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美術展観賞記録

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展覧会に行ったときの感想文。Instagramに投稿しているものと基本的には同内容です。
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2024年1月の記事一覧

「フランク・ロイド・ライト-世界を結ぶ建築」(パナソニック汐留美術館)

「フランク・ロイド・ライト-世界を結ぶ建築」(パナソニック汐留美術館)

 滝と岩棚の上に一軒家を建てた落水荘、ビル内にある樹状の柱が特徴的なジョンソン・ワックス・ビル、連続性の高い渦巻き型がとにかく目立つグッゲンハイム美術館など、アメリカの代表的建築を多数手がけたフランク・ロイド・ライトの回顧展。日本でも帝国ホテル(二代目、現在は一部移築)や自由学園の明日館などを手がけられた方でもあり、また浮世絵の蒐集家でもありました。
 「自然との調和」を意識した建築が特徴で、自然

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「みちのく いとしい仏たち」(東京ステーションギャラリー)

「みちのく いとしい仏たち」(東京ステーションギャラリー)

 江戸時代、有名無名を問わず素人が作成した木彫の仏像の数々。こうした仏像のうち、東北のものは厳しい生活に置かれた人々の反動だからか、優しく微笑んでいるものが多いんだそうです。技術的完成度もその「仏師」の技量によってだいぶピンキリで、お寺に飾られている豪華絢爛な仏像とは違った、素朴な魅力があります。感覚としては馬や家などをかたどった形象埴輪を観るときと近い感覚があるのかもしれません。作品に技術が伴わ

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「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展-美の革命」(国立西洋美術館)

「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展-美の革命」(国立西洋美術館)

 展覧会で使われていた言葉を使うと、すでにある現実の模倣から離れ、新たな現実の創造へと向かっていったのがざっくりとしたキュビスムのイメージ。ただそれだけに同じギターを描かせても従来の絵画は実物に近いそれが描かれる一方、キュビスムのギターはまともな色も形もない、ただの線の集積が描かれてしまうこともあります。
 その難解な線の集まりが「分析的キュビスム」と呼ばれる初期~中期のキュビスムで、そこからパピ

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