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無計画がもたらす素敵な出会い

今週はハーフタームホリデー(学期途中の1週間の中休み)で、こどもたちはお休み。
先週までは雨続きで寒い寒いと言って、まだ薄手のダウンを着ていたのが嘘かのように、今週は快晴で気温も25℃近くある。イギリスでこんな気候の日に出かけないなんてもったいない!!!ということで、今日はキューガーデンへ行こうと思い立ち、おにぎりを作って出かけた。

キューガーデンへ行くのは今日が初めてだったけれど、計画性のない私は、経路だけ確認し、あとはなにも調べないまま目的地へ向かった。
最寄りのキューガーデン駅で降り、歩いてキューガーデンへ向かう。同じくキューガーデンへ向かうのであろう人達が周りにもいる。やっぱりみんなハーフタームだし、お天気もいいし、お出かけしたくなるよね、なんて思いながら、入口に到着。
なんと、長蛇の列ではないか。しかも、"事前予約制"と書いてあるではないか。OMG。こどもたちも長蛇の列を見て、この日差しの中この列に並んでまで行きたいわけではない、ということで、早々に諦めて、近くの小さな公園へ移動し、とりあえず腹ごしらえにおにぎりを食べる。
キューガーデンの素晴らしい庭園でなくとも、天気の良い日に外で食べるおにぎりのなんと美味しいことよ。と自分に言い聞かせる。いや、ほんと、言い聞かせなくったって、青空とおにぎりって、最高の組み合わせですよね。

無計画な母の行動で(今日に限らずいつものことだけど)、こどもたちに申し訳ない気持ちもあったので、「よし!帰りにアイス買ったる!」と食べもので清算しようとする。私の悪いクセ。だけど、食べることが好きすぎるわが子たちにとっても、それが1番ハッピーなのだ。win-winだ。どこがだ。

周辺を少し散歩しつつ、キューガーデン駅へ戻る。駅前には、小さいながらに地元の人に愛されている感のある雰囲気の良いお店が並んでいた。こんな通りが家の近所にあったらいいなぁと思う。わが家の近くには残念ながらそのような洗練された通りはないのだ。その通りが駅にたどり着くすぐ手前のお店の入口に、ice creamの看板を見つけた。

入ってすぐ右手にアイスクリームの冷凍庫があった。どぎつい色のアイスではないことを確認してほっとした。こどもたちがアイスを選んでいる間、私はふらっと店内を歩いて回った。置いてあるもののチョイスがなかなか私好みではないか。そして、こどもたちのアイスのチョイスを聞く。娘はキャラメルソルト、息子はストロベリー。わが子たちは卵アレルギーがあるので、アイスは食べられないことがよくあるけれど、店員さんに確認したら、こちらのアイスは全て卵不使用とのこと。ありがたいではないか。

店員さんとやりとりしつつ、こどもたちと話していたら、横にいた男性から「こちらのアイスクリームはどれもオイシですよ!」と日本語で話しかけられた。「はい!どれも美味しそうですね!日本語お上手ですね!」と応えたら、そのおじさまは昔、大阪外大に留学していたので、少し日本語を話せるとのこと。書道もやっているが、ムズカシね、たまにツマラナイね、とのこと。日本だけでなく、韓国や中国も旅して、アジアの文化が好きだ、とのこと。1番リスペクトしている日本人はスズキメソードのスズキシンイチ、とのこと。
短時間でたくさんいろいろ話してくれた。きっと、日本のことが好きだから、ふと日本語が聞こえたらつい話しかけたくなるのだろう。私も、タイ生活を終えて奈良に帰ってから、たまに道端でタイ語を聞くとつい会話に耳をそばだてたり、話しかけたりしたことがあるので、おじさまの気持ち、よーくわかります!
私はそういう偶然の出会いが大好きで、"きっとこの出会いもある種の運命だ!"と、また得意の関係妄想に走ってしまう。そのおじさまとお友達になりたい!連絡先を聞きたい!と思ったのだけれど、そんなに軽率に連絡先を聞くのも怪しいし、そもそもおじさまはただその場で話したかっただけで、別に私と友達になりたいわけでもないだろうし、こどもの前で母親が見知らぬ初対面の男性に連絡先を訪ねる姿を見せることもちょっとどうかと思ったので、そこはぐっと思いとどまった。
でも今、こうして文章を綴りながら、やっぱりあのおじさんと友達になればよかったという気持ちが残っている。あのおじさんにまた会うために、またあのお店に行こうとまで思っている。お店自体も気に入ったし。

目的地であったキューガーデンには行けなかったけれど、あのおじさまと出会えただけで、キューガーデン駅まで行った甲斐があったもんだ、と思える私は幸せものか、ただのあばすれか。もし、またあのお店に行って、またあのおじさまに出会えたなら、そのときは必ず連絡先を尋ねるつもりだ。

こういう出会いがあるから、無計画なお出かけも悪くないではないか!と思ってしまう、これまた私の悪いクセ。

ちなみに、おじさまが1番リスペクトしているスズキシンイチという人を私は知らなかったので、後で調べてみたら、どうやら音楽界では有名なスズキメソードという教育法を提唱したバイオリニストで、結構すごい人のようです。

鈴木鎮一
スズキ・メソードの創始者であり、世界的には音楽教育家および教育学の理論家として著名で、その教育理論は、日本よりも欧米で、とりわけアメリカ合衆国で高く評価されている