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他者性と水面 : 向田邦子の真骨頂

向田邦子を念頭に置いています
おそらく随筆の達人であるなら
他の作家も共通するはずだから
お好きな作家でイメージしてください


よく晴れた夏の午後のプールで
力を抜いて水に体を預けると
体は浮くようにできているのだと
体験できる
水面に意識はないけれど
なるほど
水面から空はこう見えるのかと

何かに委ね
受け止めてもらうことを
私はこうイメージします


向田邦子の随筆は
読者が楽しめるよう
記憶や語り方を「編集」しています

編集した向田邦子の顔は出さず
語り手の視点は控えめに出す
だから
描写に味わいが出ます

「編集」した向田邦子は
読者に作品の鑑賞を委ねる達人です


つまり
他者性を理解し尊重していると言えます
自分の主張を押し付けず
ただ読者に手渡す

我々には自意識や欲があります
表現のスキル以前に
向田邦子の
あるいは随筆の達人の
書くことや人生への心構えに
尊敬を新たにしています

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