見出し画像

『古今和歌集』の主な古注釈

『古今和歌集』の古注釈を一覧するには、新日本古典文学大系『古今和歌集』付録の「古今和歌集注釈書目録」が便利です。

しかし、江戸時代までに出ているだけでも196作品あって気絶しそうだったので、中でも有名どころのものをピックアップしました。

活字・翻刻を探す時の地図程度には役立つと思います。

最終更新:2023.08.01
画像で見れるものが増えたり、活字化した本が刊行された場合は追記します。情報コメントお待ちしております。

目次が一覧となっています。
系統の略号:【六】六条家、【御】御子左家、【二】二条家、【反】反御子左派、【顕】為顕流、【隆】家隆流、【冷】冷泉為相流、【常】常光院流



藤原仲実『綺語抄』

嘉永二年~永久四年(1107~1116)頃。【活】日本歌学大系別巻1


藤原範兼『和歌童蒙抄』

『範兼童蒙抄』とも。元永元年~大治二年(1118~1127)頃。【活】日本歌学大系別巻1


藤原親重(阿闍梨勝命)陽明文庫本『古今和歌集序注』

真名序のみ親重注。顕昭と同時期。古注釈書で最も古い仁安二年(1167)考定。【翻】和歌文学会編『論集 古今和歌集』和歌文学の世界7, 笠間書院, 1981.


藤原教長『古今集註』(教長注)

治承元年(1177)。【画】古今和歌集註 17巻|京都大学貴重資料デジタルアーカイブ【活】『古今和歌集 附藤原教長「古今集註」』日本古典全集刊行會, 1927.


【六】清輔 歌学書

注釈は散佚。歌学書に『袋草紙』『奥義抄』『和歌一字抄』『和歌初学抄』など。歌の注をつけるものもある。


【六】顕昭『古今集註』(顕昭注)

寿永二年~建久二年(1183~1191)頃。守覚しゅかく法親王の命で序注と歌注を注進。教長注も引かれる。【活】日本歌学大系別巻4


【六】顕昭『袖中抄』/『顕秘抄』

〈袖中抄〉
文治年間(1185~90)か。難解な歌語の説明。【活】日本歌学大系別巻2、橋本不美男・後藤祥子『袖中抄の校本と研究』笠間書院, 1985.

〈顕秘抄〉
『袖中抄』の初撰本か、抄出本。【活】日本歌学大系別巻5


【御】俊成『古今問答』

建久二年(1191)か。某(不明)と俊成の問答形式。【翻】西下経一・實方清編『古今和歌集 新古今和歌集』増補国語国文学研究史大成7, 三省堂, 1977.【影】『和歌物語古註続集』天理図書館善本叢書和書之部58, 天理大学出版部, 1982.


【御】俊成『古来風躰抄』

建久八年(1197)初撰、建仁元年(1201)再選。式子内親王の命。【活】日本歌学大系2、新編日本古典文学全集87『歌論集』


【御】定家『顕注密勘』

承久三年(1221)。顕昭の注『古今秘注抄』に定家が追記。【活】日本歌学大系別巻5「顕注密勘抄」(書陵部本)【影】日本古典文学会編『顕註密勘』日本古典文学影印叢刊22, 1987.(中央大学図書館本)


【御】定家『僻案抄』

嘉禄二年(1226)。三代集の略注。俊成からの口伝を「遺孤(為家?)」の為にまとめたもの。【活】日本歌学大系別巻5【影】『平安時代歌論集』天理図書館善本叢書和書之部35, 天理大学出版部, 1977.


【御】順徳院『八雲やくも御抄みしょう

承久三年以前に成立。九条殿(仲恭ちゅうきょう天皇)に進上、のち定家へ。【活】日本歌学大系別巻3、久曽神昇『校本八雲御抄とその研究』厚生閣, 1939.


【御】為家『古今序抄』

文永元年(1264)。【画】古今序抄|京都大学貴重資料デジタルアーカイブ

【御】為家伝書『三秘抄』・『明疑抄』

為家の奥書はあるが他作とされる。【翻】片桐洋一『中世古今集注釈書解題一』


【二】『六巻抄』(『古今聞書』)

行乗法師の聞書。正和三年(1314)、嘉暦三年(1328)。二条定為、為世の注説。【翻】片桐洋一『中世古今集注釈書解題三』


【二】浄弁『浄弁古今集注』

識語に浄弁が為世から伝授を受けたとあり。元亨四年(1324)か。【翻】深津睦夫編『浄弁注 内閣文庫本古今和歌集注(伝冬良作)』古今集古注釈書集成, 笠間書院, 1998.


【二】曼殊院本『古今秘聴抄』

元徳三年(1331)元盛という人が書写。鎌倉末期の二条家説。『僻案抄』『六巻抄』に内容が近い。【影】新井栄蔵編『曼殊院蔵古今伝授資料 第二巻』汲古書院, 1991.


【二】毘沙門堂本『古今集注』

鎌倉末期~南北朝期に成立。六条、二条家の説を中心に家隆、為氏、為兼、九条知家の説も載せる。諸注大成としてまとまっているので要参照。【翻】吉沢義則編『未刊国文古注釈大系 第四冊』 清文堂出版, 1969.【影】片桐洋一編『毘沙門堂本古今集注』八木書店, 1998.


【二】二条義徳『古今秘注抄』

【画】古今秘注抄|京都大学貴重資料デジタルアーカイブ


【二】伝一条冬良『古今和歌集注』

応永三〇年(1423)頓阿の『古今和歌集註』に、師成親王の注説を加筆。底本:内閣文庫本。【翻】古今集古注釈書集成, 笠間書院, 1998.


【反】『古今集素伝懐中抄』

鎌倉時代中期、文永年間(1264~1275)頃成立。反御子左家派、藤原光俊(真観)作か。【影】慶應義塾大学附属研究所斯道文庫監修・浅田徹解題『古今集素伝懐中抄』勉誠出版, 2010.(東京大学文学部国語学研究室蔵本)

京都学・歴彩館蔵『和歌古今集聞書』も、同じく反御子左家派注釈書。応永二五(1418)書写。


【顕】為顕『古今和歌集序聞書』(『三流抄』)

弘安九年(1286)。弟子の能基の識語あり。『弘安十年古今集歌注』(善本:初雁文庫12・209)とセットのことが多い。【翻】片桐洋一『中世古今集注釈書解題二』


【顕】伝書『玉伝深秘(巻)』

【画】名古屋大学附属図書館 神宮皇学館文庫 岡,911.109,G など


【顕】伝書 神宮文庫本『和歌古今灌頂巻』

【翻】小川豊生 責任編集『和歌古今灌頂巻・玉伝深秘巻・伊勢物語髄脳』日本古典偽書叢刊, 現代思潮新社, 2005.


【隆】伝書『和歌口伝抄』

【活】日本歌学大系4


【隆】伝書『和歌灌頂次第秘密抄』

【翻】三輪正胤「家隆仮託書の検討:「和歌灌頂次第秘密抄」をめぐって」『大阪府立大学紀要』19, 1971. (底本:静嘉堂文庫)⇒『歌学秘伝の研究』風間書房, 1994.


【冷】冷泉為相『古今集注』(『大江広貞注』)

永仁五年(1297)か。識語に為相が大江広貞に伝授したとあるが、冷泉家末流の編か。【活】京都大学国語国文資料叢書48, 臨川書店, 1984.


北畠親房『古今集註』

正平年間(1346~70)成立。後村上天皇勅命。【活】神道大系編纂会編『神道大系 論説編 19 北畠親房(下)』,1992.(底本:天理大学附属天理図書館所蔵吉田文庫本)


一条兼良『古今集童蒙抄』

文明八年(1476)か。『顕注密勘』『僻案抄』の漏れを記すという。【翻】群書類聚、武井和人, 西野強編『一条兼良自筆古今集童蒙抄[影印付]校本古今三鳥剪紙伝授』古今集古注釈書集成, 笠間書院, 2013.(京都女子大学図書館蔵本)


飛鳥井家『古今栄雅抄』

飛鳥井栄雅(雅親)以来の諸注大成。【活】竹岡正夫『古今和歌集全評釈』


古今伝授の流れ(図)

古今伝授の流れ(簡易的)※東常縁は一応尭孝門下

【常】堯恵『延五記』

延徳四年(1492)。堯孝から伝授された二条家の説。【翻】『古今集延五記』笠間書院, 1978.(底本:天理大学附属天理図書館蔵本)


【宗】東常縁『両度聞書』

文明三年~四年(1471~72)。東常縁 → 宗祇へ伝授。【翻】片桐洋一『中世古今集注釈書解題三』


【宗】三条西実枝『伝心抄』

元亀三年~天正二年(1572~74)。三条西実枝から細川幽斎へ。
【翻】古今集古注釈書集成, 笠間書院, 1996.
【画】書陵部蔵本「古今伝授資料」502・420(959コマ目~)


後水尾天皇『後水尾院講釈聞書』

明暦三年(1657)。【活】古今集古注釈書集成, 笠間書院, 2009.


北村季吟『八代集抄』

延宝七~九(1679~81)。【活】山岸徳平『八代集全註』有精堂出版, 1960.


契沖『古今余材抄』

元禄五年(1692)。
【画】古今余材抄【全号まとめ】|国立国会図書館デジタルコレクション

参考文献
■ 横井金男, 新井栄蔵『古今集の世界:伝授と享受』世界思想社, 1986.
■ 新日本古典文学大系5『古今和歌集』「古今和歌集注釈書目録」
■ 慶應義塾大学附属研究所斯道文庫編『古今集注釈書伝本書目』勉誠出版, 2007.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?