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すぐに役立つことは、すぐ役立たなくなる

これは、わたしが最も大切にしている言葉です。

少し前に友人から、
「美衣さんって、効率が悪いってよく言いますよね」
と言われたことがあります。

自分でも言われて「なるほど」と思ったのですが、なぜよくそう言うかというと、一般的に「効率が良い」と言われている一見最短距離に見えるやり方が、実は非効率だと感じることがよくあるからです。

人生の最適解のようなものは、もはやなくなっています。

それでも6歳になったら小学校へ行く、後れを取らないように就学前からひらがな足し算くらいはやらせるなどからはじまり(実際はもっと前からいろいろありそうですが)、大学受験はどうする、就職はどうする、キャリアアップはどうする、と多くの人がやっていることの中で抜きんでるために多くの人が工夫や努力を重ねているのは今でも同じだと思います。

でも、多くの人がやっていることの中で、後れを取らないように同じことをやることは、非効率的です。
全体のパイが大きくて、その中でたとえそれができるようになったとしても、できる人がほかにもたくさんいるので、できたことに価値はほぼありません。
だから、さらにその中からみんなが最適解と考える次のスキルを身につけなくてはいけなくなります。

あまり価値のないアイテムのために時間とエネルギーをかける

できるようになっても、ほかにもできる人がいるので、次のアイテムのために努力する

アイテム取得をいくらしてもなかなか抜きんでることができない

わたしがこのように考えるようになったのは、短歌というおよそまったく生活の役にたたないことを30年もやってきたことがきっかけです。
たった31音の文芸ですが、いにしえから続いている詩形に正解はありません。

正解のないなかで、試行錯誤しながら作品を作り続けたこと、そして多くの歌人の作品を読み続けていることでわたしはどんな講座でも、どんな本でも教えていないことをたくさん学びました。
そして、それは単純なやり方や資格ではないので、どんなことにも応用可能だと気づきました。

今年わたしは、短歌に初めて触れる方を対象とした、短歌を用いた文章力アップや抽象思考力アップのイベントを行いました。
一見まったく仕事や生活の役に立たなさそうな短歌をずっとやってきたことは、学歴や仕事の経験以上の価値をわたしにもたらしています。

だからわたしは「役に立たないことこそ、役に立つ」と実感しています。

そしてみんなが群がっていない役に立たないことに目を向けることで、もう一つ得られるのは「編集力」だと考えています。

「編集力」とは、点と点を結びあたらしいものを想像する力です。
いくら役に立つ点をたくさんもっても、点はただの点です。
それをどうやって結んで造形をするのかが、その人の力です。

編集を行うことで、すでにあったものからも新しい価値が生まれます。
編集はその人にしかできない作業ですから、素材自体はだれもが知っているもの、持っているものであったとしてもそこからはまったく新しいオリジナルのものが生まれることになります。

そうやって作り出したその人にしか作れない設計やイメージが、仕事やキャリアを作り、その人個人のブランドを作り、結果として収入に結びつく、もうすでにそういう時代が来ているのです。

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