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スタートアップファイナンス

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スタートアップのファイナンスやIPOに関するnoteをまとめています。
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2022年7月の記事一覧

資金調達をはじめる前に知っておけたら良かったこと -シリーズB資金調達からの学び-

製造業×AI アダコテックの河邑(かわむら)です。 この度、アダコテックとして総額15億円のシリーズB調達を発表させて頂きました。せっかくですので、等身大な実務経験をもとに、資金調達のプロセスの振り返りを共有させて頂きます。私自身はファイナンスの専門家ではなく、今回は色んな方に教えを乞いながら資金調達を進めましたが、当時の自分が「資金調達をはじめる前に知っておけたら良かった!」という内容をまとめてました。資金調達の全体的なプロセスと要点を把握頂くことを目的としており、詳細なフ

知らなかったでは済まされない!無償ストックオプション発行時にスタートアップがミスしやすいポイント(2)~行使条件編~

はじめにこの記事は「無償ストックオプション発行時にスタートアップがミスしやすいポイント」シリーズの2作目の記事です。1作目を読まれていない場合は、下記よりご確認ください。 2作目となる今回は、無償SO設計における行使条件について解説します。 略称一覧ストックオプション:SO 無償税制適格ストックオプション:適格SO 無償税制非適格ストックオプション:非適格SO 無償ストックオプション(適格SOと非適格SOの総称):無償SO 有償ストックオプション(いわゆる時価発行新株予約

部族から村ステージへ、グロースするスタートアップの5つの成長痛

こんにちは。Ubie 共同代表の久保です。 この度 Ubie はシリーズCラウンドの 1st Close として、35億円の資金調達を実施しました。 シリーズCを一つの節目として、この一年間の事業・組織成長における知見を共有したいと思います。 一年間の成長この一年間は Ubieにとって、事業、組織ともに次のフェーズに移行する一年でした。 事業はユーザーグロースから収益化への大きな変化がありました。 生活者向けの「ユビー」はこの一年で月間利用者が100万MAUから500

【CEO・CFO向け】新任CFOに何を求めるべきか整理してみた

こんにちは、ログラスの布川です。 今日のテーマは、新任CFOとはどうあるべきなのか?について、BCGが今年6月にまとめた素晴らしいドキュメントを見つけたので、読了した上での感想戦みたいなものをまとめていきたいと思います。 出典:未来に向けたトランジション――新任CFOが描くビジョンとロードマップ(BCG) 対象読者 これからCFOを受け入れようと考えている経営者 投資家、金融機関の方 経営企画部、財務部に所属されている方 これからCFOを目指す方 CFOとはプラ

「起業のエクイティ・ファイナンス」から考える、インセンティブの本質

スタートアップの経営者やCFOのバイブル、磯崎哲也さんの「起業のエクイティ・ファイナンス」の増補改訂版がこの7月に出版されました。この本の初版の出版は2014年でしたので、8年ぶりの改訂となります。磯崎さんはベンチャーキャピタリストとしても有名で、私がCFOを務めるnote株式会社に出資いただいている株主でもあります。 この本は、エクイティ・ファイナンスに関わる様々な論点が書かれており大変勉強になる本ですので、テクニカルな内容については本書をぜひご覧いただければと思います。

「誰もが発信できる」の次のフェーズをつくる。Voicyが27.3億円の調達でやること【声の履歴書 Vol.76】

こんにちは。Voicy代表の緒方です。 この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。 先日、Voicyは27.3億円の資金調達を発表しました。これにより累計調達額は36億円となりました。 「声で、未来を変える」 このタイミングで僕らが打ち出したメッセージです。 Voicyは、音声とテクノロジーで、人々にとってワクワクする豊かな未来へ

スマートバンクのB/43が挑む家計管理の未来について

「B/43(ビーヨンサン)」を運営するスマートバンクの堀井です。 先日、スマートバンクはシリーズAラウンドにおいて総額20億円の第三者割当増資を実施しました。2020年のシードラウンドでの資金調達と合わせて、これまでの累計調達額は約31億円となります。 プレスリリースを見ていただいた方がいらっしゃれば嬉しいのですが、 そもそも「なんで家計管理のプロダクトで20億円も資金調達できているのか?」「有名な家計簿アプリもあるのにそれとどう違うの?」など疑問に思われた方もいると思いま

知らなかったでは済まされない!無償ストックオプション発行時にスタートアップがミスしやすいポイント(1)~会社法編~

はじめにスタートアップの現場では、役職員向けのインセンティブ報酬の1つとしてストックオプションがしばしば用いられています。ストックオプションは、適切な方法とタイミングで活用できればスタートアップにとって非常に有用な武器となりますが、法制度に基づく制約事項や、日本におけるスタートアップとベンチャーキャピタルの間の投資契約及び株主間契約の商習慣を把握しないまま安易に発行すると、本来得られたはずの経済的価値を得られないばかりか、場合によっては想定外の金銭的負担が発生することや、優秀

未上場の際に導入する従業員持株会のメリットと留意点

以前にnoteでまとめさせて頂いたとおり、ベンチャー企業において、ストックオプションは広く活用されている制度だと思います。 もちろん、ストックオプションも論点が多く、難易度が相応に高い為、このようにIVSでセッションを行わせて頂いたりもしました。 ただ、その中でふと、未上場企業において、従業員持株会ってSOに比べてあまり活用されていないんじゃないかと気付きました(上場会社ではよく活用されています)。個人的には、未上場企業における従業員持株会は活用の余地があると考えており、

過酷な市場環境で44億円の資金調達を実施したスタートアップが語る資金調達環境の実態

おはようございます。 株式会社SUPER STUDIO COOの花岡です。 プレスリリースにもありました通り、株式会社SUPER STUDIOはシリーズCとして44億円の資金調達を実施しました。 前回の資金調達以降、スタートアップからエンタープライズまで本当に多くのEC事業者様にご利用していただけるサービスへと成長することができました。今回の調達を経て、法人向けECプラットフォーム「ecforce」は次世代EC構想を実現させ、あらゆるビジネスのECシフトを支援していきま

5000万円を捨てた決死のピボット

はじめに初めまして、株式会社Srush代表取締役の樋口です。 当社は2019年11月に創業し、現在はデータ分析SaaS「Sales Rush Board」を提供しています。有難い事に当社は今年で3年目を迎え、成長フェーズに突入し、昨年の今頃と比較すると2000%超えの成長率を達成しています。そして2022年7月4日に資金調達リリースを出させて頂きました。 (この記事自体は調達リリース前日の3日に書いているので明日が来るのが待ち遠しく、同時に緊張感がすごい。) まだ何も成し

スタートアップ資金調達概論

はじめに 2022年に入り、スタートアップを取り巻く環境は昨年と比べて激変しており、資金調達含む資本政策にも影響を与えています。 このような環境下、CFOを務めるメディフォンでそこそこの規模感の資金調達活動を行いましたが、その中で感じたことや実務経験を踏まえ、資金調達のステップやポイントにつき、できるだけ分かりやすく説明していこうと思います。 資金調達には様々な流派があると思いますが、少なくとも私はここで記載しているやり方をベースに、これまで何度か資金調達を成功させてい

¥500

シリーズBで25億調達したGaudiyの「採用モメンタムをつくる」資金調達PRのウラ側

こんにちは!Gaudiy(ガウディ)のCorporate Successチームで、採用・PRを中心に担当しているやまもと(@hanahanayaman)です。 先日、GaudiyはシリーズBラウンド・1stクローズにて25億円の資金調達を実施した旨を発表しました。 当日は日本経済新聞、BRIDGE、あたらしい経済をはじめ、多くのメディアに取り上げていただきました。Twitter上でもたくさんのシェアをいただけて、PR TIMESでは「旬速」「いま話題」ともに1位を獲得。