松田聖子 「制服」

もう、この歌詞そのものが目の前にあった光景だった。
桜が咲くと片思いだった人が東京にいく前日にあった公園で
あの日以来桜が見れない。

あの日のベンチは何度も塗り替えられてもそこにある。

待ち合わせをしてもいつも先に来ていた彼。
今でも後悔している。
なんであの時ちゃんと失恋しなかったんだろうって。

告白して友達でいられなくなることが怖かった。
偶然を装って一緒にかえった通学路。

そう。ただのクラスメイトを選んだ。

ラストチャンスの桜が枝に咲くころに会えたのに
「じゃあね。」だけでなぜか彼が見送ってくれた。
何度も何度も自転車に乗れなくて押しながら振り返った。

秋の並木道、桜が咲くころ。

偶然を装って自転車を押して話をしながら帰ったあのころには
もう、戻れない。

桜が枝に咲くころには違う世界で・・・生きてく。

卒業式も桜の木の下のバイバイも好きといえなかった酸っぱい思い出が
甘い声の聖子ちゃんのこの歌に詰まっている。

30年以上たってもただのクラスメイトの彼。
私が選んだ失恋の方法だった。


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