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2018ベネルクス鉄道の旅 #10 国境地帯を抜けてふたたびドイツへ

★目次はこちら★
https://note.mu/karanda_videos/n/n01e4cf58ffab

■オランダ人車掌さんとの出会い

楽しかった鉄道博物館見学もおわって、マリバーン駅からユトレヒト中央駅へ向かいます。本日はユトレヒト中央駅から、まずインターシティで国境のフェンロー駅へ向かい、フェンローからは国境を超える『Eurobahn』という私鉄に乗って、Düsseldorfへ。さらにDüsseldorfからインターシティでケルン、宿泊地のコブレンツへと移動をします。

この電車に乗ります。乗客は、たぶん私だけ。

で、車掌さんが検札にきたんですが、私のユーレイルパスをまじまじと…
(だって、私しか乗客いませんから)

んで(当然のように)向かいの席にどかっと座って…雑談タイムw
今回は、東洋人の旅行者が珍しいようで、興味津々で質問攻め。

『ヨーロッパを巡ってるのか?』『オランダは好きか?』『どこ行った?』
ユトレヒトではメルクリンショップに行きました~と言ったら『I love too』とのことで…w

んで、日本はどうだ、とか、新幹線はどんだけ早いんだ、とかとか。

私のユーレイルパスで、ベルギーを通ってきたことを把握したんでしょうね。「ベルギーとオランダは、違うだろ?」と言うわけです。正直、ベルギーの鉄道はどうだった?と。
私は、ベルギー人の車掌さんから教わったこと(↓2日目記事)や
https://note.mu/karanda_videos/n/nfa89a61ffaad
ぶっちゃけ治安が悪そうだった、という話

ブリュージュは綺麗だった、という話をしましたが(我々はブルッヘはオランダだと思っている、的なこと言っていましたが…w)

車掌さんが聞きたかったのは、ベルギーとオランダの鉄道は、違うよね?ということだったみたいで。そのあとの話が、興味深かったので、なるべくちゃんと書きますが…

・昔(というのがどのくらいのことはわかりませんでしたが、few years ago)は、ヨーロッパの鉄道は、統一を目指していた
・でも今は、インターシティもナイトシティも、それぞれの国独自の列車や、私企業の運営する列車が走っている。
・なぜなら、シェンゲン協定ができて、移動が自由になったから。だからこそ、我々(オランダ)は我々の鉄道が、他と違うことを示さないと、ほかの国の鉄道会社に負けるから。

※ヨーロッパの鉄道は、オープン・アクセスという方式をとっていて、この後のドイツの記事で詳しく書きますが、イメージは、鉄道会社が、NEXCO中日本とか、そういう感じで、鉄道会社は高速道路を走る、高速バスとかトラックとかそういう感じ。鉄道施設と、運営事業者を分離して、施設は各国でちゃんと整備しますよ、その上を走る列車は、東名や名神高速をいろんなトラックが走るのと同様に、民間企業が、機関車を調達したりして、自由に使っていいよ、という仕組みのことです。鉄道は、公共インフラだということですね。だから、オランダの線路を、ドイツの機関車が走ったり、ベルギーの鉄道がオランダ(マーストリヒト)に直接乗り入れたり、できるのだそうです。実際このあとも、ドイツ国内をはしるオーストリア国鉄の夜行列車や、スイス国鉄が運行する貨物列車を見かけました。オランダ、ベルギー、フランスを結ぶタリースも、ベルギーの民間鉄道会社なのだそうです。これは後で知ったこと。

・だからこそ、オランダは、どこの国よりも快適で、清潔なサービスを提供したいと思っている。
・ヨーロッパは画一化が進んでいるが、だからこそ、オランダはオランダらしさを出さなければならない

というようなことでした(ところどころオランダ語ちっくな英語が入って、わからない部分もありましたが…)。なるほど、『画一化』の流れが強まると、その中でアイデンティティを保つための『独自化』も進んでいくのですね。そう考えると、日本の鉄道業界でも、画一的な最新車両による統一が進む中で、昔の塗装を復活させたり、その地域にしかない観光車両を走らせたりという動きはおきているな~と、なんとなく、車掌さんの話に納得したのでした。

オランダの鉄道は、清潔、快適、車掌がイケメン(←自分で言ったw)の三点で、ほかのどの国よりも進んでるのが特徴だ。というような楽しい話を聞きながら、あっという間にユトレヒト中央駅到着。

またまた、貴重な話を聞くことができた気がします。その後も色々話をしながら、ユトレヒト中央駅に到着。車掌さんにお礼を言って、インターシティに乗り換えます。

■国境と、黒人女性
【Utrecht Centraal】13:24 →【Venlo】14:58(IC 3545列車 Venlo行)

オランダではこの2階建インターシティが非常に多かったです。それも、かなりの長編成。4両1ユニットでしょうか、3ユニット連結した12両編成も見かけました。12両編成といっても、1両が25メートルとかあります(日本の鉄道車両は、1両が20メートルです)から、かな~り長い編成になります(東海道線の15両編成と同じぐらいの長さかな)。

それが2階建てで突っ走るわけですから…大迫力ですw

↑何気なく撮っていましたが、1分を過ぎたあたりに緑色のインターシティ電車が止まっていました。最初は塗装が剥げたのかと思っていましたが…w
たぶん、イベント塗装か何かなのでしょう。

側線に!昨日の犬顔電車が停まってました。

こういったことがあるから、車庫の横を通過するときは、カメラを止められませんねw

ところで、私の乗った車両は、SILENT CARというものでした。文字どおりですが、じゃあ通常の車両はどうなのか?というと、結構にぎやかなんですね。携帯で普通にしゃべってたりするし。ここはまさにSILENTでしたよ。

1時間半でフェンロー到着。ちょっと遅れて、接続のデュッセルドルフ行までダッシュで接続ですw

【Venlo】15:05 →【Düsseldorf】16:08※当初予定(ERB Hamm(West)行)

ERBというのはEurobahnという鉄道会社のことで、Düsseldorf近郊の地域路線を運営しているのだそうです。私鉄ですが、ユーレイルパスは普通に使えました。
Venloからドイツ方面への直通列車は大変少ないようで、かなりの乗車率、動き出した列車の中をゆらゆら歩きながら、先頭の1等車を目指します。

Venlo駅のあたりからは、ドイツ鉄道の車両もよく見かけるようになりました。

なんだか久しぶりの国境のような気もしますが、ここまで毎日欠かさず越えてますw

国境地帯ですが、軽快に走って、あっという間にドイツ側の駅、Mönchengladbach Hbf(メヒングラードバッハと読むのでしょうか?)に到着です。ここで、しばし休憩。
1等車は4人掛ボックスシートが4セットの、計16名分しか座席がありません。私のボックスには、斜め前の席にフェンローからいっしょのおばさんが1人(親しげに話しかけてきてくれましたが、英語ダメみたいで、うまく言葉は通じなかったです、でも日本から来たことを話すと、嬉しそうな顔をしていました)
反対側のボックスにはメヒングラードバッハから乗ってきた、中国人と思われるおばさん、後ろのボックスには同じくメヒングラードバッハから乗ってきた黒人お姉さんと、ドイツ人おばさん
他おじさんが1人の、私を含む計6名が乗車している状態でした。

メヒングラードバッハで、しばし休憩…と書きましたが、どうも様子がおかしい。ドイツ語で車掌さんが、べらべらしゃべる。
ドイツ人って、何か悪いことがあると、あからさまにしゃべり方のテンションが下がるので、わかるんですw
このときも、言っていることはわからなかったですが、車掌さんのテンションの低さや、向かいのおばさんのため息で、なーんかよくないことが起こるんじゃなかろうか…と、ちょっと構えたのでした。

結局わからなかったので、おじさん(英語できるのこの人だけ)に聞いてみたところ、Düsseldorf近郊で線路工事?をやっていて、その関係でDüsseldorf近郊の線路が混雑しているから、この列車の到着は遅れる、いつになるかは不明である…といったことのようでして。

まぁ、遅れるぐらいならいいか、とそんな感じで、大した問題にはしていなかったのです(実際、私にとっては大した問題にはならなかったです)
正面のおばさん、やれやれといった感じで、クッキーくれましたw

で、そこまでは平穏だったのですが…

動き出して10分ぐらいしたところで、後ろの黒人お姉さんが、慌てふためいて騒ぎ出したのです。何事か?

どうやら、メヒングラードバッハとDüsseldorfの間には1駅、Neuss Hbfという停車駅があり、この黒人お姉さんはそこの駅に用事があってこの列車に乗ったのですが、あろうことかこの列車、本来止まるべきNeuss駅を通過(というか別ルートで走行?)してしまったのです。

当然、彼女はNeuss駅までの切符しかもっていませんし、どうやら英語しかわからなかったから、先ほどのアナウンスがちゃんと聞けていなかった模様(慌てておじさんに聞いて、通過の事実を知ったようです、私もそうですが)

と、そこへ、検察の車掌さん到着。すると彼女の切符を見るなり、

「今走っているのはNeussより先の区間であり、あなたの切符はNeussまでしかないのだか、これは無賃乗車になる」
「切符を持たずに乗った場合、ルールで150ユーロ(約1.8万円)の罰金が科せられる」

とそんなようなことを言っているんですね。これに怒ったのは彼女
…ではなく、私の向かいのおばちゃん
ドイツ語なので何を言っているかわからないですが、なにやら応戦している雰囲気なのです。これを境に、おじさんも、なぜか2等車のいちばんこっちにいた大学生風兄ちゃんもヒートアップ
(大学生風兄ちゃんはしれっと1等席に着席w)

みんなで黒人彼女をかばうような、そんな雰囲気でやーやーやっているのです。通過しちゃったんだから、仕方ないじゃないか、と

車掌氏も負けじと、私はちゃんとアナウンスをした、聞いていないのが悪い、これはルールだから、罰金は罰金だ!的なことを言い、
おばさんやおじさんは、この子はドイツ語がわからなかったのだから、ドイツ語だけでアナウンスしてもわかるわけがない、あなたの責任だ、みたいなことをやんややんや

でも、これがまた面白いんですが、言い争いこそするものの、険悪な雰囲気とかではないんです。むしろその場に居合わせた全員が、この“事件”をちょっと楽しんでる風で。
最後には「でもこの列車は遅れているのだから、罰金どころか我々の切符もみんなチャラになるはずだ」的なトンデモ意見が飛び出す始末(by 大学生兄ちゃんw)

当人(黒人彼女)は泣き出したり、携帯で、Neuss駅にいると思われる家族に連絡とったりして…
そんなこんながずっと続き、しまいにはたまたま乗っていた、セキュリティと思われる職員の方も加わりで、最後には車掌さんも折れて
もう仕方ないから、Düsseldorfまで行きなさい、そこで正規の切符をかって、Neuss駅まで戻りなさい…とそんな感じ。

ドイツ人って、困っている人を見ると、黙っていられないのですね。そして、困った人を見かけたときのチームワークの高さが、すごいんです。これはこの後、私自身が経験し、助けられることになるのですが…

見知らぬ人同士でも協力し合って、困った人を助けようとするのです。

このときは、ERBの1等車に乗り合わせた全員が、見ず知らずの黒人女性のために一致団結して、車掌さんとの交渉をしていたのです。
(あ、私も心の中で応援してましたよw)

日本人は親切だ、ということはよく聞くと思いますが…

ドイツ人も、本当に親切です。

ドイツ人に限らず、ベルギー人も、オランダ人も…みな
困った人に対しては、とても親切。

また一つ、勉強になりました。ヨーロッパはもっと冷たいと思っていましたから…。

で、一通りの話がすんだところで、「で、君は1等車の切符を持っているのか?」と(2等車の一番こっち側から、しれっと1等車に入って座ってた)大学生兄ちゃんに矛先が。これは、一同爆笑せざるを得ませんでしたw
車掌さんもニヤニヤしてましたし、大学生兄ちゃんもばれたかーって顔して、センキューって言いながらスッと出ていきましたが…w

ここまで一連、もちろん車掌さんは怒った顔して黒人姉さんに詰め寄ったりもしましたが、それはそれ、終わったらもう関係ない、といった感じで。Have a nice trip~♪と出て行って、周りの乗客も何もなかったかのように外を眺めたり。短い時間ではありましたが、ドイツ人の人柄を垣間見たきがして、楽しかったです。

もっとも、当人(黒人姉さん)は安堵を通り越して、号泣

うれしかったのですね、きっと

ここでもおばさんクッキーあげてましたよ。

結果30分以上遅れて、私も予約していたインターシティには乗れませんでしたが…
貴重な、ちょっと心温まる体験ができたから、よしとしましょう。

デュッセルドルフ到着です。

長くなったので、続きはまた明日。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

★目次はこちら★
https://note.mu/karanda_videos/n/n01e4cf58ffab

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!