一無二のアイデンティティを持っている人に憧れがありました。「そんなことをできるの?」ということをやってのける友人が周りにいて、輝いて見えていたんです。

自分もユニークな人間になりたい、そのために自分を変えたいと強く願う子ども時代を過ごしていたからこそ、他の誰かが自分を変えるために努力する過程にも関心を持つようになりました。そんな子ども時代の経験と、他者に関する興味のベクトルから、自分を表す一言を「変」にしました。

自分を肯定できなかった中高生時代、先ほど話した先生との出会いなどもあり、悩みを乗り越えることができました。次は僕が、子どもたちが自分を肯定できる場面をつくることに力を注ぎたいと思っています。

Q. 9つのキーワードの中で、カタリバに入職してからより意識することが増えた価値観はありますか?

全部のキーワードをより強く意識するようになったと思います。カタリバに入る前の自分だったら、このシートを埋められなかったんじゃないかな……(笑)

カタリバでは人事評価面談のたびに「あなたは何がやりたいの?」ということを聞いてくれます。同僚との日常的な会話の中でも、相手のいいところやもっと伸ばせるところを伝え合う文化がある。入職して3年が経って、自分自身がどういう人間なのか前よりもわかるようになった気がするし、自分をより肯定できるようになったように思います。

僕の話を聞いてくれて、時には勇気を出してフィードバックをくれる仲間に感謝しているし、僕も同じように関われる人でありたいなと思っています。

自分に聞いてみて「子どもたちに自慢できる方を選ぶ」

Q. 「子どもたちに自慢できる方を選ぶ」「勇気は伝染する」について、詳しく聞いてみたいです。

「人間、死んだら終わりだから誠実に生きよう」「一度きりの人生を納得いくものに」と中高生の頃から思っています。じゃあ何を軸に意思決定をするかというと、子どもたちに自慢できる方を選ぶんです。何を軸に意思決定したらいいのだろうかと考えていた高校生の時に、小説に書かれていたこの言葉に出会いました。
子どもの居場所で関わる子どもたちの顔を思い浮かべながら「これは彼・彼女たちにも自慢できる選択か?」と自分に聞いて選択すれば、後悔のない人生につながっていくのかなと思っています。

今年から子どもの居場所の副拠点長になりました。僕は学生時代に教育の勉強をしてきたわけでもないし、社会人のキャリアも浅いので、ポジションを打診された時には正直迷いました。でも、これは子どもたちに胸を張れる選択でもあると思えたので「やります」と答えました。

「勇気は伝染する」も小説の中で出会った言葉で、子どもたちとの関わりで意識していることです。

先ほど「子どもたちが自分を肯定できる場面をつくりたい」という話をしましたが、自分を肯定するのは簡単なことではなく、勇気も必要。そんな時に、身近な人が勇気を出して一歩を踏み出す様は、子どもたちが勇気を出すきっかけにもなるんじゃないかと思っていて、僕が勇気を出してやってみたことを子どもたちに話すようにしています。

でも、変わるとか、自分を肯定するとか、自分の唯一無二を見つけるとかって、結構大変なことじゃないですか。だからずっと向き合っている必要はないと思っていて。

9BOXの右上に書いたことでもあるんですが、自分のちょっと欠けているところや怠惰なところも面白がりながら「のんびりやっていこうよ」と、子どもたちに対しても、自分に対してもメッセージを発していきたいなと思っています。


《インタビューを終えて》

インタビューからぶっちーさんが、どんな場面でも「子どもたちが自分を肯定できる場面をつくる」という大きな目標をもぶれることなく意識されていることがよくわかりました。その目標の達成に向けて、副拠点長として、学習支援の担当者として、これからアダチベースにどんな施策が生まれていくのかとても楽しみです。

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