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かすみを食べて生きる83:下船日が決まる。

脳梗塞 発症2か月と20日目:リハビリ病院2か月目㉚
食事:脳梗塞(ワレンベルグ症候群)の後遺症のため、嚥下ができなくなり訓練中。食事形態は、昼食は常食(普通食)、朝夕食はみじん食。首を左に向けると飲める。
状態:歩けるようになってきた。終日、館内フリー歩行自立。きょろきょろすると少しめまいがする。

今日はリハビリ医四谷先生(仮)と家族も交えての面談。
病状説明と今後の話をする。
長期入院は長い船旅みたい。

これまでの記録はこちら『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症2か月と19日目:リハビリ病院2か月目㉙
 
発症2か月と21日目:リハビリ病院2か月目㉛>


長期入院は船旅

脳梗塞を発症して81日目。もうすぐ3か月になる。
今入院しているリハビリ病院での滞在も、丸2か月が過ぎようとしている。
街中にある病院ということもあり、窓から見える景色に大きな変化はない。
太陽の光の加減が変わることで季節の移ろいを感じる程度。

長期入院は長い船旅に似ていると思う。
長い船旅、したことはないけれど。
何日も何日も窓の外は変わらず同じ風景。
ただただ海が広がっている。
狭い艦内で毎日規則正しい生活を送りつつ、目的地を目指す。
時折港に着いて、それまで共に過ごした人が降りていき、新しい人が乗ってくる。
自分の降りる番は、なかなか来ない。

朝ごはん#26

おかゆアート:シャープ

朝はみじん食。
献立はこちら。

  • 春雨のかき玉汁

  • 黒ゴマプリン

  • マンゴーペースト

  • ジョア

  • おかゆ

  • アイソカル100

おかずがかきたま汁だけ…。足りない…。
朝ごはんをもう少し食べたい。
夜の分、もう少し朝に回してもらえないかな。
でもどれも食べやすい。
みじん食とは言えみじん切りされたものはなく全体的にペーストか液体。
所要時間は35分。

みじん食卒業

言語聴覚士、下浦さん(仮)のリハビリにて。
現在昼食のみ常食、朝夕食をみじん食をしているけど、常食が何とか食べれているので、昼食から常食1本にしましょうか、との提案。
常食はしっかり噛めばみじん食と大きな差はないと感じている。
おかゆから軟飯というところは大きな差があるけど、口の中でばらけやすいおかゆより、まとまりやすい軟飯の方が食べやすい面もある。
とはいえ常食は頑張って噛んで飲みこんでいるので、3食全部常食となると少し不安もある。
「やってみましょう!」
下浦さん(仮)の笑顔にまたも後押しされる。
こうして先ほどの朝ごはんをもって、みじん食卒業となった。
10日程度の付き合いだった。

お昼ごはん#39

ここから3食常食をいただく。
発症前の生活にまた一歩近づいた。

軟飯アート:フラット

献立はこちら。

  • 赤魚の煮付け

  • さらさ豆腐

  • 白菜の香り和え

  • 果物

  • 軟飯

  • エンシュアH(コーヒー味)

赤魚!
ミキサー食の頃から何度か出ていたけど、やっと真の姿にお目にかかれた。
なるほど。皮が赤かったのね。
ミキサー食では赤くはなかった。
病院食の魚は基本的に骨がなく食べやすい。
身がしっかりしていておいしい。
つけ合わせもお茄子でトロトロして喉どおりがいい。
さらさ豆腐は少しもさもさする。
何かなぁ、豆腐なのだけど少し高野っぽい感じがある。
すこし飲み込みにくい。
白菜はしっかり噛めば大丈夫。
果物はミカンと白桃の缶詰かな。
水分も多めで飲み込みやすいけど、ミカンの粒がバラバラにならないように少し注意が必要。
所要時間は53分。
今日も1時間を切れた。
食べることはできている。

この食事の後言語聴覚士下浦さん(仮)の見守りのもと、薬を錠剤のまま飲みこむことを試した。
経鼻の管を取った後、薬は錠剤を砕いて粉にして、栄養剤に溶かして飲んでいた。
錠剤を飲むことができれば、準備、飲み込み含め時間を削減できる。
首をしっかり左に向け、口に薬入れてその後水を飲む。
気をつければ問題なく飲めた。
砕いて溶かした粉が塊りになって喉に引っかかることもあったので、錠剤のまましっかり呑む方が安全かもしれない。

リハビリ医四谷先生(仮)と面談

入院2か月のタイミングなので、今の病状とこれからのことを話すべく、リハビリ医四谷先生(仮)と私、そしてオンラインで夫も入っての面談。
退院後の話もあるということでソーシャルワーカーさんも同席してくれた。

先生からの夫への病状説明。

  • 右半身のしびれ:残っているが、日常生活は問題ない。

  • めまい:なくなってきた。調理訓練でも一品作れた。家に帰っても引き続き家事を協力してください。

  • 最終課題は嚥下。

嚥下については

  • 約2週間前に経鼻栄養から離脱した

  • 先日嚥下造影検査(飲み込みの状況をレントゲンで動画撮影)を行った

  • 現状で飲み込み時に首を横に向けることは、はずせない

  • 首を真横に向ける90度回旋ほどでなくとも45度程度の回旋でいける

  • 1か月前は首を横に向けてものどに残っていたが、今は喉に残っても追加嚥下で飲みこめている

  • 首を45度傾けるという制限はあるが、基本的には食べれるようになっている

このような状況であることを説明してくれた上で、以前ミキサー食の頃に私がミキサーがゆに「すし♡」と書いてお寿司が食べたいことをアピールしたこと覚えていてくれたようで、お寿司はイカ・タコはやめて食べやすいものを食べるようにと話してくれた。
ごはんもおかずも一口の大きさに気をつければ食べれる。

そして退院後の話となった。
嚥下については、今回首の回旋を残して退院することになるので、1か月後に嚥下外来で再度検査をして状況を見つつ、対策を考えていくことになった。
現在問題として、右半身のしびれと感覚異常、嚥下の際首を回すことによる首肩のハリもあるので、退院後週に1度、外来で作業療法士さんのリハビリを受けることになった。
今回私の脳梗塞のケースで、リハビリに医療保険が適用になるのは6か月まで。
3か月で退院となるので、もう3か月は外来でリハビリに通えるらしい。

その後ソーシャルワーカーさんから、退院後の急性期病院への外来受診と、栄養剤を処方してもらうために地域の脳神経外科の紹介の話があった。

そして、具体的な日程の話。
退院可能な時期と、夫に迎えに来てもらうのに都合のいいタイミングを照らし合わせて、12日後の退院が決まった。
私もとうとう、このリハビリ病院という船を降りることになった。

夕ごはん#19

軟飯アート:音符

今日から、夕食も常食。
献立はこちら。

  • 鶏のから揚げ、キャベツ・アスパラ添え

  • ほうれん草のごま和え

  • おかゆ

  • エンシュアH(ストロベリー味)

鶏のから揚げ!好き!
これは恐らく胸肉。
少しパサつくのでしっかり咀嚼。
ほうれん草のごま和えは、繊維が要注意なので300回近く噛む。
エンシュアHのストロベリー味は、少し甘すぎるかな。
所要時間50分。
常食では最速出た!

のどのできもの

夕食後歯みがきをする際、喉の奥に違和感があったのでスマホのライトを当てて鏡で見てみた。
のどの左奥に何か白いものができている。
痛みはなくのどに何か張り付いたような異物感。
念のため看護師さんに伝えると、念のため当直の先生に診てもらいましょうということで急遽病室に先生が来てくれた。
のどを見て、緊急性のあるものではないけど念のため明日リハビリ医の先生にも診てもらってもらうように言われ、うがい薬を出してくれた。

処方されたうがい薬

ーー振り返って

退院日が決まりました。12日後。
嚥下が完全にもとに戻った状態での退院とはなりませんでしたが、自分の状況と家族の状況を鑑みて、帰って自宅でリハビリしながら生活をした方がよさそうだということになりました。
先生もセラピストさんも看護師さんも、そして私自身も意見がそろった形となりました。
説明の時に先生が夫に「引き続き家事は協力して下さい」と言ってくれた事に優しさを感じました。

退院日の決まった日の夜、のどに異変が起きました。
のどのできものはこれまでに経験をしたことがなかったので驚いて看護師さんに伝えて、看護師さんも念のため当直の先生を呼んでくれるという事態になりました。
翌日理学療法士の田中さん(仮)にその話をしたところ、「多分膿栓だと思いますよ。私もたまにできます」と話してくれました
のどのくぼみに細菌の死骸や食べ物のカスがたまることが原因とのこと。
私は飲み込みの時に首を左に向けるので左のどに負担がかかっていたようです。

病院にいると、小さな異変もすぐ看護師さんに相談することができで、状況によっては先生を呼んでもらえました。
振り返れば、のどのできものは当直医の先生に来てもらう程ではなかったと思います。
ただ当時は初めての事態で、このできものが取れて誤嚥してしまうと、またしても誤嚥性肺炎になる可能性はあったので、ひやひやしながらうがいをしまくりました。

常食を頑張って食べることで、のど、首、肩の疲労は少しづつ溜まっていた時期でした。

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