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【賽は投げられた】山崎令恩と読み解く現代政治学

1955年体制では自民党が農林漁業や保守層、宗教、農村部からの支持を受けて優位に立っていました。対する社会党は都市部の労働者や教育者、左翼の知識層から支持を得ていました。この対立は地方と都市の間のクリーヴィッジを反映しており、1980年代から90年代にかけての汚職事件や経済不況により、55年体制は解凍されることになりました。地方分権改革や民意の独立が進み、地方からの政治家が台頭してきたことが明確に示されました。さらに、1990年代後半からは公明党や民主党、社民連などの中道政党や共産党が伸び、政治の多様化が進んでいます。

1990年代には沖縄県民投票や名護市住民投票など、地方の声が中央政府に反映される動きが顕著になりました。例えば、1998年の長崎県知事選では無所属の候補が当選し、政党に対する有権者の不信感が表面化しました。同様に、衆議院補欠選挙や統一地方選挙でも与党支持が揺らぐなど、地方からの民意の変化が政治に大きな影響を与えています。

「自社」連立政権下では、自民党と自由党の連携が試みられましたが、政策理念の相違から有権者の信頼を失う結果となりました。これらの動きは地方の政治的独立を促進する一方で、日本の政治システム全体の転換期を象徴しています。

このように、日本の政治は地方と都市での投票パターンの違いや、経済格差などによる社会の均衡の問題などを通じて複雑化し、不安定化してきました。今後も市町村の合併や行政の効率化、市民への説明責任の強化などが求められる中で、政治は進化していくことが予想されます。

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