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ロンドンの夏、バンコクの冬

昨日ほどではないけれど、今日も寒いロンドンです。暖房つけてます。

先週、つかの間の夏を感じる1週間は、本当に快適な毎日で、イギリスで生活したことのある人がみんな声を揃えて「イギリスの夏は短いけど最高だから!」と言ってた意味を理解し、体感できた。
照りつける日差しはなかなか強烈だけれども、空気はカラッとしているので、たとえ気温が30℃まで上がっても、日陰に入れば全然暑くない。むしろ、じっとしていると少し肌寒く感じるくらいだ。寒いな、と感じれば日向へ出て日光を浴び、また暑くなれば日陰へ戻る。公園でこどもが遊んでいるのを見守っているだけでは、ベタベタに汗をかくこともなく、心地よく待っていられる。あ、もちろん一緒に走り回れば汗かきますよ。私は走らんけど。

そんな調子で気持ち良く過ごせる夏を、ロンドンの人たちは、それぞれのスタイルで満喫している。公園でビキニ姿で寝そべる美女や、ムキムキマッチョのグッドルッキングガイたち。彼らは夏の日差しを全身に浴びて、白い肌を真っ赤に焼いている。日本人の感覚的には、公園でビキニ姿で日焼けするだなんて正直有り得ないけれど、これがロンドンナーの夏の過ごし方なのだろう。
そして、街中では、ビキニとまではいかなくても、かなり露出度の高いファッションに身を包んだ、いや、むしろ包んでいないロンドンガール達を見かける。こぼれそうなたわわでふわふわなおっぱいには、男でなくとも自然と目が奪われてしまう。触ると気持ち良さそうやな〜とか思ってしまう私はオッサン化しているのだろうか。
娘を持つ親としては、娘が年頃になったときにあんな格好をしていたら、きっと注意するだろう。だって、おばさんの視線まで奪ってしまうほどの魅力を持ったおっぱいは、血気盛んな年頃の男子からしたら、それはもう肉汁したたるステーキのようなごちそうにしか見えないだろうから。ちなみに、現時点での娘の様子からすると、彼女は露出度の高いファッションよりは、モード系とかちょっとカタイ感じになりそうな気がする。キラキラ、ピンク、フリフリとか全く選ばないから。選ばなくなったのは、間違いなく私の影響だけれども。
ともあれ、ロンドンガール達はほんのわずかな夏のひとときを、それぞれのサマースタイルで謳歌している。その様子を見ていて、バンコクの冬を思い出した。

"バンコクの冬"と言ってもタイは常夏の国なので、冬はない。ただし、日本の冬と同じ頃に少し涼しくなる時期がある。日本人からすれば、暑過ぎず快適に過ごせる気温なのだけれど、タイ人からすると、それは"寒い"ということになるようで、日本人がTシャツの上に薄手の羽織りを着る気温で、バンコクのオシャレな若者はフリースを着る。いやいやいや、それは暑いやろ!とツッコミたくなるのだけれど、彼らは暑い寒いという理由だけでなく、一瞬で過ぎ去ってしまう季節をファッションで楽しんでいるのだ。たとえ年間着用日数が3回くらいしかなかったとしても、モコモコした服を着て、そんな自分をSNSで披露したいのだ(タイ人はSNS&自撮り大好き)。

ロンドンガールは短い夏を、バンコクガールは短い冬を、それぞれに謳歌したいのだ。ファッションというツールで、短い季節を満喫したいのだ。求めるものは反対だけれど、その心理は同じなのだ。
そういう点で見ると、日本の若者はじっくりと季節毎のファッションを満喫できる。春はパステルカラーのスカートを、夏はビタミンカラーのTシャツを、秋はシックな色合いのニットを、冬には真っ白な雪のようなセーターを、それぞれ数日だけではなく、少なくとも1~2ヶ月は楽しめる。オシャレ好きな若者にとっては、最高の環境だ。

だんだんとオシャレへの興味が薄れてきた中年の私にとっては、衣替えもいらず年中半袖短パンビーサンで過ごせたタイが楽ちんだったな〜と思う。イギリスは気温差が激しすぎて、ニューカマーの私は何を着ていいのかわからない。何年かすれば、私もロンドンの激しい温度変化に振り回されることもなく、「This is London!」と言えるようになるのだろうか。なりたいな。なるぞ!