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少女とクマとの哲学的対話

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2018年7月の記事一覧

少女とクマとの哲学的対話「国家という幻想」

少女とクマとの哲学的対話「国家という幻想」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

クマ「与党の議員が、子どもを作らない人は生産性が無いって発言を、オピニオン誌に掲載したことが問題になっているね」
アイチ「うん、わたしの周囲の人はみんな怒っているよ。お父さんもお母さんも、友だちも、学校の先生も。人間を生産性っていう基準で測るなんて、けしからんって」
クマ「アイチはどう

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少女とクマとの哲学的対話「平成最後の夏は、人生で何度目の夏なのか」

少女とクマとの哲学的対話「平成最後の夏は、人生で何度目の夏なのか」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「平成最後の夏だね」
クマ「うん。何だかそんなことを言って騒いでるね」
アイチ「学校の男子が、平成最後の夏だから思い切り楽しむんだって言ってたよ」
クマ「まあ、気持ちは分からなくもないよね。年号が切り替わるタイミングなんて、普通は分からないわけだから、お祭り気分になるんだね。アイ

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少女とクマとの哲学的対話「クラムボンの正体」

少女とクマとの哲学的対話「クラムボンの正体」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「クマ、クラムボンって知ってる?」
クマ「知ってるよ。宮沢賢治の『やまなし』っていう童話の中で、蟹の兄弟が話題にしている存在だよね」
アイチ「そうそう」
クマ「そのクラムボンがどうかしたの?」
アイチ「今日学校でちょっと話に出たのよ。あれって一体何だったんだろうって」
クマ「ふう

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少女とクマとの哲学的対話「哲学をお勉強することの意味」

少女とクマとの哲学的対話「哲学をお勉強することの意味」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
春日東風……noteを利用している物書き。

春日東風「ふう……ようやく、ウィトゲンシュタインが終わった……次は、西田幾多郎か……」
クマ「随分がんばっているね」
春日東風「ええ、史上の哲学者について調べて書いているわけですが、これが本当に難しいんです」
クマ「考えられていること自体が難

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少女とクマとの哲学的対話「寄付についてのアレコレ」

少女とクマとの哲学的対話「寄付についてのアレコレ」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「今日、学校で寄付してきたよ」
クマ「ああ、西日本豪雨の被災支援だね」
アイチ「そうそう。お小遣いから少しだけどね」
クマ「寄付については、いろいろと議論がやかましいね」
アイチ「そうなの? 寄付って、ただするかしないかの話じゃないの?」
クマ「うん、確かにその通りだとボクも思う

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少女とクマとの哲学的対話「作品を見るのか、作者を見るのか」

少女とクマとの哲学的対話「作品を見るのか、作者を見るのか」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

クマ「何聴いてるの?」
アイチ「ん? BUMP OF CHICKENだよ」
クマ「ああ、いいよね、バンプ。歌詞の、その物語性がいいって言う人もいるけど、ボクは違うな。この世界の真理を語ろうとする意志がはっきりと見られるところ、そこが好きなんだ。たとえばこれは、『真っ赤な空を見ただろうか

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少女とクマとの哲学的対話「ミッションは自分で定めよ」

少女とクマとの哲学的対話「ミッションは自分で定めよ」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「このままでいいのかいけないのか、それが問題だわ……」
クマ「どうしたの、アイチ? 珍しく深刻な顔しちゃって」
アイチ「失礼ね。わたしはいつも真剣に生きているつもりよ」
クマ「真剣に生きていないとは言ってないよ。真剣に生きているからって常に深刻な顔するわけじゃないだろ。むしろ、真

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少女とクマとの哲学的対話「大人なら自分の頭で考えよ」

少女とクマとの哲学的対話「大人なら自分の頭で考えよ」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

クマ「何読んでるの?」
アイチ「現代文の先生から借りた本だよ」
クマ「ふーん……『見てる、知ってる、考えてる(サンマーク出版)』か……ああ、10歳の子が書いたとかって、前に騒がれていた本だね」
アイチ「先生がこれほど素晴らしい本は初めて読んだって、やけに感動してたのよ。で、貸してくれた

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