理解できなくても、せめて知っていてほしい

幼い頃から体が弱かった

起立性調節障害

20年も前は今よりもっと知名度なんてなかった

朝起きられない。だから学校に行けない。
そんなのは怠けであり甘えである

まわりにはそう思われていたと思う

そう思われてしまうのは
遠足の時には起きられたりするからだ

だから、たのしい日には起きられるのに普段起きられないのはおかしい、わざとだ
となってしまうのだと、思う


普通の小学校に通えなくなり貧困母子家庭だったからフリースクールという選択肢もなく
養護学校に転校した



.


やがて就活の年齢になった時に新たな困難が訪れた
起立困難があるから、出勤時間が遅い正社員の仕事を探してもなかなか見つからない。
起立性調節障害は原因も不明で治療法もないけど
難病でも障がいではないから、なんの支援も受けられない。
世間的には『ふつうの、健康な人』の扱いをされてしまう。
アルバイトやパートでは生活していけない。
やりたい内容でも出社時間が早いと応募を躊躇ってしまう
雇ってもらえたとしてもきっと続かない

面接で、起立困難であること、合理的配慮をしてほしいことを話してもよくわからないような顔をされた

「起きられないんですか?」
「どうして起きられないんですか?」

わたしの病気、知られてもいないんだ
だから理解してもらえないんだ

だんだんと
理解しなくていいから、せめて把握はしていてほしい
という気持ちになっていった

就活も大変になり
午前中ではあったがとりあえず遅い時間に出社できる正社員の仕事に就いた

面接でも事前に説明した。そのうえで雇ってもらえた。
理解があると思っていた。

それなのにいざ仕事が始まると
まったく理解のない世界がそこにはあった

遅刻等あっても、事前に言っておいても

「社会人として自分の体調管理は大事」
「私達だって起きたくないのに起きて頑張って来てる」

そんな冷たい言葉、心ない陰口

自分の意志とは関係なく起こること、夜早く寝るように気を遣っていること、目覚ましの音も聞こえないということも、言っても信じてもらえない

「ずるい」
「怠け」
「さぼり」
「夜寝ないから起きれないんじゃないの」

そうじゃない

ふつうに過ごしていても
夜になると血圧が上がって動悸がするから寝られない


いつになったら理解されるだろうか
この言葉はこの気持ちは届くだろうか


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起立性調節障害を持っている人には、心理的な要因と環境要因とがあって
同じ起立性調節障害でも人によっては症状が違う

わたしの場合は過度な興奮状態や心拍数が上がった状態が夜に起こると、入眠困難になったり、朝起きることができなくなる
起立困難もあるが、朝に起きると気持ちが悪くなっているため朝食を食べられず、
通勤の電車で座れなければめまいや吐き気が起こり、具合が悪いまま仕事にいく
どんなにつらくても耐えなければいけない
学生のころは日中具合が悪くなっても保健室で休むことができた
社会人になってからは
職場にはそんな場所は用意されていない
「少しでも横になれる環境がほしい」
職場で具合が悪くなるたびに、症状に耐えながら何度も思った



いつになったら理解されるだろうか



理解はできなくていいから、把握はしてほしい



この言葉はこの気持ちは届くだろうか



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起立性調節障害とは


自律神経がうまく働かすに様々な身体の不調をきたす病気


主に思春期に発症する
体の成長が急速に伸びる時期である思春期に
自律神経の成長が伴わずに起こるとされる。

健常の人は起立時に一時的に血圧が下がるが、この病気だと下がった血圧が上がらない。急激な血圧低下が起こる

脳の血流の低下から食欲の低下や頭痛、立ち眩みやめまいなど個人差があり人によって様々な症状が起こる

視覚的に把握できない病気のため周りの人が見て分かりづらく誤解もされやすい。

大人になっても改善しないケースもある

重度の場合は意識がない、起こされた記憶がない、目覚ましアラームも聞こえない。

みんなと同じ当たり前の生活がかなわない
「行きたいのに行けない」
「行かなければいけない」
プレッシャーやストレスで症状が悪化することもあるため周囲の理解とサポートが必要


本人に対して頑張れ、乗り越えろといった言葉は負担でしかなく、症状の悪化にもつながる

起立性調節障害で全日制は地獄といわれるほど、毎日通学することは困難。家族だけでなく学校の先生や周囲の理解が必要



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起立性調節障害当事者の高校生(当時)が監督をつとめた映画
自身の経験をもとに、起立性調節障害と闘う中学生が描かれています
以前クラウドファンディングをやっていてその時に購入して鑑賞しました。
つらい症状もリアルに再現されていて
頑張れや励ましではなく、頑張れない人の気持ちや理由に寄り添う映画に、という西山さんの思いが伝わります
 
理解のある社会は、理解のある職場は、安定した生活の保障は、どこにあるのだろう

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