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ホラー&ダークファンタジー専門誌ナイトランドより『ジェームズの紅の書』感想

 ナイトランド(NightLand)のナンバー2より、『ジェームズの紅の書』の感想です。

 ナイトランド誌は季刊誌で、翻訳物の短編小説と、日本人作家によるエッセイで構成されています。

 ナンバー2は、クトゥルフ神話をテーマに短編が6作収録されています。

 『ジェームズの紅の書』は、マイケル・ファンティナの作です。『紅の書』と呼ばれる怪異の書をめぐるストーリーで、主人公で語り手である『わたし』が、友人の家を訪ねた時に起こった怪奇現象が語られます。

 不気味さと共に、程よい上品さもあります。主人公も友人も本が好きで、収集しているくらいなので、ある程度の知識人、教育を受けた人物であるわけです。

 そんな主人公の目線を通して語られる物語は、恐ろしげな演出だけではなく、その程よい上品さも私にとって魅力であるポイントだと思いました。

 私自身、ダークファンタジーを書いていて、そのような気取り過ぎていない上品さも書いてゆきたいと思っています。

 それにしても、エドガー・アラン・ポーのかの有名な代表作『アッシャー家の崩壊』もそうなのですが、最後が住んでいた家の崩落で終わるのはホラーのある種の王道的ラストシーンなのでしょうね。

 ポーが最初だったのか、前例が他にもあるのかは知りませんが。

 このような季刊誌を買い読むような者は、私もそうですが本が好きな人が多いでしょう。

 人の死だけでなく貴重な本が焼け落ちるシーンは、何とも言えない愛惜の念を起こさせます。

 ナイトランドの創刊号は書店に無かったため、ナンバー2からの購読となりましたが、まずは1作目、古き良きホラー小説の雰囲気を湛(たた)えた小品でした。

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