英理は家に帰らず近くのアスレチック公園に行った。広大な山林にいくつもアスレチックの遊具がある。バードウォッチングができる池も、季節を楽しめるハイキングコースも。1ヶ月前から拡張整備の工事が始まり立入禁止のエリアがあった。ついたての先に重機や作業員が見える。
英理の自宅から近い公園の西側はまだ工事前で、階段をのぼった先の高台は静かだった。誰もいない。英理の住む町が手すり越しに見える。住宅地は夕闇が迫りいくつも明かりがあった。英理の自宅にも。
あれは1階のリビング。ママは帰ってる。
英理は見ながら今日のことを思い出す。
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