おきらく19歳と父と母
19歳の夏に1か月語学留学をした。行先はサンフランシスコ。出発の日、尼崎から関空行きのバスにワクワクしながら乗り込んだ。
バスの窓から外を覗くと、見送りに来ていた父と母が立っているのが見えた。何も話さず私をじっと見ている。父の顔は無表情。母は今にも泣きだしそうだ。
なんとしてでも、アメリカに行きたかった。大学で留学のパンフレットを見つけてきて、母に懇願した。
「大学生協のだから大丈夫!」
楽しいことしか起こらない気がした。何が大丈夫なのか分からないが。
私を見送りながら父と母は話したそうだ。「もう、絶対行かさないどこうね」と。バスがゆっくりと動き出し手を振ると、2人は暗い顔のままで振り返した。2人の顔を見たら、急に不安が襲ってきた。
しかしそれも一瞬。尼崎を出て高速道路に乗ると、浮かんでくるのはウェルカムパーティーのことだった。
ピザ出るかな?
踊っちゃうかな、私
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