かしゆお

都内某大学社会学部社会学科卒業 本業クリエイティブディレクター&コピーライター 趣味英…

かしゆお

都内某大学社会学部社会学科卒業 本業クリエイティブディレクター&コピーライター 趣味英語の勉強  2023 1月 突然、小説家デビュー!!

最近の記事

[連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第八話<オールナイト学園祭とか>

第九章『オールナイト学園祭あるいは名物ロックアウト』 11月には学園祭があった。「外堀祭」というそのままの名前だった。全てが無茶苦茶だった。中でも特徴的だったのは、多分3日間だったと思うけど、最初の日と次の日の夜はオールナイトのバカ騒ぎ。おまけにお酒飲み放題。ひたすら騒ぎ続け、飲み続ける。アイドルが来てコンサートやったり(なぜかあんまりビッグネームは来なかった)、プロレス研究会の試合を応援したり。そのころは「学生プロレスが流行っていた。「学生プロレス」って意味が変だが。学内

    • [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第七話<ジャーナリズム>

      第七章『ジャーナリズムというもの』 スポーツ新聞部と言っても、ジャーナリズムだった。4年生の編集長は、スポーツがなぜかそんなに好きではなく、新聞を作りたい人だったから、ジャーナリスト気取りだった。「新聞をやっていると、好きな人に会える。それが特権だよ」みたいなことをよくいう人だった。「かしゆお」は多少人見知りだったので、それがそんなに魅力には感じなかった。僕らもだんだん、いろんな人にインタビューするようになっていったのだか、その先輩に「インタビューは、ただその人の話を聞きに

      • [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第六話<学問の自由>

        第六話『あの頃、大学の授業なんて誰も出なかった』 1980年代の学生は、すくなくとも『かしゆお』のまわりの人たちは、大学の授業なんて行かなかった。正しく言うと語学以外は。そのほかの講義はほとんど出たことがない。別に豪快な無頼な学生を気取っているわけではない。最初の頃、授業には一回か二回は出たと思う。でっかい教室でおじいちゃんみたいな先生がすごく遠くで、ボソボソ何か言っていたような感じだったが、全く聞こえないし、ほとんどの学生は寝ていた。こんなの出たって意味がない。俺らそんな

        • [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第五話<四ツ谷>

          第五話『夜の四ツ谷でアルバイト』 大学生になったらアルバイトである。いろんな経験をしてみたかったので、アルバイトも色々やりたかったが、早速「スポソト」の先輩2人がやっていた居酒屋のバイトに誘われた。そこはJR「四ツ谷」駅からすぐの居酒屋チェーン店「くらま」。ミッション系で有名な四ツ谷大学のあるところで、そのほかにも英語の学校が多く、居酒屋のお客も外国人の先生と日本人の学生さんたちというのも多かった。最初は洗い場を3ヶ月ぐらいやって、次はホールの接客係をやらせてもらった。お客

        [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第八話<オールナイト学園祭とか>

        • [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第七話<ジャーナリズム>

        • [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第六話<学問の自由>

        • [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第五話<四ツ谷>

          [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第四話<神宮外苑>

          第四話『神宮の杜、チャンス外堀♪』 飯田橋の話の続きだが、うちの学校は別名「飯田橋体育専門学校」と呼ばれていた。体育会の人たちはみんなすごい人たちばかり。今の基準はわからないけど、僕らの頃、推薦入学のためには、各競技のインターハイベスト4以上だと言われていたから、とんでもない人たちだ。その人たちのうちの代表の一つが六大学で有名な野球部。田舎者だった「かしゆお」は、テレビで見ていて、学生らしくて楽しそうで、とっても憧れた。神宮で応援をしたかったのだ。応援がなんだか好きで、でも

          [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第四話<神宮外苑>

          [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第三話<神楽坂>

          第三話『神楽坂へ。スポーツ外堀新聞会入部』 入学式が武道館であって、何日か後にガイダンスがあって、その後はいろんなサークルの勧誘がワイワイ行なわれる。「かしゆお」は、入りたいサークルをもう決めていた。「スポーツ新聞部」に入りたかったのだ。神宮の野球に憧れていたのだ。もともと、小学校から剣道部で、野球をやってたわけでもないが、大学生になったら神宮球場で野球の応援に行きたかったのだ。で、学部も社会学部社会学科というところで、マスコミ志望の学生が多いということもあったが、大学に入

          [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第三話<神楽坂>

          [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第二話<荻窪>

          第二話「東京にいくんだから、やっぱりパーマでしょ」 大学は市ヶ谷と飯田橋の中間にあって、どちらからもほぼ同じ距離。江戸城の外堀沿いに桜の並木道が同じように続いている。子供の頃から釣りが好きなのもあるが(市ヶ谷には釣り堀がある。その話はいずれまた)、外堀の水を見ていると落ち着くのだ。そして、大学の裏手には靖国神社があった。「かしゆお」のおじいちゃんは太平洋戦争の前の日中戦争で戦死していて、靖国神社に祀られている。「かしゆお」は当然、おじいちゃんを知らないが、その後、今に至るま

          [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第二話<荻窪>

          [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第一話<外堀前夜>

          第一話「1980.3月。僕は完全な田舎者だった」 不動産屋に紹介されたアパートは3件だった。下北沢と下高井戸と荻窪。1980年の3月、東京市ヶ谷にある外堀大学に入学することになった「かしゆお」が最初にしなければいけないのは住む場所を探すことだった。2月に受験で東京に来て驚いたのは、若者たちがみんなヘッドホンをして歩いていたこと。東北の地方都市出身の「かしゆお」は、「ウォークマン」を見たことがなかったのだ。だから、「ウォークマン」というのはヘッドホンのことだと思っていた。腰に

          [連載小説] 「青春の外堀 -TOKYO1980」第一話<外堀前夜>