![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141290127/rectangle_large_type_2_7ce5fd0c15f63f7eb501ff94b055dde9.jpeg?width=800)
かすみを食べて生きる75:「もう限界かもしれん」
脳梗塞 発症2か月と12日目:リハビリ病院2か月目㉒
・食事:脳梗塞(ワレンベルグ症候群)の後遺症のため、嚥下ができなくなり訓練中。食事は朝夕はミキサー食。昼食はみじん食にとろみ汁物つき。首を左に向けると飲める。食事以外の時間はスプーン飲みであれば水分を飲んでもよい。
・状態:歩けるようになってきた。終日、館内フリー歩行自立。きょろきょろすると少しめまいがする。
食事訓練が始まって約1か月。
4日後に、実際どの程度飲みこめているのかを確認する第2回嚥下造影検控えている。
そんな中、朝、助けを求めるメッセージが届いた。
これまでの記録はこちら『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症2か月と11日目:リハビリ病院2か月目㉑
発症2か月と13日目:リハビリ病院2か月目㉓>
「もう限界かもしれん」
朝、夫から悲壮なメッセージが届いた。
「もう限界かもしれん」
子どもが幼稚園に行き渋るようになってきた。
幼稚園バスに間に合うようこれまでも抱っこでダッシュしたりしてきたけど、今朝はとうとう時間までに家を出れなかった。
せっかく着た制服も脱いで行かないとぐずったらしい。
やむなく夫は休みを取り一日子どもにつきあってくれた。
私の入院でこれまで週2回だった幼稚園の預かり保育が毎日になり、日によって19時まで延長になっている。
それに加えて遠足があったり、運動会の練習も入ってきたりの時期で、子どもも疲れが出てくるタイミングだと思う。
幼稚園ではぐずることなく、元気に過ごしていると先生は言う。
恐らく子どもは外ですごく頑張っている。
そしてその子どもにつきあい続けている夫。
ここまで私が不在でも、子どもの生活環境ができるだけ変わらないように全力を尽くしてくれている。
近くに頼れる人はいない。
恐らく限界なのは子どもだけでなく夫もだ。
あかん、これはやばい。もう無理だ。
多少当初のリハビリ目標まで達しなくとも、なんとか万障繰り合わせて帰らねば。
朝ごはん#18
![](https://assets.st-note.com/img/1716211920169-6x1kcmVka7.jpg?width=800)
今朝も朝食はミキサー食。
お花シリーズで桜。散りゆく花びらがつぶれてしまった。
おかずの緑がとっても濃い。
献立はこちら。
ほうれん草の煮びたし
小豆プリン
マンゴーペースト
ソフール
おかゆ
アイソカル100
めずらしい!朝にプリンがついてる!
ほうれん草はしっかりした量だけど、これは食べやすいおかず。
所要時間アイソカル込みで47分。
よしよし。
役職祭
今日は理学療法、作業療法、言語聴覚3つのリハビリで担当者がお休み。
そして代打の皆さんが珍しい顔ぶれ。
言語聴覚の谷口さん(仮)は何度かリハビリに入ってもらっている言語療法科の科長さん。
作業療法は、はじめましての作業療法科の科長さん。
理学療法も、はじめましての確か主任か副主任さん。
なんと、今日は役職祭。
このタイミングだったこともあり、皆さんに子どもが幼稚園に行き渋りだしている、このままでは夫が倒れる、早く帰らなくてはならない、ということを切々と訴える機会となった。
お昼ごはん#31
![](https://assets.st-note.com/img/1716216456876-vZ1qFbeQvl.jpg?width=800)
今日も、汁物のとろみで必要に応じてとろみ付けするみじん食。
献立はこちら
ささみのみそ煮、ブロッコリー添え
豆腐とにんじんの煮付け
かき玉汁
おかゆ
アイソカル100 1本
見た目から、元の料理がわかる!
ささみ!!!
久しぶりのお肉を噛む感覚!!幸せ!!
豆腐とにんじんの煮付けも食べやすい。
豆腐はミキサーにかけるよりそのままの方が食べやすい気がする。
かき玉汁もおかゆもおいしい。
ミキサー食のように脳みそフル稼働で想像しなくても、見た目と味で楽しい食事。
所要時間35分!いい調子。
「たすけてー」と叫ぶ声の解決
私の入院当初から、病棟内の別室で日中叫び続けている患者さんがいる。
その頻度が徐々に高まり、私も含め病棟の患者たちは疲弊してきていた。
その声が今日、ほとんど聞こえなくなった。
たまに聞こえるけど音量が全然違う。
他の患者さんの話によると、その方は個室に入ったらしい。
なるほど、最近個室が空いていた。
大部屋は基本扉を閉めないことになっている。
車いすや歩行器が行きかうので、いちいち扉を閉めると危険。
でも個室は扉を閉めることができる。
その部屋の近くを通ると、扉越しに声が聞こえる。
ナースステーションからは近い部屋なので、看護師さんには聞こえているはず。
こうして長きにわたる、「たすけてー」問題に終止符が打たれた。
夕ごはん#11
![](https://assets.st-note.com/img/1716216841228-EAxgVdrtfg.jpg?width=800)
さて夕ごはんはミキサー食。
献立はこちら。
ポテト焼き、ペコロス・にんじん添え
キャベツの煮びたし
おかゆ
アイソカル100 1本
ペコロス?奥のお皿に少しだけ入れてある薄い茶色のところかな?
少なすぎて味がよくわからなくて残念。
ポテトはしっかり咀嚼せねばだけど、食べれる。
所要時間40分。
今日は全体的に安定して食べれた。
ーー振り返って
「もう限界かもしれない」のメッセージを見た時は、療養期間はここまでかな、と思いました。
私が自分の回復の事だけに取り組む時間には、家族の犠牲が伴っています。
地元を離れて子育てをすることの難しさ。
コロナ渦、周囲の人に頼ることははばかられる状況。
ベビーシッターや家事代行を頼んでお金で解決という方法もあったかもしれません。
でも子どもに人見知りがあり、母親がいない不安な状態で見知らぬ人が家に入ってくることは、子どもの安心できる場所を奪ってしまう可能性が考えられました。
前々から感じていましたが、核家族での幼児の子育ては、非常事態においてかなり厳しいものがありました。
帰らねば。
ある程度、腹をくくりました。
「たすけてー!」の声がほぼ聞こえなくなりました。
朝起きた時と夜寝る時にもずっと「たすけてー!」を聞き続けて心がざわざわしていたのが、落ち着いて寝て起きれるようになりました。
一方で、どうか叫んでいる方が個室になったことでしんどさが増したりしていませんようにとも思っていました。
セルフとろみのみじん食は、注意が必要ですがひどくむせたりなどなく食べれています。
これで4日後の嚥下造影検査で誤嚥なく食べれている確認ができれば、退院に向けての道筋が立つはずです。
全力で帰る段取りをつける。私の方針が決まりました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?