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かすみを食べて生きる51:カルテの記録「寿司が食べたい」

脳梗塞 発症1か月と18日目:リハビリ病院28日目
食事:脳梗塞(ワレンベルグ症候群)の後遺症のため、嚥下ができなくなり訓練中。食事はミキサー食(昼食のみ)と鼻からの経管栄養。食事以外の時間はスプーン半分の水分を一度に10口まで飲んでよい。
状態:歩けるようになってきた。終日、館内フリー歩行自立。階段は上り下りで少しめまいがする。

リハビリ医の先生、意外と見てくれてた。

これまでの記録はこちら『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症1か月と17日目:リハビリ病院1か月目㉗
発症1か月と19日目:リハビリ病院1か月目㉙>


めざせ完食:お昼ごはん#7

今日もランチはミキサー食。
嚥下訓練中の私は口から普通の食事がとれることが最終目標だが、目の前の目標としては「完食」がある。
私に出される食事は、病棟担当の管理栄養士竹中さん(仮)が私に必要なカロリーを計算して、どこまでをミキサー食で、どこまでを経鼻栄養で摂るか考えて出されている。
この常に鼻からぶら下がっている胃につながるチューブを取るには、出された食事を食べきって、口から必要なカロリーを摂れるようになることが条件だと思っている。
食事は今、一番重要なリハビリ。
それでも口から食べることは楽しい。

おかゆアート:すし♡

今食べたいもの、おすしにハートを添えて。
すごくきれいに書けた。自信作。

今日の献立はこちら。

  • しま鯛の煮付け、ほうれん草の煮びたし添え

  • 南瓜の煮付け

  • おかゆ

お魚は先週の和風グラタンに入っていた鮭以来。
鮭は食べにくかったけど、白身魚はどうかな。
南瓜は発症後、はじめての食材。

いただきます。
まずはほうれん草の煮びたし
あれ?食べやすい!お味もしっかりほうれん草!
一昨日ほうれん草の煮ものを食べた時は少しのどに残る感じがあったのに。
昨日の小松菜の煮びたしと同じくらい、のどを通りやすい。
ん?今日のがほうれん草の煮びたしで、前のがほうれん草の煮もの
もしかしてミキサーにする前段階の調理方法の違いで、同じ食材でもミキサーになった時の喉どおりが変わってくるのか?
でも葉物は煮びたしにはするけど、煮物にはしたことないなぁ。
ほうれん草はよく炒めるけど。
もしかしたら炒めたものはまた喉どおりがちがうのかもしれない。
おもしろい。今後も葉物は料理名も要チェックだわ。
メインしま鯛の煮付け
これ食べやすい!見た目に少し粒が見えるからどうかなと思ったけど、しっかりお魚の味で、少しざらつきがあるけどささみとかのお肉よりは喉どおりがいい。
お魚おいしい。大好き。
そしてお久しぶりです南瓜の煮付け
あぁ…これは飲みにくい…。
おかゆももったりするけど、これは少しざらつきのあるもったり。
おかゆ以上に咀嚼が必要。
味はしっかりかぼちゃでおいしいし、咀嚼すればそれなりにのどを通るけど。
でも里芋よりは喉を通りやすいかな。
そして今日も今日とて、もったりおかゆ
しっかりもぐもぐ。
多分これは私の唾液アミラーゼの力を上げる訓練だと思う。

そして、ミキサー食7日目にしてやっと完食!!
所要時間1時間強。

初完食のお皿

少し飲みこみにくいかぼちゃも頑張った。
ごちそうさまでした。

リハビリ医四谷先生(仮)に見られる

ランチは他の患者さんと一緒にデイルームでいただいている。
そこにリハビリ医の四谷先生(仮)が様子を見に来てくれた。
食べる前のおかゆを見た先生。
四谷先生(仮)「すじってなんや?」
私「あ、それは濁点ではなくハートなんです。おすしが食べたいなと思いまして…」
四谷先生(仮)「そうか」
これ、なんの説明やろ。

次の日、言語聴覚士の下浦さん(仮)に先生とのやり取りの話をした。
下浦さん(仮)「昨日の先生の記録に「寿司が食べたい」と書かれていたのは、そういうことだったんですね」
公式記録であるカルテに「寿司が食べたい」と記録されてしまった。
ちょっとはずかしい。
先生に見られる事は全く想定していなかった。
今後は主張の強いものをおかゆに書くのは控えようかな。
でも昨日の「寿」1文字よりは、先生にとって意味のある言葉だったのかもしれない。カルテに書く程には。

ガリガリチャレンジ#13

まだ水分とミキサー食しか飲みこめない私が、氷菓子を口に入れて味わいそっと口から出して(貴族食べ)、ガリガリ君の当たりを狙うコーナー。
今日も買ってきましたガリガリ君。

ガリガリさん13本目

いざ!

はずれ:その13

うーん、日常。

ーー振り返って

入院して2日目に鼻にチューブを入れて以来、何度かの交換を経て私の鼻にはずっと胃につながる経鼻用のチューブがぶら下がっています。
鼻から出ているチューブは頬にテープで留めて、そこから耳にかけ、耳の後ろあたりにキャップ付きのジョイント部をぶら下げていました。
(耳だけ見れば、少し風変わりなイヤーカフのようでした。)

もう50日近くこの状態なので慣れてきましたが、なにぶんこのチューブはのどを通っています。
飲みこむ時に食べ物がチューブに引っかかる感じがして、どうしても邪魔でした。
取りたい。一刻も早く。
でも今は1時間かけて200kcal程度しか食べることができない状態。
当時1日に1700kcal必要だと言われていた私は、起きている間中ずっと食事をし続けなければならなくなります。
チューブを取るのはまだ無理だということはよくわかっていました。
だからこそ、まずは目の前の食事を「完食」できた事はうれしかったです。

リハビリ医の四谷先生(仮)。
病棟の担当医でいつも病棟のナースステーションにいるイメージなのですが、神出鬼没。
リハビリ室で見かけることもあったし、廊下で急に声をかけられたこともありました。
ウクレレを持って中庭に向かう時も、遠くから視線を感じることがありました。
多分患者のリハビリ以外の時間の様子も、しっかり見ておられるのだろうなぁと思います。
「寿司が食べたい」と書かれたカルテ、見てみたかったです。

ガリガリ君が当たらないことが日常になってきました。
そろそろ当たるのが怖くなってきました。

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