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刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑
2024年6月22日 23:38
重要文化財に指定されている伝村上義輝所用と伝わる鐔を成木一成氏が写した作。本歌は以下の作。同図を船田一琴も写している。こちらは独自の文字を刻んだり、耳に桜の象嵌を施すなどオリジナリティを加えている。さて以下が成木氏の製作した同図の鐔。こちらは本歌を忠実に写している。横95.9㎜×縦96.2㎜×厚1.8㎜ペラペラだが手で曲げる事は出来ない。薄い板材を買ってきてそのまま使って作って
2024年6月12日 23:20
今回鑑賞記録を残すのは山吉兵写の成木鐔。横82.4㎜×縦85㎜×厚5.3㎜。地鉄が常に見る成木鐔とは異なり、赤茶けている。以下左の柳生鐔写しはよく見る成木鐔の艶のある少し白みのある黒色、右は今回の山吉兵写しである。赤茶けている様子が伝わるだろうか。拡大して見ると、明らかに異質な地鉄が露わになっている部分が見られる。肌触りも独特で全体的にカサカサしたような触り心地。成木氏なりに山吉
2024年5月7日 22:41
成木鐔を探していると何度も何度も目にする鐔がある。それがこの中津川市制40周年を記念して作られた鐔。表には長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがる「恵那山」と風流踊り、裏には中津川の市章と市の花であるサラサドウダンが描かれている。同図の鐔はヤフオクでも度々出るし、昨年の大刀剣市でも出品された。上記は2023年大刀剣市の時の物であるが、ここに書かれているように鍛造の鐔ではなく、鋳造の鐔に
2024年4月11日 22:20
今回紹介する鐔は無鑑査鐔工、成木一成氏により平成4年に作られた信家写の道歌鐔。刀連全国大会の天位賞で送られた鐔と箱書きがあります。この本歌は以下になります。表裏それぞれ並べて見ます。櫃孔は後世開けられたものと思われるので、写の方は製作当初の形を再現するためか櫃孔は開けられていません。この鐔は平成作でいわゆる成木氏の作風が確立した頃の作と見られ、トロンとした艶やかな地鉄をしている。
2024年4月9日 22:36
今回紹介するのは昭和54年(己未)に作られた古刀匠鐔を写した鎌透かしの板鐔。成木氏は昭和53年から自家製鋼による鐔作りを開始している。箱は無いが銘の形はこの時期のものと一致しているし、まず成木氏が製作した鐔で間違いないと感じる。縦104㎜、横103㎜、厚み2㎜(耳、切羽台共)と大型。こちらは常に見る成木鐔とは鍛が明らかに異質で、一言で言えば泥を乾燥させたような肌をしている。爪ではじくとカ
2024年2月12日 23:50
成木鐔で個人的に多く見るのは透かしの鐔だろうか。尾張や赤坂、京透など、様々見る。今回は鉄地でここまで凝った肉彫を施した作もあるのかと驚いた事もあり、購入した品。個人的には傑作の部類に入る1つに感じられる。昭和57年というと、成木氏が炭焼きからたたら作業を一貫して行うようになった年で、昭和57年11月~昭和58年1月まで連日けら押し作業と記録作成を行っていた。本作はこの2ヶ月後の作である
2023年12月27日 22:25
以前書いた現代鐔工、成木一成氏による信家の亀甲紋写の鐔。よく見る成木氏独特の艶ある錆色とは異なり古風でしっとりした風合いの本鐔は、個人的にもとても良く出来ているように見え、仮にここに信家と銘があったら信家と信じてしまいそうな出来に見えるほど。もしくは江戸期の明珍あたり。そんな折、信家鐔を詳しく知る方にお会いする機会があったので本鐔を実際に見て頂き、本歌信家との違いについて聞いてみたところ、